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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

飲食店を開業すると、年収ってどれくらいなのか!

飲食店を開業すると、経営者個人はどれくらいの年収が得られるのか、大いに気になるところだと思います。残念ながら経営者の個人の年収については信頼できるデータはないように思われます。一方で、飲食店の店舗年商や経営指標については信頼できる統計が公開されていて、そこから飲食店経営による年収を推定することはできそうです。

 

日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査

飲食店を開業する多くの場合、その開業資金の一部は融資を受けて調達することになります。はじめての開業で信用力もなく、また金利や保証人の必要有無など条件面から言っても、日本政策金融公庫に相談するのが一般的です。
さて、その日本政策金融公庫は「小企業の経営指標調査」を定期的に行っており、収益性や生産性などの指標値が業種別に集計されて公開されています。原則として「日本標準産業分類」に従って小分類、細分類まで区分されているため、飲食店の業態毎の違いも、かなり把握できることになります。
「小企業の経営指標調査」の調査対象は日本政策金融公庫の取引先(≒融資先)からサンプリングされた先のため、その数値は各種の政府統計と比較しても、小規模な飲食店の実態に近いものと考えられます。

 

 

飲食店各業態の経営指標

本コラムを執筆している2022年7月現在、「小企業の経営指標調査」の飲食店についての集計の最新版は2019年度の調査結果です。当該年度は新型コロナウイルス影響が小さいと考えられるため、平時における状況を知るという意味では、好都合といえるでしょう。
以下、同調査から、飲食店各業種(業態)毎の【店舗面積3.3㎡あたり売上高(千円:年間)】と【売上高経常利益率(償却前)】を抜き出してみました。利益率について売上高経常利益率(償却前)を抜き出したのは、償却後の値だと確定申告に当たって開業費の任意償却などで利益調整されている可能性があるので、償却前のほうがお店の実態としての利益に近いと考えたためです。

 

 

全体の平均として経常利益は約240万円となりました。飲食店の個人事業主の確定申告では、お店の売上から、食材費、人件費、店舗家賃などお店の経費を差し引いたものが飲食店経営による基本的な事業所得となりますので、この推定では240万円が飲食店経営による年収と考えることができます(納税という観点では、ここから開業費の任意償却や青色申告特別控除を行なって、計算上の事業所得とする)
なお、夫婦で飲食店を経営している場合には、人件費の中で配偶者への専従者給与が支払われていることが想定されるため、世帯年収としてはさらに+100万円程度得ている計算になるかもしれません。

また、表中ではお好み焼き屋が最も年収が高い計算になっていますが、黒字企業7件のなかに超繁盛店があって平均を引き上げている可能性があるかもしれません。この試算で採用した一律60㎡の店舗面積も、厚生労働省の「飲食店営業(一般食堂) の実態と経営改善の方策」などを参考にしましたので現実的な設定とは考えるものの、より精緻に考える場合には信頼できる個人事業の飲食店の業態別店舗平均面積データが必要になります。あくまで入手可能なデータと現実的な仮定に基づく推定の例とお考え下さい。

 

赤字店舗の経営者はどうやって生計を立てているのか?

最後に66.4%の赤字店舗の経営者は、どうやって生計を立てているかという点についても考察してみます。
まず、飲食店経営は開業後、十分な認知浸透や、固定客が定着するなどにより営業が黒字化するためには一般的に数ヶ月かかることから、開業前の蓄えを取り崩して凌いでいる可能性があります。
次に、飲食店経営以外の収入源を確保している場合が想定されます。日本政策金融公庫が毎年公開している「起業と企業意識に関する調査」の2021年度P.9によると、“起業家全体のうち事業からの収入が経営者本人の定期的な収入に占める割合が「100%(ほかの収入はない)」である人は40.5%”とあるため、残りの59.5%は、なんらかの副収入を得ていることになります。
飲食店の赤字店舗の割合が66.4%で、起業家全体のうち副収入源を確保している割合が59.5%ということに照らすと、飲食店経営者経営者についても相当数が副収入源を確保し生計を成立させていると考えられます。

 

 

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