飲食を開業しようとしている方の中には、飲食店の経営が難しいのではないかと躊躇している方もいるのではないでしょうか。特にこの時期ですし!
しかし、難しいと言われる理由を理解し、ポイントをおさえておくことで、成功する可能性がグンとあがります。
飲食店を経営するメリット
飲食店を始めるメリットとは何なのでしょうか。代表的なものに、以下の3つがあります。
- 誰でも参入しやすい
- 飲食のニーズは決してなくなる事がない
- 知名度を上げて売上を伸ばす可能性
まずは、オープンにあたって難しい資格が必要なく、誰でも気軽に始めるチャンスがある点が挙げられます。また、人間は食べることなく生きていくことはできないため、飲食という大きいくくりでいえば、安定したニーズがある点もメリットでしょう。また、最近ではSNSなどを通じて話題を集め、知名度が急激に上がるケースもあり、売上を短期間で急増できる可能性がある点も、見逃せない魅力です。
飲食店経営が難しい理由
その一方で、飲食店経営は非常に難しいのも事実です。飲食店の経営が難しいと言われる要因は大きく7つあります。
- 売り上げが不安定
- 初期投資
- 競争相手が多い
- 在庫管理が難しい
- 人手不足
- 休みが取りにくく、長時間労働
- 利益率が低い
売り上げが不安定
飲食店の経営が難しい最大の理由は、社会情勢や気候など外的な要因で売り上げが不安定なことです。
例えば、天候の影響で売り上げが下がる事も考えられます。台風や大雪の日に外食しようと考える人は少なくなります。また、季節によって食品の値段が変化して売り上げが上下することも多いです。
自転車操業で経営をしていると、このような状況が起きた場合、たちまち経営が成り立たなくなってしまいます。たとえ売上のある飲食店でも、外的要因を常に正確に予測するのは困難であるため、売上が常に安定しているとは言い難いでしょう。
初期投資がかかる
飲食業は開業時に、厨房機器や備品、内装工事など多額の初期投資がかかります。さらに運転資金や広告代が必要になる事を考慮すると1000万円程度を見積もっておいた方がいいでしょう。また、一度オープンしたら簡単に店舗を変えることはできません。移転するとなると、新店舗のオープン費用だけでなく、現在の店舗の現状復帰(物件を入居する前の状態に戻すこと)にも少なからず費用がかかります。このことからも、店舗の立地選びは慎重に行う必要があります。
競争相手が多い
競争相手が非常に多いことも飲食店経営を難しくさせるポイント。
競争相手が多くなる要因には、飲食業界に参入するハードルが低いことが挙げられます。先に述べたように、飲食店を開業すること自体はそう難しいことではありません。難関資格などは必要なく、食品衛生責任者資格、防火管理者の資格を取得することで開業できる業種です。実は調理師免許の取得も必須ではないのです。必要最低限の資格を取得すれば経営を開始することができるので、自然と競争相手が多くなり、他店と差別化するための戦略を考える必要が出てくるのです。
在庫管理が難しい
飲食店の経営が難しい要因の1つに「在庫管理の難しさ」があります。飲食店は日々食材を仕入れますが、日によって廃棄ロスの量が違い、廃棄が多い時は売上げに大きく影響します。
例えば、宴会で団体の予約があり食材を仕入れていたのに、当日キャンセルになった場合、用意した食材が全て廃棄となる可能性があります。廃棄ロスは飲食店経営にとって非常に大きなリスクとなることを理解しておきましょう。
人手が不足しやすい
飲食店は、競合となる店舗が多いことや給与が比較的低い水準にあることなどの理由で人手が不足しやすいという特徴があります。また、飲食店で働くには体力も必要となるため継続的に働ける人材は比較的少ないでしょう。
人手が足りなくなると、他の従業員に負担がかかります。そのため、しっかりフォローできていないと、次々に従業員が辞めてしまうということも考えられます。
休みが少なく長時間労働
通常期 | 繁忙期 | |
1週間当たりの実労働時間 | 40.0時間 | 49.6時間 |
飲食店の場合、大部分の雇用者が一週間に40時間以上勤務しており、労働時間が長くなりがちです。これは飲食店の人手不足の要因の一つにもなります。
飲食店を経営する際に長時間労働が必要となる理由には様々なものが挙げられます。例えば、飲食店の店舗にもよりますが昼の営業に加えて夜間の営業も行う場合には、当然労働時間はそれに比例して長くなります。さらに料理の仕込みに時間が必要になる場合は、店舗の開店時間よりも前にキッチンに入る必要が出てきます。
このような理由から、とくに飲食店経営者の場合、長時間労働が必要になることが想定され従業員のシフトの管理や労働時間の調整も難しいと言えるでしょう。
利益率が低い
飲食店経営が難しい理由に、営業利益率が低いということもあげられます。経産省によると飲食店の営業利益率の平均はおよそ9%とされています。なお、営業利益は以下の式で求めることができます。
営業利益=売上ー原価ー販売管理費
飲食店を経営する際には、食品を仕入れる際の費用(原価)だけでなく、家賃や従業員への給与などの販売管理費も考慮する必要があるため、利益率が低くなってしまいがちです。
利益率を上げるためには、人件費の削減や家賃の削減、または原価の低い食品の使用や原価率を下げるという対策を講じることができます。ただし、先述したように飲食店は人手が不足しやすい傾向にあるため、人件費の大幅な削減は現実的ではありません。人件費をなるべく下げずに利益率を上げるには、食材ロスを減らす、または客単価を上げるという考え方の方が現実的でしょう。
最後に
今回はここまでといたします。
次回も引き続き『飲食店経営は難しい?その理由とやるべき準備や成功のポイントは』を紹介してまいります。