山梨県の郷土料理である「ほうとう」。野菜がたっぷり入っているので栄養満点で、味噌ベースの汁を飲めば体もポカポカ温まります。寒い日が続き、風邪を引きやすくなるこの時期にはピッタリのめん料理です。
調理が難しそうなイメージもあるほうとうですが、実は自宅でも作ることができます。今回は、ほうとうの歴史から、具材や家で作るときのポイント!
ほうとうとは?
ほうとうとは、小麦粉を練り太めに切って作っためんを、ネギやシイタケ、ジャガイモなどの具材とともに味噌仕立ての汁で煮込んだ、山梨県の郷土料理です。
野菜がたっぷり入っているので栄養満点で、味噌ベースの汁を飲めば体もポカポカ温まります。使う野菜に決まりはありませんが、カボチャを入れて作ることが多いです。
手間いらず
めんと季節の野菜を味噌仕立ての汁で煮込むだけのほうとうは、作る手間がかかりません。
栄養バランスに優れている
また、めんの小麦粉や具材の芋類によってデンプン質を、味噌や肉類によってタンパク質を、野菜によってビタミン類を摂れるなど、栄養バランスに優れた料理です
家庭では大鍋で作ることが多いですが、お店では1人分ずつ鉄鍋で提供されるのが一般的です。
ほうとうのめんの特徴
ほうとうのめんは小麦粉を水で練り伸ばして折り重ね、幅広に切って作ります。
見た目はきしめんに似ていますが、ほうとうは製造工程で塩分を混ぜません。
そのため、めんを湯がいて塩分を抜く手順が要らず、生めんから煮込むところに特色があります。
また、うどんやきしめんは、麺を打った後に寝かせて、幾重にも重ねて切っていきますが、ほうとうのめんは打って伸ばした後、コシのもとである「グルテン」が形成されるのを待たずにすぐ切るので、食感が柔らかくなります。
煮くずれしやすく、打ち粉を落とさず煮込むので汁にはとろみがつきますが、煮くずれしためんがみそとまじりあった味が、「ほうとう」のおいしさなのです。
また、とろみがつくと汁が冷めにくくなるため、食べ終わるまでアツアツをキープできる点も理にかなっていますね。
ほうとうのつゆの特徴
ほうとうの出汁は主に煮干しで取り、味噌を加えて味付けをします。だしの煮干しは取り出さず、そのまま具材にすることもあります。
そこに、野菜を中心とした具材を加えて煮込むことで、麺から出るとろみが加わり、味に深みが増します。
野菜に決まりはありませんが、カボチャや根菜、きのこ類を多く使います。カボチャは煮崩したものが美味であるとされているからです。
ほうとうの歴史
ほうとうの名前の由来
- 武田信玄が自分の刀で食材を切ったことから「宝刀(ほうとう)」と名付けられた
- 奈良時代に中国から伝来した、うどんの原型とも言われる「餺飥(はくたく)」が音便化(はくたく→はうたう→ほうとう)し、「ほうとう」になった
ほうとうの発祥と歴史
戦国時代に「甲斐(現在の山梨県)の虎」とも呼ばれた武田信玄は、手間がかからず消化も良く、栄養価が高い陣中食として、たっぷりの野菜を加え、味噌で煮込んだものが、山梨・河口湖の「ほうとう」として受け継がれてきたといわれております。
山梨県の大部分が山地であるため、水田が少なく米飯は貴重な食べ物でした。
代わりによく食べられたのがこの「ほうとう」です。食生活の中心となり、昔は「ほうとうの麺を打てないと一人前でない」と言われ、嫁入り修行の第一歩であったようです。
郷土食として、これほど普及しているものも少なく、「朝はおねり、昼は麦飯、夜はカボチャのほうとう」というのが長い間甲州農村の日常生活での標準型であったようです。
2007年には農林水産省主催の、日本各地の農山漁村に伝わり国民に広く支持される「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれているそうです。
「うまいもんだよカボチャのほうとう」とことわざもあるように、全国に誇りうる郷土食であり、長い歴史の中で今でも多くの人々に親しまれています。
ほうとうはさまざまな具材と一緒に煮込むため、不足しがちな栄養をたっぷり摂れるのが魅力です。夏にはネギ、タマネギ、ジャガイモ、冬ではカボチャやサトイモ、ニンジン、白菜、ごぼうなどを具材に使用します。シイタケ、シメジなどのキノコ類や、豚肉、鶏肉を入れるのもおすすめです。
ほうとうはめんの小麦粉や具材の芋類によってデンプン質を、味噌や肉類によってタンパク質を、野菜によってビタミン類を摂れるなど、栄養バランスに優れた料理です。お好みの具材と一緒に煮込み、おいしく栄養を補給しましょう。
家庭でのほうとうの作り方
材料
- ネギ
- タマネギ
- ジャガイモ
- カボチャやサトイモ
- ニンジン
- 白菜
- ごぼう
シイタケ、シメジなどのキノコ類や、豚肉、鶏肉を入れるのもおすすめです。
手順
めんを作る
味噌をといて野菜と一緒に煮込む
めん作りの極意
- 中力粉200g(なければ強力粉40gと薄力粉160g)
- 水90ml
1、 大きめのボウルに中力粉を入れたら、指先で粉を混ぜながら水90mlを加えます。
様子を見て、粉っぽさがある場合は水を少量加えましょう。
ある程度生地がまとまったら、手のひらの付け根あたりで押し込むようにして練ります。
2、ふきんかラップをボウルにかぶせて10分間ほど寝かせます。
表面がなめらかになるまで練ったら生地を伸ばす工程に移りますが、家庭で作る場合はめんが切れやすいので、寝かせると扱いやすくなります。
3、 生地を伸ばしましょう。
生地をねじるようにして2つに分けたら、分量外の中力粉を少々振った平らな台に移し、めん棒で3~4mm 程度の楕円形に伸ばしましょう。
4、 約1cm幅に切って完成
薄く伸ばした生地をびょうぶ畳みにしたら、約1cm幅に切って完成です。