「料理研究家」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
テレビや雑誌などで目にする機会が多いので、料理研究家というと「メディアで活躍する人」と思う方が多いかもしれませんね。
○オリジナルで考えたレシピをメディアで発表したい。
○「テレビで見たあの人」のような料理研究家になりたい。
○特技の料理を仕事にしたい・多くの人に私の料理を知ってもらいたい。
そんな料理研究家に興味のある人に、料理研究家になるにはどんな方法があるのか?
どんなふうに活躍できるのか?わかりやすく見てみましょう。
- 料理研究家の活躍の場は広大!
- 独自の肩書きで活躍する料理研究家たち
- 料理研究家の収入は個人差が激しい
- 料理研究家は「発信」する仕事 料理人は「提供」する仕事
- 料理研究家に資格は不要
- 調理師や栄養士などの資格を持っているとPRの材料に
- 料理研究家になる3つの方法
- 1. 有名な料理研究家のアシスタントになる
- 2. 料理人として働いてから独立する
- 3. あなたの料理をSNS・ブログで世界に発信!
- 最後に
料理研究家の活躍の場は広大!
料理研究家の主な仕事は、「調理」した料理を提供することではなく、料理を「研究」して、世の中に「発信」することです。その料理研究家ならではの新しいメニューや、レシピの考案・開発をします。
以下のような働き方をする料理研究家もいます。
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■料理研究家の仕事例■食品メーカー、飲食店と契約して商品開発をしたり、アドバイスをしたりする
料理教室を開く
専門学校で講師を勤める
キッチンスタジオに就職する
食器をプロデュースする
調理器具のメーカーで開発に協力する
独自の肩書きで活躍する料理研究家たち
独自の分野で活躍し、その人ならではの肩書きを持つ料理研究家もいます。
たとえば、「科学する料理研究家」のさわけんさんは、科学者が見つけた調理の理論を料理に応用したレシピを考案しています。
科学的な理論に基づいた料理を作ることで、調理のムダを省き、「論理的」な手順で作れるレシピを発表しています。
料理研究家の収入は個人差が激しい
これまで見てきたように、料理研究家の活動や活躍場所は多岐に渡ります。
そのため、収入源も十人十色です。有名か無名かによっても、収入は左右されます。
たとえば、テレビ出演をしたり、書籍を出版したりしているような料理研究家であれば、ギャラや印税が収入源になるでしょう。人気度や知名度に比例した額のギャラをもらえるかもれません。雑誌に連載コーナーを持っている場合、原稿料も収入となります。
知名度があがればあがるほど、活躍のフィールドが広がり、年収もアップする可能性もあるため、数百万円の年収を稼いでいる人もいるでしょう。
いっぽう、料理教室を開校している料理研究家は、月謝や会費が収入源になります。
食品メーカーや専門学校などに勤務している場合は、雇用先から給与をもらうことになるため、比較的安定した収入を得られるでしょう。人によって活動のフィールドが異なるので、料理研究家は収入の個人差が激しく、平均的な収入も人それぞれです。
しかし、レシピ本を出版したり、料理教室の規模が大きくなったりするなど、チャンスをつかむことができれば、一気に収入がアップする可能性はあります。
料理研究家は「発信」する仕事 料理人は「提供」する仕事
一見、料理研究家と料理人は、同じような職種に思えるかもしれません。
メディア出演する料理人もいるため、混同しがちかもしれませんが、両者はまったく別の職業です。さきほども書いたように、「料理研究家」は、メニューやレシピを開発するなど、料理を研究し、発信するのが仕事です。
いっぽう「料理人」の仕事は、レストランなどの飲食店で調理をして、お客さまに料理を提供することにあります。
料理人の職場は、基本的に店舗です。
店舗で修行を積み、キャリアアップをはかっていくのが一般的だといわれています。料理研究家と料理人は、仕事の本質や活躍できるフィールドが、根本的に異なるといえるでしょう。
料理研究家に資格は不要
料理研究家を目指すにあたり、必要な資格はありません。
とはいえ、食に関する知識や、調理の技術を備えておくに越したことはないでしょう。
以下の4つが、料理研究家と関連のある資格です。
調理師
栄養士
管理栄養士
フードコーディネーター
でも、+αの資格で活躍の場が広がることも
栄養士、管理栄養士の資格を取得する過程では、食品学や栄養学などを学べます。
たとえば、「健康」に特化したレシピを考案する料理研究家を目指す場合、栄養素と人体の関係は知っておく必要があるでしょう。そんなとき、栄養士の資格取得にあたって学んだ「食事療法論」や「栄養生理学」などの知識は、きっとレシピの考案に活かせます。
料理のプロフェッショナルになるからには、ハイレベルな調理技術を持っていることも望ましいでしょう。
独学で調理技術を覚えるのもひとつの手ですが、調理の正しい技術を勉強したい方、調理の基礎をしっかりと身につけたい方には、調理師資格の取得もオススメです。また、フードコーディネーターの資格を取得すれば、CMや広告、ドラマなどに使われる料理の作り方や、撮影時のスタイリング、テーブル・コーディネートなどの美的センスを鍛えることもできます。
調理師や栄養士などの資格を持っているとPRの材料に
資格取得のメリットとしてあげられるのは、外部にアプローチする際に一定の信用を得られやすいことです。資格を持っている=本格的な料理の勉強をしたことがある「証明」にもなりえます。いってみれば「料理の素人ではない」ことがアピールできますので、クライアントに安心感を持ってもらえるかもしれません。
仕事をもらいたときや、PR活動を行う際などに、資格を「安心材料」や「個性」として活かせる可能性はあるでしょう。
料理研究家になる3つの方法
料理研究家になるには、主に以下の方法があげられます。
1. 有名な料理研究家のアシスタントになる
プロの料理研究家のもとで、経験と実践を積む方法です。
プロの調理技術やノウハウを間近で学べます。
駆け出しのころは、食材の買い出しや仕込みが業務の中心で、雑誌やテレビの撮影を手伝うこともあるかもしれません。
プロの料理研究家が教室を持っている場合は、教室の清掃なども業務内容のひとつです。
料理研究家としての経験を積めば、調理をさせてもらったり、料理の原稿を書かせてもらったり、レシピ作りを頼まれたりする可能性もあります。
アシスタントになる場合、雇用主は料理研究家です。
時給や雇用条件は雇用主によって異なりますので、生活スタイルや希望給と照らし合わせたうえで応募しましょう。
求人の募集は料理研究家の公式ホームページか、求人サイトに掲載されていることもあります。「この人のもとで修行したい」と思う料理研究家がいる場合、まずはホームページか求人サイトをチェックしてみましょう。
2. 料理人として働いてから独立する
お客さまがいる調理の現場で腕を磨き、実力の土台を作るのもひとつの手です。
レシピのヒントを得たり、料理を食べた人の反応を観察したりしたい方は、飲食店で働くこともオススメです。
実例として、多数のエッセイ集、レシピ本の出版で知られる高山なおみさんは、飲食店でシェフを勤めたのち、料理研究家になりました。
シェフの経験を活かして『諸国空想料理店』というレシピ本を出したり、雑誌で連載を持ったりして、キャリアを築きます。
3. あなたの料理をSNS・ブログで世界に発信!
インターネットが発達した現代では、個人が発信できるツールを使って、料理研究家として活躍するのも夢ではありません。
●SNS/ブログなどで料理を発信する
●レシピ共有のアプリに投稿する
●動画サイトにレシピをアップする
こうした活動を通して注目が集まる可能性もあります。
SNSやブログがきっかけで出版社から声がかかり、レシピ本を出版した人やテレビに出演する人もいます。このような情報発信ツールを使うことで、一般人から料理研究家になる人が出てきたのは、現代ならではの現象かもしれませんね。
料理研究家として活躍するには、「自己プロデュース力」も必要
料理研究家として有名になれば、このように活躍できる可能性があります。
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料理教室の開業
料理番組に出演
新聞、雑誌、webメディアの連載
レシピ本の出版ドラマや映画で使う料理の提供
華やかなイメージもあるメディアでの活動は、料理研究家を目指す方にとっては憧れの舞台かもしれませんね。
『ごちそうさまが、ききたくて。』の著者で知られる栗原はるみさんは、まさにメディアで活躍し、有名になった料理研究家です。
一度は、名前を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
阿古真理の著書『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』によれば、栗原さんが料理研究家になったきっかけは、中華料理のシェフに料理を習いに行ったことでした。
来客が多かった栗原家で、学んだ料理のコツを活かし、栗原さんはお客さまに料理をふるっていました。そんなとき、彼女の料理を食べたあるテレビ局関係者は、その腕前に驚きます。
栗原さんを某テレビ局のスタッフに紹介し、料理番組の裏方として、彼女は仕事をはじめました。その後、栗原さんはある生活情報誌から特集(焼き肉特集)の依頼を受けます。
時代は生活情報誌ブームだったため、栗原さんへの仕事依頼は絶えなかったそうです。
このような経緯を経て、『ごちそうさまが、聞きたくて。』を出版した栗原さんは、「カリスマ主婦」として一躍有名になります。
数々の書籍を出版したり、雑誌の連載を抱えたり、テレビやCMに出演したりと、栗原さんはメディアで人気を博す料理研究家になりました。
しかしながら、栗原さんのように本を出したり、テレビに出演したりできる料理研究家は、多くありません。腕前を磨き、その人ならではの「個性」や「強み」を確立させ、PR活動などを頑張れば、メディアの舞台で花が開く可能性はあります。
SNSやブログ、動画サイトなど、現代ならではのツールを駆使すれば、チャンスはめぐってくるかもしれません。
料理研究家には、自分をプロデュースする能力も必要といえるでしょう。
発信力・求心力を強化し、自己プロデュース力も磨けば、メディアで台頭できる可能性は0ではないでしょう。
最後に
一人前の料理研究家になるには、それ相応の調理技術、センス、発想力、食品の知識なども求められます。決して、簡単になれる職業ではないでしょう。
専門学校で講師として働いたり、料理教室を開業したり、食品メーカーに就職したり、活躍できるフィールドはさまざまです。もちろん、マスメディアを通じて有名になれる可能性もあります。料理好きな方、得意の料理を仕事にしたい方、オリジナルのレシピを世の中に広めたい方は、プロの料理研究家を目指してみてはいかがでしょうか。