“しっかりと焼き色がついたパンに真っ白な生クリームのコントラスト” が見るからに美味しそうな日本でもプチブームを巻き起こしたイタリアのお菓子、マリトッツォ。
日本ではいろいろな進化を遂げたマリトッツォが登場していますが、本場イタリアのマリトッツォとは そもそもどんなものなのか?
ってイタリア物ま〜ま〜多いな!『ティラミス』『パンナコッタ』『ジェラート』、、、。
今回は最近まで流行っていた?『マリトッツォ』についてです。
イタリアのマリトッツォとは?
マリトッツォ(maritozzo)とは
オレンジピールで香りづけしたブリオッシュのような軽い食感のパンに生クリームをたっぷりと挟んだイタリアのローマ発祥のドルチェ(デザート)です。
イタリアの朝のバールではこのマリトッツォを頬張りながらカッフェで朝食、というのもよく見る光景なんですよ。またイタリアのマリトッツォはバールなどでは注文してからその場で生クリームを挟んでくれるスタイルも一般的です。なので「イタリアのバールでマリトッツォが欲しかったけどショーケースには無かった。」という経験をした方もいるかもしれませんね。
※日本で見るようにあらかじめ生クリームが挟んであるものを冷蔵保存して売っているお店もあるそうです。
今ではローマ及び中部イタリアを中心にイタリア全土、いろんな街のバールやパスティチェリア(お菓子屋さん)で見られるこのマリトッツォですがその歴史は古くなんとローマ時代まで遡るんです。
マリトッツォという名前はイタリア語で “夫” という意味のマリート (marito) に由来するのですが、この名前の由来にも諸説ありこのお菓子とともにイタリアの歴史をたどっていくのも面白いですよ。そこでイタリアーノ達が陽気なおしゃべりとともに頬張っていたあのマリトッツォ。さて、そこにはどんな歴史があり、どんな物語があったのか?
マリトッツォの作り方
イタリア式マリトッツォの作り方の特徴は生地作りの前にリエビティーノ(lievitino)という発酵種を作ること。このリエビティーノで作るマリトッツォはふんわりと軽く、歯切れのよい食感が生まれます。また少量のイーストで安定してよく膨らむためイースト臭を抑えることができ、生地に練りこむオレンジの香りがより引き立ちます。
イタリアのマリトッツォによく使われる粉はグルテン含有量が高く、パンなどの発酵生地作りに適しているとされるマニトバ粉という小麦粉。日本の小麦粉で作る場合は強力粉で代用してください。※今回はタンパク質含有量14% のマニトバ粉を使用しています。
ここでは粉500g使用で日本の家庭では量が多いかと思うのでその場合は半量にしてももちろんOK。またイタリアでは一般的に生イーストを使いますがドライイーストでも大丈夫です。
材料 (15個分)
パン生地
- マニトバ粉(or 強力粉) 500g + 打ち粉分少々
- ドライイースト 5g(生イーストの場合は14g)
- 砂糖 70g
- 牛乳 250ml ※人肌程度に温める
- 無塩バター 80g
- 卵(M玉)2個
- オレンジ ½個(皮を使用するのでノーワックスのもの)
- 塩 3g(小さじ約²⁄3杯)
詰め物分
- 生クリーム 300-400ml (高脂肪のもの)
- 砂糖 大さじ3~4ほど(砂糖は好みの甘さで調整してください)
作り方
マリトッツォの歴史と名前の由来
マリトッツォの起源
さて、このシンプルかつ斬新な見た目のマリトッツォ、上でも書いたようにその歴史はなんとローマ時代まで遡るんです。
ローマ時代のマリトッツォは当然生クリーム入れではなく、はちみつで甘くしたパンにレーズンなどのドライフルーツを加えたもので、今のコロンと可愛いサイズではなくもっと大きなものだったそう。遠征時などに携帯していた食べ物だったのではと考えられています。
時代が下るとともにマリトッツォは大きなものから徐々に現在見られるような小さなものになっていきました。
またキリスト教でクアレージマ(四旬節/しじゅんせつ)と呼ばれるイースター前の40日間は肉を控え、粗食にする期間。このクアレージマ中にマリトッツォがよく食べられていたのもイタリアでマリトッツォが広まった理由に挙げられます。この期間に食べられていたのはローマでマリトッツォに伝統的に使われていた動物性油脂のラードではなく植物性のオリーブオイルやレーズンで作るマリトッツォでより四旬節用の質素なもの。
このように生クリームなしでレーズンが入ったタイプのマリトッツォというのは今でも中部イタリアのアドリア海のマルケ州で見られるんですよ。
この質素なタイプのマリトッツォはエル・サント・マリトッツォ(er santo maritozzo/聖なるマリトッツォ)と呼ばれローマの詩人であるジュゼッペ・ベッリ(Giuseppe Belli)が1833年に自身の書で触れています。
ローマの芸術家たちにも愛されたこのマリトッツォは詩や絵画など、いろいろなところで登場します。1960年代にはイニャツィオ・スフィオーネ(Ignazio Sfione)が “Ode ar maritozzo” という詩にローマの方言で「白く美しいマリトッツォよ!..₍中略₎.. コレステロールが上がろうが、医者がダメだと言おうが、マリトッツォ!俺はお前にがぶつくぜ」(意訳)とユーモラスにこのマリトッツォのことを詠っています。
この頃にはすでに現在のように生クリームたっぷりのマリトッツォになっていたようです。
さて、
そんなマリトッツォはなぜ日本でここまでブームになったのでしょうか?
なんと、福岡のアマムダコタンというベーカリーというが、火付け役と言われています。
アマムダコタンは、2018年に開業したお店で、日本各地からパン好きが訪れるという人気のベーカリー。その店主・平子良太さんは、豊かな経験とセンスあふれる商品で、多くのファンを魅了。そんな平子さんが挑んだ商品がイタリア菓子の「マリトッツォ」でした。
2020年4月頃から販売が始まっていたようで、シンプルなものからフルーツをはさんだもの、乳製品、動物性脂肪を使用していないヴィーガンマリトッツォなど、革新的な商品を販売し、そのたびに、SNSで“バズ”り、福岡を中心にまねして作るお店が増えてきたようです。
さらに、2020年11月にカルディコーヒーファームが、マリトッツォを発売し始めてたから、徐々に全国に知られるようになっていきます。
人気セレクトショップのディーン&デルーカやイタリア食材店イータリーなどでも取り扱われるようになりました。
こうした人気ショップなどでの発売により、若者の間での人気に火がつき、注目を集めるように。言うまでもないことですが、昨今の流行の発端といえば、SNSですよね。
インスタグラムなどを通じた、マリトッツォのいわゆる「写真映え」する画像が、人気に拍車をかけました。
日本人は元来スイーツ好き
特に硬めのものではなく、柔らかい生地、そしてクリームが大好き。マリトッツォは見事に当てはまりますね。
しかもマリトッツォの材料は、パン生地に生クリーム、ととてもシンプルなスタイルがよりウケたのではないでしょうか。
『外国の横文字のお菓子』でありながら、材料がシンプルで親しみやすい。日本では手に入らない、しかも味の想像がつかない材料、ではない「自分でも作れるかも?」という、想像ができるお菓子。親しみを感じるのだと思います。さらに、見た目も可愛らしい。
そういえば、和菓子はお団子やお餅など丸いフォルムのものが多いですよね。無意識に安心感を感じるのかもしれません。
さらに、時代はコロナ禍
世の中はテイクアウトすることが、主流になりお店でゆっくりデザートを味わうよりは、気軽にテイクアウトしたい。さらに「映える」見た目。そういった時代的背景もあり、マリトッツォは日本で大ブームを巻き起こしたと考えられます。
最後に
個人的にはそんなに美味しくなかったな〜って印象です。たまたまなのかな?
しかし日本人のブームは年々短くなっているような気がしてたまらない。
すぐに飽きてします。