「接客」と「サービス」には明確な違いがあります。二つの意味が掛け合わさってできたものが「接客サービス」ですが、企業が従業員に接客サービスを行ってもらう目的にはどのようなものがあるのでしょうか。ホテル・旅館業界を含めた接客サービスを行う目的、向上させるためのポイントをご紹介します。
接客サービスとは?
「接客サービス」は、「接客」と「サービス」の2つの語句から成り立つ言葉です。接客業・サービス業という言葉もあるため、「接客」と「サービス」は一見混同してしまいがちですが、両者には明確な差があります。
「接客」、「サービス」それぞれの違いをみていきましょう。
接客
企業の従業員からお客様に向けて、精神的な価値提供が行われること、またお客様をもてなす行為全般を「接客」と呼びます。
お客様とお店・商品・サービスを繋ぐパイプのような役割を持つ接客は、商品・サービスの購入を促すほか、商品・サービスに対し付加価値を与え提供するという役割も担っています。
お客様は商品・サービスの品質のほか、従業員の商品知識・言葉遣い・態度を通じて、企業やお店の良し悪しを判断するため、企業の顔とも言える大切な仕事です。
サービス
サービス提供者からサービス収受者へ向けて、物質的な価値が提供されることを「サービス」と呼びます。
接客業で見たときには、サービス提供者が企業、サービス収受者がお客様となり、企業はお客様から対価をいただき、サービスを提供することが原則ですが、おまけや値引きをするという一部の行為を切り取って「サービス」を呼ぶこともあります。
上記の2つの意味を掛け合わせたものが、「接客サービス」です。お客様から対価をいただき、価値提供を行う「サービス」、それに精神性が加わりお客様と企業の距離を縮める「接客」が掛け合わさった言葉ということを覚えておきましょう。
接客サービスをする目的とは?
接客サービスはどのような目的で行われるのでしょうか。企業が接客サービスを行る3つの目的をみていきましょう。
販売の促進
唯一無二、独占市場であるという商品であれば販促をする必要はないかも知れませんが、数年も経つと必ず競合他社が生まれます。つまり、どんな商品を提供しても、競争はつきものです。その戦いに生き残るべく行われているのが接客サービスです。
自社商品のメリットや他社と比較した数値などの商品知識、トレンドなどをお客様に伝え、お客様に商品を気持ちよく購入していただく手助けを行い、売上を上げることが第一の目的です。
顧客満足度の向上
商品の質は高かったのに、接客サービスが悪かったことから「もうこのお店には行かなくてもいいか」と思われたことがある方も多いのではないでしょうか。逆に、商品は普通だけれども接客サービスが良かったため「また行きたい」と思ったお店もあることでしょう。
企業やお店の評価、いわゆる顧客満足度は、従業員の接客サービスの質により大きく左右されるとともに、売上にも大きく関わる重要な指標です。良い接客サービスが提供できれば、顧客満足度の向上が見込めるでしょう。
リピーターを増やす
良い接客サービスを受けたお客様は、「また来たい」「また行きたい」と思うようになります。次回も必ずここにする、という強い意識を持つお客様の数は少ないようですが、次回購入の際、選択の優先度が上がることは大いに考えらるでしょう。
リピーターが増えることは、直接的な売上向上のほか、口コミなども広がりやすくなりますので、接客サービスでも特に重きを置かれている目的となっています。
また、上質な接客サービスを行うことは、お客様のみならず従業員も嬉しい気持ちになることが多いでしょう。下記の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
「あの接客は嬉しかった!」お客様・従業員が嬉しかった接客を紹介!
接客サービス力を向上させるために必要なこととは?
接客サービスを向上させるためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。技術面・精神面の2面から、接客サービス力の向上に必要なポイントをご紹介します。
技能:商品・サービスの知識を身に付ける
商品やサービス知識がある従業員は、接客サービス力が総合的に上がりやすいという特徴があります。「痒い所に手が届く」という言葉もあるように、お客様が困ったり、迷ったりしている時に背中を押してくれるのは知識です。
一番人気の商品を薦める時の理由としてただ「流行っていいます」と一言話す従業員と、「〇〇が他社に比べて、〇%も優れているのでご好評いただいています」と話す従業員とでは、どちらの方が説得力・納得力が生まれるかは一目瞭然でしょう。
知識は最高の武器。接客サービス力を向上させたいと考えている方は、まずは誰にも負けない商品知識を身に付けるようにしましょう。
技能:接客スキルを身に付ける
接客の基礎知識を身に付けていなければ、上質な接客サービスは提供できません。
接客スキルの基礎は、笑顔・言葉遣い・傾聴・距離感など多岐に渡りますが、スキルを向上をさせるのは一朝一夕にはいかないので、日々意識を保ちながら、自分に合わせた表現ができるように接客を行うことが大切です。
また、自己完結をするだけではさらなる向上は見込めませんので、一流の接客スキルを身に付けたいと考えている方は、先輩に倣ったり、他競合・他業界の接客も研究してみることをおすすめします。
精神:感情を表現する
お客様の記憶に残りやすい接客サービスには、感情がつきものです。困っている時に手を差し伸べてくれたり、ささいなことで笑顔にしてくれたり、新しい発見を与えてくれたりするような接客サービスは、記憶に残りやすいでしょう。
お客様が感情を表現をした時には、サービス提供者もその感情に寄り添うことが大切です。お客様の感情に共感をすることで、お客様は従業員、ひいては企業やお店との距離が近くなったと感じ、無意識化でも心が動かされるものです。
あまり極端なリアクションは企業によってはNGとされている場合もありますので、職場の色に合わせた感情表現を行えるように意識をしましょう。
精神:おもてなしの心でお客様に接する
日本ならではの言葉として、接客業でよく用いられるのが「おもてなし」ですよね。
ホスピタリティの類語とされるおもてなしは、お客様が来店している・していないに関わらずお客様を思いやる行動を行うことを指すため、ホスピタリティよりもサービス提供時の精神性が強いとされています。
おもてなしの心を持ち、接客サービスを提供することで、お客様に感動を与えることができ、顧客満足度の向上にも繋がりますので、ぜひ下記例なども参考におもてなしの心を持った接客サービスを行ってみてくださいね。
ホテル・旅館などの宿泊業界での接客サービス
質が高いとされていることで有名でしょう。
そんな、宿泊業界の接客サービスで大切なのは、「先を読むこと」です。
ホテル・旅館で提供しているのは、時間と空間という無形サービスであり、サービス提供時間が長いことが特徴です。販売などの接客サービスとは異なり、お客様に長時間快適に過ごしていただくには、一度でも嫌な思いを抱かれてはなりません。
ですので、常に先を読み、お客様が考えていることを先回りした接客サービスを行うことが重要と言えるでしょう。
接客サービスと一口に言っても!
様々なサービス提供の形があります。くわえて、企業により、客層・年代・性別・地域など、提供するサービスを届けるターゲットも異なりますので「これが正解!」と言い切ることはできません。
働いて間もない、もしくはこれから働くという方であれば、先輩の背中を見て接客サービスを行うことが、質の高い接客サービスを行う近道になるのではないでしょうか。自社に適した接客サービスを行えるように、日々意識をしながら接客を楽しんでくださいね。
また、「更に質の高い接客サービスを行いたい」と考えている方は、宿泊業界がおすすめです。当サイト「おもてなしHR」で求人を探し、就職・転職サポートを受けることで、スムーズな就職が可能ですので、宿泊業界を検討している方はぜひご活用ください。
最後に
質の高い接客サービスを行い、お客様を笑顔にするとともに、ご自身も毎日楽しく働かれる環境づくりができることを願っています。