おもてなしとはどのような意味なのか、気になる人もいるのではないでしょうか。マナーやサービスとの違いが気になる人もいるかもしれません。今回は、おもてなしとはどのようなものかや、おもてなしの心構えの他、どのようにおもてなしを実践すればよいか、シーン別に例を挙げてご紹介します。。
ホテルや旅館で重視されるおもてなしの心
おもてなしの言葉が周知されるようになったのは、2020年に開催される東京オリンピック招致の際に、日本ならではの「おもてなし」をキーワードにしたプレゼンテーションが各メディアで話題となったこともきっかけの一つと言われています。
ホテル業界や旅館業界、飲食業界など、おもてなしはさまざまな分野で重要視される要素であり、お客様と接する職種で働く人にとっては身に付けることが必須条件とも言えます。
今回の記事では、おもてなしとはどのようなものかや、おもてなしの心構え、おもてなしの実践例などをご紹介します。
「おもてなし」とは?
おもてなしとはどのようなものなのでしょうか。マナーやサービスと比較しながら、ご紹介します。
「マナー」とは?
食事マナーや公共マナーなど、さまざまな場面で使われるマナーという言葉。「マナー」とは、行儀作法を指し、相手に不快感を与えないための最低限のルールとされます。
「サービス」とは
「サービス」にはいくつかの意味がありますが、仕える、奉仕するなどの意味もあり、一つの「商品」として対価が発生するものを指します。お客様が求めるものを、過不足なく提供することがサービスです。
「おもてなし」とは
おもてなしには、二つの意味があり、一つはお客様への接遇の意味を持つ「もてなす」という言葉の丁寧語としての形です。二つ目は、「表裏無し」という言葉が由来となった、区別のない心でお客様に接するという意味です。一般に使われるおもてなしとは、この二つの意味が組み合わせたものと考えられています。
ホテル業界などでもよく使われる「ホスピタリティ」もおもてなしに似たニュアンスを持った言葉で、対価を求めないことも特徴の一つです。
もてなしに対してチップを払う文化のある海外に対し、日本ではお客様を尊重しておもてなしすることが文化として根付いており、日本のおもてなしの質の高さに驚く外国人観光客も多いと言われています。
おもてなしの心構え
おもてなしを実践するための心構えとはどのようなものでしょうか。
お客様の期待を超える、良い意味での「裏切り」
お客様が求めるものを、求める通りに提供するのがサービスであるなら、おもてなしでは、お客様の予想を上回るものを提供します。相手のことをよく観察し、よく考えたからこそ生まれる心配りが、おもてなしにおいて大切な要素の一つです。お客様の予想を良い意味で裏切る心遣いがお客様の心を感動させるでしょう。
お客様の満足に合わせた「変化」
マニュアル通り、どのお客様にも同じように対応をするのではなく、一人ひとりに合わせた丁寧な応対こそおもてなしと言えます。お客様の状況を読み取り、臨機応変に対応を変化させることで、お客様の心に寄り添ったおもてなしができるでしょう。
おもてなしに必要な心の「余裕」
お客様の心に寄り添うためには、まず、自分自身の心に余裕が必要です。業務で手一杯の状態では、お客様を観察する余裕も生まれないでしょう。また、仕事のことばかりで自分の心を縛らずに、趣味を楽しんだり、気分転換に旅行をしたりなど、さまざまな時間を持つことも気持ちに余裕を生む秘訣の一つかもしれません。
【シーン別】お客様の心をつかむおもてなしの実践例
飲食のシーン
レストランなど飲食の場面では、お客様のアレルギーや好き嫌いを伺う場面もあるでしょう。アレルギーのある食品を除去するだけではなく、その代わりとして他の食材で工夫した一品を提供してくれたことに感動したという人も多いようです。ホールを担当するウェイターと料理を作る調理師の連携など、おもてなしにはチームワークも必要です。
受付やご案内のシーン
ホテルや旅館のフロントなどで、自分が以前利用したことを覚えていてくれたことに感動する人も多いようです。何年も前にした話を覚えていてくれるなど、自分がお客として大切に思われていると感じる人も多いのかもしれません。
また、小さな子ども連れのファミリーや妊婦など、館内の案内の際などに受けた気遣いが嬉しかったという人もいるようです。自分以外の誰かの視点に立って考える想像力も、おもてなしの実践において重要と言えるでしょう。
お客様のお見送りのシーン
ホテルなどでの見送りの際に、いつまでも手を振って見送ってくれたことが嬉しかったという人もいるようです。また、冬場に飲食店を利用した際、帰るときに「お気をつけて」の言葉と共に携帯用カイロを手渡されたことに感動したという声もありました。
お客様を感動させる心からのおもてなし
おもてなしとは、サービスとして当たり前に提供されるものと違い、お客様一人ひとりへの気遣いが込められたものです。お客様の様子をよく観察し、どのようにすれば喜んでいただけるのか考えることが、おもてなしの実践において大切でしょう。
日本ならではのお客様を尊重する文化を継承し、国内外のお客様に質の高い「おもてなし」を提供できるとよいですね。