食事の作法は国が変われば、ガラリと変わります。
例えば、フレンチはナイフとフォークでウェイターに意思表示をしたり、ポルトガルでは食事に調味料を足してはいけなかったりと、文化によって様々。
そんな、難しくて苦手意識を持ちやすい食事マナーですが、あらかじめ正しい知識を知っておけば安心です。
- 円卓テーブルの座り方
- オーダー方法
- コース料理の流れ
- 円卓での料理の取り方
- れんげの正しい持ち方
- 正しい食べ方~スープ・麺類~
- 正しい食べ方~甲殻類~
- 正しい食べ方~点心軽食メニュー~
- 中国茶について
- お酒について
- 最後に
円卓テーブルの座り方
最初にご紹介する中華料理のテーブルマナーは、円卓テーブルの座り方です。
円卓テーブルには、日本と同じように上座(上席)と下座(末席)があります。社会的地位の高い人や主賓、目上の方などが上座に座ります。また、上座は入口から遠い席で、反対に入口から近い席が下座になります。
日本と同じような座り方ですね。
自分が招待された場合は、ひとまず上座と下座が分かればOKです。後は案内された位置の席に着きましょう。
オーダー方法
自分が招待された場合はそのままお任せでも大丈夫ですが、自分がおもてなしする場合は料理のオーダー方法も知っておかなくてはなりません。
中国料理のメニューを見てまず思うのは、漢字とメニューの豊富さかと思います。とはいえ、メニューに使用されている漢字は種類が少ないので、基本を覚えておくと便利です。
また、中国料理は大皿から取り分けて食べることが基本です。コース料理でも、アラカルトの場合も変わりませんので、量に気をつけなければなりません。コース料理をオーダーする場合は、何人分のコースであるかを確認しましょう。
アラカルト料理をオーダーする場合は、メニュー表記の小盆=2~3人分、中盆=4~5人分を参考にすることが一般的ですが、店によって量が違うので、心配な場合はきちんと確認しましょう。
コース料理の流れ
次にご紹介する中華料理のテーブルマナーは、コース料理の流れです。
コース料理をオーダーした場合は、料理の流れを覚えておくと、自分の食べる量や飲む量を調節できるので、覚えておきましょう。
①前菜…食欲を駆り立てるための量が少なめの料理が出されます。基本的に冷たい料理ですが、温かい料理と混ざって出てくることもあります。
②湯(スープ)…温かいスープ。主食の前に胃を温め、食欲を増進させるという意味があります。
③主菜…最初に運ばれるメイン料理。肉・魚・野菜などの料理が3品~5品出されます。
④主食…2回目に運ばれるメイン料理で、ご飯類や麺類などの炭水化物が出されることが多いです。
⑤点心…食事の締めくくりの軽食。杏仁豆腐や胡麻団子などのデザートか、水餃子や春巻きなどの軽食などが出されます。
お酒を頼んだ場合は、前菜の前に突き出しが出ることもあります。
円卓での料理の取り方
次にご紹介する中華料理のテーブルマナーは、円卓での料理の取り方です。
中国料理は、大皿のメイン料理から自分の分を取り分ける方式ですが、料理は取り分ける順番があります。
まず初めに、一番目上の方(上座に座っている人)から順番に取っていきます。1回目に取り分ける際は、少な目に取り分けましょう。
また、食べ始める順番も決まっており、一番目上の方が食べ始めるまで料理に手を付けてはいけません。
2回目からは自分の食べたいものをとっても大丈夫ですが、円卓の上に倒れやすいお酒の瓶や、誰かが料理を取っている途中ではないかを確認して料理を取り分けましょう。
ちなみに、中国では日本のように皿を持ち上げて食べるということはタブーです。取り分ける際も皿を持ち上げてはいけませんので、気を付けるようにしましょう。
れんげの正しい持ち方
コース料理でも湯で出てくるスープや、主食に出てくるご飯類や麺類などはれんげを使用して食べます。ラーメンなどで私たちの食文化にも根付いているれんげですが、実はきちんとした持ち方で使用している方は少ないのです。
れんげを持つときにスプーンを持つように持っていませんか?
実はこれ、間違った持ち方です。
正しい持ち方は、レンゲの溝に人差し指を入れて、親指と中指で挟むように持ちます。日本では橋の持ち方を正しく持つように練習しますが、それと同じように、食べる際の道具の間違った持ち方をすると、とても目につきますので、きちんとした持ち方を実践しましょう。
ちなみに、レンゲの先端を口の中に居れることもタブーなので気を付けましょう。
正しい食べ方~スープ・麺類~
日本人は、麺類を食べるときにすすってしまいますが、この食べ方は中国ではタブーです。中国では、汁物や麺類などを食べるときには音をたててはいけないという決まりがあります。また、器を持ち上げて、直接口をつけてスープを飲むこともタブーです。
そんな時に利用するのが『れんげ』です。
あついものはれんげの上に乗せて取り分けて食べれば、ある程度冷めて食べやすくなります。中国料理は日本人にもなじみのある料理なので、ついつい音を出して食べそうになりますが、気を付けましょう!
正しい食べ方~甲殻類~
主菜として出てくる、上海ガニやエビなどの殻付きの甲殻類。どうやって食べていいか迷う料理でもありますよね。
上海ガニなどの殻付きの甲殻類は、特に決まった食べ方はありません。自分の食べやすい食べ方で食べるのが一番です。
ちなみに、カニは体を冷やす食材と中国ではされており、一緒に紹興酒や生姜湯を飲む習慣があるそうです。
次に、殻付きのエビ料理ですが、これは殻ごと食べて、後で口から殻を取り出します。フィンガーボールが用意されている場合は、手を洗いながら食べることもできます。
なんでも、エビのおいしさはエビの殻と身の間に詰まっているので、そういう食べ方らしいです。あらかじめ、頭としっぽを取っておくほうが食べやすいみたいですよ。
ちなみに、殻を口から取り出す際はナフキンや手で口を覆うこともマナーの一つです。
正しい食べ方~点心軽食メニュー~
点心で出てくる軽食メニューの食べ方ですが、これにもきちんとしたマナーがあります。
焼売や春巻きなどは、一口大に箸で切り分けて食べなければなりません。いきなりぱくっとかぶりつくことはやめましょう。
春巻きは中々切り分けにくいメニューの一つですが、その場合は片手の指先で軽く春巻きを押さえながら、箸で切り分けましょう。
また、饅頭類はパンを食べる要領で、一口大に小さくちぎって食べることがマナーとなります。
中国茶について
中国茶といってもたくさん種類があってわからない…という方のために、簡単にご紹介します。
①緑茶…中国で最も作られて、消費されているポピュラーなお茶。龍井茶(ロンジンチャ)、碧螺春(ピロチュン)など。
②白茶…茶葉が芽吹いて、白毛のある若い芽だけで作られているお茶です。若い芽でしかできないため、生産量は少ない高級品。銀針白毫(ギンシンハクゴウ)など。
③黄茶…軽度の発酵を行い、さらに後発酵させる手間のかかったお茶。そのため生産量が少なく、白茶と並んで高級品。君山銀針(クンザンギンシン)など。
④青茶…わかりやすく言うと、ウーロン茶。発酵した部分と未発酵の部分があるため青色に見えるので、青茶と呼ばれる。大紅袍(ダイコウホウ)、凍頂烏龍(トウチョウウーロン)などが有名。
⑤紅茶…イギリスの影響を受けているが、中国で独自に進化した紅茶。完全に発酵しているので、渋みや苦みがほとんどないのが特徴。中国で2番目に飲まれているお茶。祁門(キーモン)など。
⑥黒茶…出来上がった茶葉に微生物を植え付けてさらに発酵させたお茶。長い間保存できるので、ワインのように長い年代物には価値がつけられている。普洱茶(プアールチャ)など。
⑦花茶…茶葉に花の香りをつけたもの。花そのものが入っているものもある。ジャスミン茶が有名。
以上、7種類のお茶に分類されます。
ちなみに、中国茶は一度オーダーすると、お茶の種類を変えない限りはずっとおかわりできます。おかわりの際は、急須の蓋をずらしたり、急須の蓋をひっくり返して乗せておけば、お替りのサインとなります。
お酒について
最後にご紹介するお酒!
中国料理といえば、紹興酒が有名ですよね。「郷に入らずんば郷に従え」という言葉があるように、中国料理に合うお酒なので、お酒が飲める方は紹興酒を頼んでみてはいかがでしょうか?
ただし、そんな中華料理の席では、独特のお酒のマナーがあります。乾杯の際は、全員起立して、グラスを右手に持ちながら左手を添え、顔のあたりまでグラスを持っていきます。
また、飲むときは一気に飲み干すのがマナーです。
とはいえ、中にはお酒が苦手な方もいらっしゃいますので、その場合は真似だけでも大丈夫です。
中国のお酒を頼むと氷砂糖がついてくることがありますが、基本的に氷砂糖を使うのは2杯目からで、1杯目はそのまま飲むこともマナーの1つです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
中華料理は家庭でも食べられるオーソドックスな料理となっていますが、お店などでいただく際は、せっかくなので正しいマナーで楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと周りの人やお店の方にも喜ばれますよ♪