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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

『飲食店』店舗に食中毒の原因が認められた場合は?

営業の禁停止処分などは管轄の保健所が判断する。立入調査のあと、通常は数日~約1ヶ月以内に処分が決まる。店舗における食中毒事故というと、営業停止や損害賠償を連想するが、すべてのケースが即座に営業停止となるわけではない。

 

食中毒事故で3日間の営業停止に!

その間の給与の支払いはしなくていい?

 飲食店を3店舗経営しておりますが、そのうちの1店舗で食中毒事故が発生し、保健所
より3日間の営業停止処分が下されました。その間の、当該店舗に所属する従業員(社員
及びアルバイト)に対する賃金は支給しなくてもいいのでしょうか。
社員は月給で、アルバイトは時間給。

 

■ 労働基準法 ■

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休
業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなら
ない。」と定められております。(法26条)

 

食中毒事故は従業員が起こしたものかもしれませんが、また例え故意に起こしたものであ
ったとしても、従業員全員を休業させる場合は、使用者の責に帰すべき事由(会社側の都
合で休業)に該当しますので、休業手当の支払いが必要です。


では、その店舗の全員に支払う必要があるかといいますと、そうではありません。

その3日間にシフトが入っている従業員についてのみ休業日につき平均賃金の60%以上
を支払えば足ります。

また、月給者には全額を(減額することなく月給分を支給)、アルバイトには60%を支給
する場合は、差別的扱いに抵触する恐れがありますので、そのようにする場合には明確な
理由が必要です。
食中毒事故は、お店の信用の低下はもとより、被害者への賠償や従業員への補償が必要に
なり、経営に重大な影響を及ぼすことになります。

 

1. 飲食店で食中毒が起こったら営業停止になる?

飲食店で食中毒が発生するなど、本来あってはならないことです。食中毒が発生すると、行政処分の対象になるばかりか、時に刑事事件にも発展しかねません。

(1)保健所から処分を受ける

飲食店で食中毒が発生すると、保健所の調査が入ったあと何らかの処分が下されます。衛生面の改善を求める口頭指導が行われ、従わなかった場合には書面指導が行われるのが一般的です。

営業停止になるのは、行政処分を受けたときです。食中毒を起こした飲食店に対する処分に関しては、食品衛生法に定められています。同法では、食中毒が発生した飲食店は処分の対象となり得ます。営業停止の場合、一定期間は営業ができなくなり、より重い処分は無期限営業停止です。

(2)(重大・悪質の場合)刑事事件に発展することがある

食中毒の発生により、刑事事件に発展するケースがあります。考えられるのは、業務上過失致死傷罪です。刑法211条では、業務上必要とされる注意をせず、それが原因で人を死傷させてしまった場合、5年以下の懲役、もしくは禁錮、または100万円以下の罰金に処すと定められています。

さらに、食品衛生法6条では、腐敗したもの(ただし、例外もあります。)や不潔により人の健康を損なうおそれがあるものなどの販売を禁止しています。これに違反すると、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金になり得ます(同法81条1号)。

たとえば、明らかに状態の悪い食材を使用した、調理器具や厨房が不衛生なまま調理をした、といったケースです。食材のチェックや、厨房・調理器具の清掃など、飲食店が本来行うべきことを怠り、それが原因で食中毒が発生したとなれば、犯罪と判断されるおそれがあります。

(3)飲食店の信用が低下する

食中毒が発生すると、飲食店の信用は著しく低下します。どのような理由があろうと、多くの人は「食中毒が発生するような危ないお店には行きたくない」と考えます。メディアでも取りあげられ、SNSで情報が拡散されるとリピーターだったお客さまも潮が引くように離れていくかもしれません。

信用を得るには膨大な時間を要しますが、失うのは一瞬です。信用を失った飲食店は、集客が難しくなり利益の大幅な減少、最悪の場合閉店に追い込まれます。事業を継続できたとしても、食中毒の発生を伝えるネットニュースがいつまでもインターネット上にデジタルタトゥーとして残り続け、「食中毒のお店」とのレッテルを貼られ続けるかもしれません。

 

2. 飲食店で食中毒が起こった場合の対応

飲食店で食中毒が起こった場合には、顧客と保健所への対応が必要です。また、訴訟にまで発展するケースでは、訴訟対応も進めなくてはなりません。

(1)顧客への対応

お客さまから食中毒になったかもしれない旨の連絡を受けたら、以下のような事項を漏れなく確認しましょう。

  • 氏名や連絡先
  • 来店日時や場所
  • 食べたメニュー
  • 症状が出始めた時期
  • 症状の内容
  • 同席した人にも同じ症状が出ているか

次に、不調を訴えるお客さまには医療機関の受診をすすめましょう。本当に食中毒であるかどうかは、この段階ではわかりません。ただ、行政が食中毒の調査にのりだすためには、不調を訴える人が本当に食中毒であると診断される必要があります。「うちが食中毒を起こすはずがない」と考えず、真摯(しんし)に聞き取りを行うことが大事です。

(2)保健所への対応

お客さまから、食中毒にかかったかもしれないとの連絡があったら、保健所へ連絡をしましょう。お客さまが医療機関で受診し、食中毒であると診断され、保健所へ連絡がいくと行政の調査が始まります。

保健所の立ち入り調査では、以下のようなことを聞かれます。

  • 不調を訴えるお客さまの来店日時や場所
  • ほかの利用者からの苦情
  • その日の利用者数
  • 疑わしいメニューと調理のプロセス
  • 従業員が体調不良を起こしていないか

また、調理工程や衛生管理などの各種マニュアル、仕入れ業者の名簿を提出するよう求められるため、準備しておきましょう。

(3)訴訟対応

訴訟に発展する場合には、訴訟対応も進めなくてはなりません。被害者から慰謝料などの損害賠償を請求されるケースです。双方の話し合いで解決すれば問題ありませんが、解決できなかったときには法廷で白黒をつけます。

訴訟対応として、まずは依頼する弁護士を探しましょう。弁護士に相談した上で、どのように争っていくのかなどを検討します。

 

3. 万が一の事態に備えできること

食中毒を起こさないのがベストではあるものの、どんなに気をつけていても予期せず発生してしまうこともあります。どのような飲食店にもこうしたリスクは介在しているため、食中毒が発生したときに慌てることのないよう、万が一への備えをしっかりとしておきましょう。

考えられる備えのひとつとして、PL保険や食品営業賠償共済への加入が挙げられます。PL保険は、生産物賠償責任保険のことで、提供した商品やサービスに起因した損害を与えたときに利用できる保険です。

食品営業賠償共済は、食品業界において、提供した食品に起因して食中毒や損害が発生し、被害者から損害賠償責任を請求された場合に訴訟費用や損害賠償金、弁護士費用などを対象とする保険です。

その他に、顧問弁護士をつけるのもおすすめです。法律のプロである弁護士と顧問契約を結んでおけば、日ごろから法律関連のアドバイスを受けられ、食中毒が発生したときにも対応してもらえます。

飲食店にとって食中毒が発生することは、事業継続に関わる重大な事故です。万が一、発生したときは間違いのない正しい対応をしましょう。いざというときに備え、顧問弁護士の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

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