前回『熊手』に着いての記事でしたが、『ひょっとこ』は?何?って疑問が浮かんだので調べてみた!って話です。笑
ひょっとこの由来は?
お祭りや出し物など、さまざまなシーンで被りものやお面が使われる日本。
そのなかで比較的、縁起のいいものとして扱われるのが「ひょっとこ」です。
「おかめ」の面と対になることも多く、ひょっとこと同様、おかめも縁起が良いものとされています。
口を突き出し、おどけた表情で見るからに縁起物のひょっとこ。
しかし、なぜ「ひょっとこ」と呼ばれるようになったのでしょうか?
ひょっとこの名前には諸説あり、有力なものの1つに「『火男』がなまった」という説があります。
ひょっとこのモデルとなった男が、かまどの火などを吹いて守る役目だったことから、「火男」と呼ばれていたものが音を変えて伝わったという説です。
表情についても、目が少し歪んだり細めているのは灰が入らないように、手ぬぐいを頭に巻いているのは火の粉で髪が焼けないように、などの説もあるそうです。
そう言われてみると、確かに火と向き合って竹筒を吹いている様子が目に浮かびますよね。
他にも、口が徳利に似ているので「非徳利」からなまったという説。またはモデルの男が「ひょうとく」という名前だった、という説など様々あります。
歴史の長い日本ですから、何気なく使っている物事にもいろいろな由来があって面白いですよね。
私達の生きるこの時代も、100年経ち、200年経ったら、思いもよらない捉え方をされるのかもしれませんね。
日向ひょっとこ踊りについて
日向ひょっとこ踊り(正式名称:永田のひょっとこ踊り)は、明治時代に日向市塩見永田地区に眼科医として開業していた橘公行医師によって考案されたといわれています。
そのルーツは里神楽に登場する“もどき”をモデルにしていることが解明されてきましたが、詳しいことは判っていません。
昔は、初午(はつうま)の日に踊られていたそうですが、現在は豊作を祝う踊りとして、また商売繁盛を願う踊りとしていろいろな機会に踊られています。永田のひょっとこ踊りは日向市を代表する踊りとして市の無形民俗文化財にも指定されています。
日向ひょっとこ踊りの物語
昔、塩見永田に「ひょう助」と「おかめ」という夫婦が住んでいました。
なかなか子どものできない二人は、毎朝、稲荷神社に豆ん飯を供えて子宝に恵まれるよう祈願をしていると、 あまりにも空腹だった神主が、お供え物の豆ん飯を見て、つい、つまみ食いをしてしまいました。
それを見て怒ったお稲荷様が、きつねの姿となって現れたものの、傍らにいた美しいおかめに目を奪われてしまいます。 そして、おかめの気を惹こうと手招きをしながら踊り始めます。それを見ていたおかめがつたれて踊りだし、 心配そうに見ていたひょう助とこの様子をそっと木陰でうかがっていた村の若者たちもつられて一緒に踊りだしてしまいました。 踊りのあと、境内が汚れたので、残った1人の青年が竹ぼうきを持って踊りながら掃き清め、みんなの後をついて行きました。
「おかめ」と「ひょっとこ」はどんな関係なの?
ほぼほぼ対で扱われることのある「おかめ」と「ひょっとこ」ですが、夫婦なのではと思われがちです。
でも実はこの二人、夫婦ではありません。
神楽では対の役ですし、二人とも「家族円満」などもご利益を持っていますし、いろいろなグッズでも次いで扱われるので、つい思い込みがちですよね。
ですが、別に夫婦という訳でもありませんし、何か神話や逸話で関係性があるわけでもないよう。これは完全に後付けのイメージと設定…と考えてもよさそうです。
とはいえ、いつもこの二人のおかげで、神楽などでも賑わい盛り上がるのですから、
良きパートナーにような存在なのでしょう。伝統芸能界のバッテリーとでもいえましょう。
おかめとは!?意味や由来について
「おかめ」とはいったい何なのでしょうか?
「おかめ」は、日本に古くから存在している、日本の面のひとつのことです。
ふくよかでふっくらとした頬、広めのおでこ、優し気に微笑む表情が特徴的ですよね。
シーンなどによって、呼び方は様々で、よく聞く「お多福(おたふく)」ですとか、「お福(おふく)」、「乙御前(おとごぜ)」などと呼ばれている場合もあります。
呼び方によって用いられるシーンが違うのも、面白いんですよ。
例えば、「おかめ」(お亀・阿亀)と呼ぶ場合は、神楽(かぐら)といって、神さまへ奉納するための歌や舞を行う際に、おかめの面が使われます。
「乙御前(おとごぜ)」は、狂言という、日本に昔から存在する古典芸能(一般市民の日常生活や、人間の滑稽さを題材にした喜劇)に用いられたり。
「お福(おふく)」は、文楽人形という、浄瑠璃(日本の伝統芸能)を人形で演じる劇で用いられたり。
「お多福(おたふく)」は、福を呼び込む顔の女性を指したり。
物自体は同じものなのですが、いろいろなシーンや場面によって、呼び方が変わるんです。
なんだか不思議ですよね。
あるいは、シーンによって認識がごちゃごちゃになってしまう事を避けるために、あえて呼び方を変えている、というのもありあえるかも。
おかめの由来は、実は「アメノウズメ」という神さまだったて、知っていましたか?
「アメノウズメ」は、踊りや芸能の神様です。
名前を聞いてもピンと来ない方もいるかもしれませんね。
でもきっと神話を聞くとなんとなくわかるはず。「アメノウズメ」が登場するのは、日本神話「天の岩戸」です。岩戸の中に引きこもってしまったアマテラスを、踊りや歌を披露し、宴を開いて、結果アマテラスを中から呼び出すことに成功した……というストーリーですね。
彼女は日本最古の踊り子ともいわれています。
ですから、おかめなどが用いられるのも、舞や踊りなのですね。
また「おかめ」という名前の由来は、室町時代の巫女の名前からとられた、という説がありますが、これは元々「アメノウズメ」本人が、神楽などを行うための女官…今でいう巫女という立場であったからともいわれています。
関係ないようで、実はちゃんとつながりがあるんですね。
「おかめ」も縁起物であると冒頭で説明しましたが、ご利益としては「芸能上達」「縁結び」「夫婦円満」などがあげられます。
由来や成り立ちを聞く限りでも、とても縁起の良いものであると連想できますね。
おかめとおたふくの違いって何!?
では「おかめ」と「おたふく」とは、いったい何が違うのでしょうか?
その他にも、見た目の違いがあるんだそう。
「おかめ」は、 顔を頬の張り出した形が「瓶(かめ)」に似ている、という理由から名前をとったという説もあります。
瓶とはいわゆる壺のようなものですね。昔はこれに水や食料をため込み保管していました。
確かに壺の形を見る限りでは、おかめの面に似ていますものね。
「おたふく」と言うのは、漢字で書くと「お多福」となりますね。
もうこれは読んで字のごとく「多くの福を呼び込む顔」という意味が込められています。
とはいえ、これはとても美人、という意味でなかったようですが…。
あくまで、福を呼び込む人相である、という意味合いだったのでしょうか。
また、芸能が確立していった時代にはいると、呼び方の違いは芸風の違いとなり、現在のような扱い方が当たり前になってきました。
元は、同じような顔の造りを表現していただけであることも分かりますね。
つまり、元々は「おかめ」も「おたふく」も同じような人相を指していたということです。