パンやヨーグルトを食べるときに「ジャム」と「マーマレード」使う方は多いでしょう。どちらも、果物に砂糖やハチミツを加えてゼリー状になるまで煮込んだものです。とても甘くなり、長期保存に適します。
- ジャム
- マーマレード
- ジャムとマーマレードの歴史
- 「ジャム」の原料
- 「マーマレード」の原料
- 味の違い
- マーマレードにすることができるものは限られている
- 果物の皮による違い
- 栄養素の違い
- 語源の違い
- 起源の違い
- 違いポイントまとめ
ジャム
果実や野菜などに砂糖を加え、果物の水分を砂糖に置き換えることでゼリー化するまで加熱したものをジャムとします。甘酸っぱく、果物の果汁や果肉の味を楽しめます。
マーマレード
ジャム類の一種であり、かんきつ類の果実や果皮を材料とするものをマーマレードと呼びます。果物の甘さに加え、果皮の苦みをアクセントとし、大人の味を楽しむことができます。主に皮のある果物が原料に使用されるため、イチゴやブルーベリーなど果皮が少ない果物のマーマレードはあまり流通していません。
用 語 |
定 義 |
ジャム類 | 次に掲げるものをいう。 果実、野菜又は花弁(以下「果実等」と総称する)を砂糖類、糖アルコール又ははちみつとともにゼリー化するようになるまで加熱したものに酒類、かんきつ類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの |
ジャム | ジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のものをいう。 |
マーマレード | ジャム類のうち、かんきつ類の果実を原料としたもので、かんきつ類の果皮が認められるものをいう。 |
ゼリー |
ジャム類のうち、果実等の搾汁を原料としたものをいう。
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日本農業規格(JAS)によるジャムの定義
「ジャム」「マーマレード」の違いをざっくり!
ジャム | マーマレード | |
---|---|---|
原料 | 果肉 | 果肉と果皮 |
味 | 甘い | 苦味もある |
栄養価 | 低い | 高い |
語源 | チャム | マルメラーダ |
起源 | 旧石器時代 | 中世のポルトガル |
ジャムとマーマレードの歴史
ジャム
旧石器時代、今から1万5千年ほど前にはちみつで果実を煮たことから始まったとされています。スペインの洞窟には果物をはちみつで煮込む壁画も発見されています。ジャムは人類最古の保存食品と考えられており、1200年ごろには大量の砂糖が流通するようになったため一般にもジャム作りが普及していきました。
マーマレード
ポルトガル語の「マルメロ」(西洋カリン)というフルーツの名前が語源とされるマーマレード。酸味が強くそのまま食べることができなかったマルメロを食べやすくペースト状にしたものを「マーマラーデ」と呼んでおり。同じくスペインでも酸っぱくて食べることができなかったシビルオレンジでこれをまねたものが「マーマレード」と呼ばれるようになったと言われています。
「ジャム」の原料
「ジャム」は、果肉と果汁に砂糖を加えて作られています。
主に使われる果物を以下に示しました。
- イチゴ
- ブルーベリー
- オレンジ
- ブドウ
- アンズ
- リンゴ
- キウイ
甘味と酸味をどちらも持っている果物が使われています。
「マーマレード」の原料
「マーマレード」は、果肉と果汁に加えて、果物の皮も使用します。したがって、ある程度皮がしっかりしている柑橘系の果物に限られます。
主に使われる果物を以下に示しました。
- オレンジ
- ゆず
- グレープフルーツ
- レモン
ほかにも、はっさくや夏みかんなど、様々な柑橘系の果物で作ることができます。
「ジャム」で人気のイチゴやブルーベリーは、皮がほとんどないため「マーマレード」にはなりません。
味の違い
「ジャム」は、原料の果物によって異なりますが、甘くて果肉のジューシーさが感じられる味になります。
一方、「マーマレード」は、皮のほろ苦さがアクセントとして加えられた味です。柑橘系の果物が使われているため、酸味が強く感じられます。「ジャム」より甘くなく、あっさりとしています。
マーマレードにすることができるものは限られている
ジャムとマーマレードの違いは、出来る食材が決まってきます。
果実の皮をゼリー化の過程で必要になってくるマーマレード。基本的に全ての果物をマーマレードで作ることはできません。
果物の皮が多くなければ、マーマレードが作れないからです。
例えば、苺やブルーベリーなどのジャムはありますが、マーマレードはありません。逆にオレンジのマーマレードはありますが、ジャムは一般的に多く流通していません。
それは使われる果物の皮に差があるからです。苺やブルーベリーは果物ですから、皮がまったく無いわけではありません。しかし、マーマレードを作るにはそれなりの果物の皮が必要になります。
ジャムを作る過程なら問題ないのでしょうが、マーマレードを苺やブルーベリーで作るとなると都合が悪くなるのでしょう。
また、オレンジは加工の段階で大量の皮が発生します。そのまま捨ててしまうと単なるゴミですが、マーマレードに加工することで皮の栄養もしっかり吸収できるようになります。
コストや栄養面から考えてもオレンジのような柑橘系の果物はジャムにするよりマーマレードにしたほうが便利なことが多いようです。
ジャムもマーマレードの果物を砂糖で加熱し、濃縮することで長期保存を可能にした便利な食材です。そこに皮が使われているかどうかがジャムとマーマレードの大きな差が出てきます。
果物の皮による違い
果物の皮が含まれているのがマーマレード。含まれていないのがジャムです。ジャムもマーマレードも基本的に作り方は同じです。
果実に含まれている多糖類のペクチンがゼリー化し、保存状態が優れ、甘みが増したもの。それがジャムやマーマレードの原点です。
この時、果実の皮も一緒にゼリー化させるか。いれずに果実の実だけをゼリー化するかでジャムになるか、マーマレードになるかが決まります。
栄養素の違い
一般的に、「マーマレード」に多くの栄養素が含まれています。
果物の皮は栄養素が集中するところであるため、果物の皮が含まれる「マーマレード」の方が栄養素を多く含みます。
柑橘系の皮にはビタミンPが含まれています。ビタミンPは、コレステロール値を下げ脂肪を分解したり、体を温めて冷え性を改善したりする効果があります。
語源の違い
「ジャム」の語源
「ジャム」の語源は、くちゃくちゃかむという意味のチャム(cham)にあります。
ただ、”cham”は古い英語の方言で、現在は使われなくなりました。
「マーマレード」の語源
「マーマレード」の語源は諸説ありますが、ポルトガルで作られたマルメラーダ(marmelada)だとする説が有力です。
マルメラーダはマルメロという柑橘系の果物が原料です。
起源の違い
「ジャム」の起源
「ジャム」の起源は非常に古く、今から1万~1万5千年前の旧石器時代までさかのぼります。
スペインの洞窟にて、果物をハチミツで煮込む壁画が発見されました。また、土器でハチミツを煮込んだ跡も見つかっています。
「ジャム」は、人類最古の保存食だと考えられているのです。一般に普及したのは、1200年頃です。十字軍のオリエント遠征で、大量の砂糖が流通したことをきっかけにジャム作りが盛んになりました。
「マーマレード」の起源
語源でも紹介したように、ポルトガルでマルメロを原料に作られた、マルメラーダが起源だと考えられています。
違いポイントまとめ
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果物の皮が含まれているのがマーマレード。皮が多いオレンジなどで作られる。果物の甘さに加え、ちょっとした苦味のアクセントも楽しめる大人の味。
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果物の皮が含まれていないのがジャム。苺やブルーベリーなど皮が少ない果物で作られる。甘酸っぱい味が楽しめる。
栄養面や味にちょっとしたアクセントが生まれるジャムとマーマレード。