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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

日本の食文化の原点。「神饌」をご存じで?

真心をこめて御調理する「神様の食事」が日本料理の原点

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日本人は古来、四季折々の祭りを大切にしてきました。祭りというと、氏子が神輿を担いで町内を練り歩く光景を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、祭りで最も重要なのはその前に執り行われる「神事」。その神事は神に食べ物を供えること、すなわち「神饌しんせん」から始まります。。

 

神様と人間をつなぐ重要な役割を持つ「神饌」

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祭りとは、神々を崇め尊び、慰めながら除災を願い、豊作豊漁を祈る儀式。日本人は「神は自然の中に宿る」という信仰を持っていますから、祭りを始めるにあたってはまず、食べ物を供え、神様をお招きしなければなりません。

一連の儀式の後、お供えした食べ物を神様とともに食するのが『直会』(なおらい)。
神様と同じものをともにいただくことで、神との一体感を持ち、霊力をいただき、神の御加護と恩恵に与ります。このように、祭りにおいて神饌は、神様と人間をつなぐ非常に重要な役割を果たすものです。

神饌は、古くは煮炊き、調理を行った、『熟』(じゅくせん)あるいは「特殊神饌」と呼ばれる、人々の日常の食事と同様のものでした。しかし、1871年(明治4)の神社制度改革によって祭式次第が改められ、神饌は「生饌」と呼ばれる、素材そのものを献供する「丸物神饌」に変更されました(現在、多くの神社で「生饌」が行われています)。こうして、一度は姿を消した「熟饌」でしたが、明治17年、明治天皇の旧儀復興の命により、賀茂御祖神社、賀茂別雷神社、石清水八幡宮などで再び献供されるようになりました。こうした旧儀の神社の神饌には、四季折々の旬を煮炊きしていただいてきた、日本人の食文化が映されてます。

 

一番おいしいもの、美しいものを神様に

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身を清めた神職によって丁寧に御調理される神饌は、見た目も美しく、真心のこもったもの。まさに日本料理の原点を見るようです。
すべての神社に共通の御物は御米、御酒、御塩。そのほか、海川山野の、その季節に最もおいしいものが供えられます。各神社に特有の御物も見られますが、その心は同じ。
「出来る限りおいしいもの、美しいものを供えたい」という気持ちです。

 

神社の神饌も、見た目の美しさに目を奪われます。「思わず神様もにっこりなさるのでは」と、微笑ましいくらい可愛らしく盛り付けた神饌もありました。
こうしたことすべてが、「神様によかれ」と思うものを、できる限り真心を尽くして供えるということ。それは、日本料理のもてなしの心、そのものではないでしょうか。
これほどまでに、食べ物を大切に神様に捧げる国は他にはありません。食べる喜びや、食への感謝の心が希薄になり、ただ空腹を満たすだけの食が増えている昨今。神饌には、現在の日本人が忘れている、自然の恵みへの感謝が、脈々と受け継がれています。神饌が、日本料理の原点であり、基本であるということは、日本人の食文化の精神性の高さを物語っていると思います。

 

御神酒(おみき)

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神饌には欠かせない「御神酒」。神様に酒の原料、米を与えていただいたことに感謝の意を表し、その出来栄えをみていただくために供えます。白酒(しろき)、黒酒(くろき)、清酒(すみさけ)濁酒(にごりざけ)などの種類があり、醸造法も多様。

古くは、神社もしくは氏子が神酒を自家醸造していましたが、現在は酒税法の規制があるため、できません。ただし、伊勢の神宮のように清酒の醸造免許や、税務署からのどぶろくの醸造許可を得ている神社もあります。

 

 

稲穂

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神道と深い関わりを持つ稲作。豊作を祈り収穫に感謝する。

「瑞穂の国」とも称される日本。稲作は神道と深い関わりを持っています。『日本書紀』神代巻に記された斎庭ゆにわ)の稲穂の神勅によると、天照大御神は、高天原(たかまのはら)でお育てになっている稲穂を皇孫(こうそん)の邇々芸命(ににぎのみこと)に渡し、「これで国民を養うように」とお授けになったと記されています。よって、地上で人間が稲作を行うことが神の道とされます。早春の予祝儀礼、春の豊作祈願、夏の除疫祭、秋の収穫感謝祭と、米の豊作を祈り、神に感謝を捧げる稲作を中心とした祭りが多く行われているのです。

 

御塩

塩は生命の源。穢れを祓い浄化する力も持つ

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昔から塩は、穢れを祓い清める力を持つとみなされてきました。写真は、製塩法を伝えたとされる鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)を祀る、鹽竃(しおがま)神社の末社・御釜(おかま)神社(宮城県)で、7月に行われる、古代製塩法を伝える藻塩焼神事。製塩用鉄製平釜の上に竹の棚を設け、ホンダワラを広げた上から海水を注ぎ、煮詰めて塩を作ります。

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難しい話はここまで!なんか疲れますよね!

 

行事食 ~日本の年中行事と食文化~

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「行事食」とは、季節折々の行事やお祝いの日に食べる特別な料理のことを言います。
それぞれ旬の食材を取り入れたものが多く、季節の風物詩の1つですもあります。
行事食には家族の幸せや健康を願う意味が込められ、”おせち料理”のように地域ごとの違いがみられる場合もあります。
行事食が誕生した背景には、四季折々の年中行事があったことが挙げられます。本来、年中行事は「神様を呼び、ご馳走を捧げる日」で「ハレの日」とも呼ばれ、普段の食卓にはないご馳走を並べて日常(ケの日)とは区別してきました。食べる物だけではなく、着る物、室礼(しつらい)なども日常と非日常を区別してきました。
農耕民族であった日本人にとって、季節の変化は稲作を中心とする農ハレ工手順の目安になるものです。その目安となる日に行事を行うことで、収穫に感謝してきました。
また、季節の変わり目は体調を崩しやすく、そのため季節の変わり目に「の日」というご馳走を食べる日を設けることで、体に栄養と休息を与えてきました行事食は体調を崩しやすい季節の変わり目を賢く乗り切る「食の知識」でもあります。現代は毎日が「ハレの日」のような食生活ですが、いま一度飽食を戒め、先人達が生み出してきた食の知恵を見直しましょう!

 

伝統的な食文化とは

こうした「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」が、平成 25 年 12 月に「和食;日本人の伝統的な食文化」と題してユネスコの無形文化遺産に登録されました。

「和食」の 4 つの特徴

1、 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重

日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根ざし た多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。

 

2 、健康的な食生活を支える栄養バランス

一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「う ま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防 止に役立っています。

 

3、 自然の美しさや季節の移ろいの表現

食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉など で料理を飾り付けたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。

 

4、 正月などの年中行事との密接な関わり

日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合 い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。

 

これらの 4 つの特徴にもあるように、食文化は、単に料理そのものをさすものではなく、食材を選 ぶことから始まり、栄養を考えながら料理を組み立て、さらにもてなしの心で料理を供すること、そ してどのように食べるかということも大切な要素であり、食べることに関する日本人の慣習ともいえ ます 。

 

 

主な年中行事と行事食

 

1月

1~7日(正月)おせち、雑煮、お屠蘇
7日(人日の節句)七草粥
11日(鏡開き)おしるこ
15日(小正月)小豆粥

 

 

2月

3日(節分)恵方巻き、福豆、鰯
8日(事の日)おとこ汁
9日(初牛)いなり寿

 

 

3月

3日(桃の節句)ちらし寿司、
  蛤のお吸い物、菱餅、白酒
20日頃(春分)ぼた餅

 

 

4月

8日(花祭り)甘茶

 

 

5月

2日頃(八十八夜)新茶
5日(端午の節句)柏餅、ちまき

 

 

6月

1日(氷の朔日)あられ
21日頃(夏至)たこ
30日(夏越しの祓)水無月

 

 

7月

2日頃(半夏生)たこ
7日(七夕)素麺
23日頃(土用の丑)うなぎの蒲焼

 

 

8月

1日(八朔の祝い)尾花粥、黒ごま粥
15日頃(お盆)精進料理、白玉団子

 

 

9月

9日(重陽の節句)菊酒、栗ご飯
中旬頃(十五夜)月見団子、里芋
23日頃(秋分)おはぎ

 

 

10月(十三夜)

月見団子、栗ご飯

 

 

11月

1日(神迎えの朔日)赤飯
5日(亥の子祭、十日夜)
   亥の子餅、十六団子
15日(七五三)千歳飴

 

 

12月

1日(乙子の朔日)小豆餅
8日(事の日)ことの汁
22日頃(当時)かぼちゃの煮物
31日(大晦日)年越しそば

 

 

 

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