高級なイメージの強いフランス料理屋にも、庶民が集う大衆居酒屋にも、共通するものがあります。それは「前菜」「オードブル」のメニューの存在です。自動的に提供されることもあれば、メニュー序盤に載っていることもあります。さて、「前菜」も「オードブル」も楽しい食事の序盤を彩る重要な存在ですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、外食時に知っておきたい「前菜」と「オードブル」についてみて行きます。
結論
「オードブル」は西洋料理における「前菜」。
「前菜」とは、メインの料理が提供される前に出される軽めの料理です。日本料理だけでなく、西洋料理や中華料理にも使用します。一方「オードブル」とは、西洋料理における「前菜」のことです。
中国料理や西洋料理の用語と同じ意味で使われる献立名で、料理の初めに出す「つまみ物や酒の肴」のことです。
日本料理の会席膳では『先付け』のことをさす場合や先付のあとに出す数種類の酒菜盛りにこの名を用います。「先付」と「突き出し」は、その日提供される料理の中にあらかじめ入っているもので、コースなどの料金に含まれます。「お通し」は、客が料理を注文したあとに出されるもので、料理が到着するまでのあいだに酒を飲みながら軽くつまめる小皿料理を指します。主に居酒屋などで見られ、別料金となる場合が多いようです。
「前菜」をもっと詳しく
「前菜」とは、メインの料理の前に出てくる軽めの料理のことです。英語では「アペタイザー(appetizer)」となります。日本料理だけではなく、西洋料理や中華料理のものも「前菜」といいます。料理の内容としては、少量で塩分や酸味が強いような、酒のつまみになるものが多いです。日本料理や居酒屋では、「先付(さきづ)け」「お通し」と呼ばれます。料理全体の構成によって様々ですが、煮物、サラダ、豆腐、茶わん蒸しなどがそれに当たります。
「前菜」は、西洋料理においては「オードブル」、ロシア料理においては「ザクースカ」、中華料理においては「前菜(チェンツァイ)」といいます。「オードブル」については詳しく後述します。「ザクースカ」は、元々ロシアにおいて、宴会前の控室でウォッカとともに出された「前菜」です。いくらやキャビア、魚の燻製、酢漬けニシンなど、ロシア特有の料理が提供されました。これらを黒パンにのせて食べることもありました。
「アペタイザー」とは、「前菜」の意味を持つ英語で “Appetizer” と書きます。
日本語に直訳すると「食欲をそそるもの」で、「前菜」以外にも食前酒など主菜の前に提供されるサービス全般のことで、西洋料理のフルコースにおいて食欲増進の目的で提供されるシャンパンなど甘味のあるアルコール類を指すこともあります。
「アンティパスト」とは、「前菜」の意味を持つイタリア語で “Antipasto” と書きます。
日本語に直訳すると「主菜の前」で、イタリア料理 のフルコースにおいて提供される「前菜」で、チーズ、生ハム、野菜などを盛り合わせたものが一般的です。
日本のイタリアンレストランのチェーン店における「前菜」
ここで一例として、日本でチェーン展開しているイタリアンレストランの一つのメニュー「前菜6種盛り」において使用されている料理のラインナップを紹介します。
- サーモン ローストビーフ
- グリーンオリーブ 生ハム
- チェダーチーズ カマンベールチーズ
- ポテトサラダ カプレーゼ
- ナスのトマト煮
以上の食材が、日替わりで盛られています。基本的に一口サイズで簡単に食べることができ、お酒と合うものとなっています。
「オードブル」をもっと詳しく
「オードブル」とは、西洋料理における「前菜」のことです。フランス語では “Hors-d’œuvre” と書きます。 “œuvre” には「作品、仕事」、 “hors” には「外」という意味があり、“Hors-d’œuvre”は「作品の外」という意味があります。
これは1つの作品たるフランス料理において、1連の料理の1番初めにあたる存在であることを示しています。「オードブル」には、メインの料理が出てくる前に食欲を刺激するという役割があります。
また、日本では「前菜」という意味の他に、パーティー等の「軽食、酒のつまみ」という意味もあります。具体的には、大きな円形の皿に放射状に盛られた揚げ物やスナックのことを「オードブル」ということがあります。