字面やニュアンスが似ているため、意味の正確な違いが分からない言葉は多くありますよね。「中華料理」と「中国料理」もそんな言葉の中のひとつだと思います。違いはお分かりですか?
今回は、「中華料理」と「中国料理」の違いについて触れておきましょう。
- 「中華料理」とは
- 「中国料理」とは
- 中国八大料理について
- ■四川料理(しせんりょうり)
- ■広東料理(かんとんりょうり)
- ■山東料理(さんとんりょうり)
- ■江蘇料理(こうそりょうり)
- ■淅江料理(せっこうりょうり)
- ■安徽料理(あんきりょうり)
- ■湖南料理(こなんりょうり)
- ■福建料理(ふっけんりょうり)
- 最後に
「中華料理」とは
簡単に言うと!「中華料理」は、「中国料理」を日本人の味覚に合わせて味付けした料理のことを指します。
日本で「中華料理」というと、様々な地方の「中国料理」の総称を指すこともあれば、中国の特定の地域の料理を指すこともあります。
日本の中華料理店ではよく見かけますが、中国ではほぼ食べることができない、日本発祥の料理も「中華料理」として分類されます。天津飯や焼き餃子はその一例です。
「中国料理」とは
「中国料理」は本場中国で食べられている本格的な料理のことを指します。
一般的に、中国では「四川料理(しせんりょうり)」「広東料理(かんとんりょうり)」といったように、地域ごとの料理の名称を使うことがほとんどです。
中国八大料理について
中国料理には、「中国八大料理」と称される八大地方菜が存在します。中国で「菜」とは料理(おかず)のことを指します。
一般的に、以下の8つを総称して「中国八大料理」と呼ばれています。
広東料理(かんとんりょうり)
山東料理(さんとんりょうり)
江蘇料理(こうそりょうり)
淅江料理(せっこうりょうり)
安徽料理(あんきりょうり)
湖南料理(こなんりょうり)
福建料理(ふっけんりょうり)
四川料理(しせんりょうり)
■四川料理(しせんりょうり)
中国四川省の郷土料理のことです。
冬の寒さ、夏の暑さを乗り切るためのスタミナ食、豊富なスパイスを使った辛味や痺れが特徴
麻婆豆腐やエビチリ、火鍋など、香辛料を使った辛い料理が代表的です。
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麻辣(マーラー)花椒を使ったしびれと辛み。
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香辣(シャンラー)花椒と唐辛子の香りが強い辛さ。
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煳辣(フーラー) 唐辛子を炒め焦がした辛さ。
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糟辣(ザオラー)糟漬け唐辛子の辛さ
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酸辣(スアンラー)酸っぱ辛い
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鮮辣(シェンラー)生の青唐辛子を使った辛さ
青椒肉絲
担々麺
辣子鶏
夫妻肺片
火鍋
■広東料理(かんとんりょうり)
広東料理は、「食は広州にあり」といわれるほどバラエティに富む
西洋料理の手法を早くから取り入れて発展してきた
飲茶(ヤムチャ)と呼ばれる、中国茶を飲みながら点心を食べる習慣が有名です。
牛肉のオイスターソース炒め
焼鴨
■山東料理(さんとんりょうり)
中国で最も歴史が長く、技法も最も豊富で、難易度の高い料理である。
山東料理は、コンソメスープと白濁スープの調合にこだわっており、コンソメスープは透き通っていて美味しい。白濁スープは白くて濃厚。
材料では良質のものにこだわり、塩で味わいを加え、スープで風味を際立たせる。味付けはしょっぱく風味を良くし純正をもとめ、多くの料理にネギ、生姜、ニンニクを使用して香りを増して味を加える。
また、この山東料理は北京料理のルーツであるということでも有名です。「元」・「明」・「清」の時代になると、北京の皇帝から注目され、高い技術をもった山東出身の料理人たちが宮廷で料理を作る任務に就くようになりました。このため、北京で花開いた宮廷料理には山東料理の影響が色濃くなっていきました。現代の私たちがイメージする「北京料理」は、このように山東料理が発展して進化した物なのです。この他にも、山東料理は天津や東北など中国各地の料理に大きな影響を与えたとされています。
燕の巣のコンソメ煮込み
黄河鯉の甘酢炒め
白濁スープ
■江蘇料理(こうそりょうり)
浙江省は東シナ海に面した地区であるため、多彩な海産物が獲れます。省内最大の河川である銭塘江(せんとうこう)やその流域の湖では淡水魚やエビなども獲ることができます。また、内陸部では多種多様な野菜が栽培される風土がありました。こうして新鮮な山海の食材が手に入りやすい地理的条件に恵まれ、浙江料理は素材そのものの味を重視した料理が多くなったと考えられています。
龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)
叫花鶏(ジャアホワジー)
■淅江料理(せっこうりょうり)
淅江料理は、浙江省の現・省都である杭州(こうしゅう)市は古くから経済が栄えた町。
1127年(大治元年)~1279年(弘安元年)の南宋時代には都も置かれた場所でもあります。その南宋時代には、中国の北部から多くの料理人がこの地へとやって来て、北方の料理法を伝えたと言われています。こうした料理人の登場と豊かな食材事情が背景になり、浙江料理は研ぎ澄まされていきました。浙江省が属する東方地域や江南地域の食材を、北方の料理方法で調理するというスタイルが数多くみられます。
浙江料理の特徴のひとつは!鮮やかな盛り付け。浙江省は観光名所の多い風光明媚な地域であり、その山水の美しさがお料理の盛り付けにも影響を及ぼしたと言われる程です。山海の幸が十分に揃っていることで、料理には上質で新鮮な食材が厳選して使われたことも影響したようです。
龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)
叫花鶏(ジャアホワジー)
■安徽料理(あんきりょうり)
安徽省は、中国東方地域のなかでも内陸部にある省です。南側には山々が連なり、中部や北部には長江や淮河(わいが)が流れていることから、「江淮の間」という呼ばれ方をすることもあります。この地理条件を背景に、キノコや山野草などの山の幸と、川魚などの淡水産の食材を活かした料理が発展しました。
干し筍や干豆腐など保存食も多く作られています。食材本来の味を活かしながら、それでいて栄養価の高い料理が多いようです。
スッポンの中国ハム添え
魚の塩漬け
伝統的な宴会料理
宴会料理では「六六制」や「八八制」と呼ばれるスタイルを取ることがあります。これは、冷菜と温菜、そしてメインとなる料理を6種類ずつ、または8種類ずつ用意するという物。冠婚葬祭などの場における正式な料理スタイルとして伝わっています。
■湖南料理(こなんりょうり)
湖南料理は、中国湖南省の郷土料理のことです。
中国で一番辛味の強い料理と言えば四川、貴州、そして湖南と言われるほどとても地域的に辛い料理が多い湖南。 四川料理は「麻辣」というように痺れるような辛さが特徴的ですが、湖南は「酸辣」、「鮮辣」と言った言葉で表されます。酸辣はその名の通りお酢などによって酸っぱくて辛い、鮮辣は唐辛子を齧った時のようなガツンと来る強烈な辛さという意味です。 湖南料理は赤やオレンジ、青など色鮮やかな料理が多いのですが、それらは赤や青唐辛子を生、乾燥、漬けなどさまざまな調理方法によって使用しているからなのです。
剁椒鱼头(ディオ・ジャオ・ユー・トウ)
臭豆腐(チョウドウフ)
毛氏紅焼肉(マオシー・ホンシャオロウ)
■福建料理(ふっけんりょうり)
福建料理は、中国福建省の郷土料理のことです。
中国の南東部に位置する福建省は、東部は海に面した長い海岸線をもち、入り組んだ半島があることで、ナマコやイカ、ハモなど海産物が豊富に獲れます。西部には山々が連なり、ハスの実やシイタケ、タケノコ、白キクラゲといった山の幸にも恵まれてきました。平地は少ないものの、丘陵地では米や野菜などの栽培も行なわれています。このように、多種多様な食材が新鮮な状態で手に入るという条件のなかで福建料理は発展してきました。
日本では烏龍茶が有名ですが、中国では有名ではありません。
以上、この記事では、「中華料理」と「中国料理」の違いについて解説しました。
復習
中華料理:日本人向けにアレンジされた中国料理のこと
中国料理:本場中国で食べられている本格的な料理のこと
日本には中華料理店が多くあり、中華料理は日本人にとってはとても親しみのあるものです。ですが、本場中国で食べられているような中国料理のお店もいくつかあるので、どのような違いがあるのか比べてみるのも良いかもしれません。
最後に
中華料理は日本人向けの料理、中国料理は本格的な料理。言い回しで色々ですよね。
そんなのなかなか聞かないとわからない事でしたので、今回記事として紹介させていただきました。参考になれば幸いです。