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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

フランチャイズ契約書(FC契約)作成の重要ポイント

(1)フランチャイズ契約書(FC契約)作成の重要ポイント

1:商標の使用許諾について決める。
2:提供するノウハウの内容、ノウハウ提供の方法を決める。
3:テリトリー制を導入するかどうかを決める。
4:ロイヤリティの計算方法をどうするかを決める。
5:加盟店の会計の把握をどのように行うかを決める。
6:商品や備品、店舗内装を本部指定とするかどうかを決める。

これらの6つのポイントは、フランチャイズ契約における根幹の部分になりますので、以下で順番にご説明していきます。

 

(2)補足

なお、フランチャイズ契約書(FC契約書)については、インターネットや各種書籍でひな形が提供されています。
ひな形は、フランチャイズ契約書(FC契約書)を作成する際に、記載事項に漏れがないかチェックしたり、条文の書き方に迷ったときに参考にするために有用なツールです。
ただし、フランチャイズ契約(FC契約)のようなビジネスの肝となる重要な契約書について、一般的なひな形をそのまま利用したり、ひな形を少し修正しただけで利用することは絶対に避けなければなりません。
インターネットや各種書籍のひな形を安易に使用すると、契約書の内容が自社のフランチャイズビジネスに適合しない内容になってしまい、自社ができないことを加盟店に対して約束する内容になってしまったり、加盟店の問題行動に対して対応できないものになってしまうなどして、加盟店とのトラブルに発展し、ビジネス自体が失敗に終わってしまうからです。
フランチャイズビジネスを成功させるためには、ひな形を参考にしながら、以下でご説明する重要なポイントを踏まえてオリジナルの契約書を作り上げることが必要です。
 

4,1:商標の使用許諾について決める。

フランチャイズ契約書(FC契約書)において、まず最初におさえておきたい重要なポイントが、「商標の使用許諾の内容について決める」という点です。
フランチャイズビジネスにおいては「商標」は非常に重要なポイントです。
有名フランチャイズチェーン、例えば「セブンイレブン」や「ローソン」は、本部が加盟店に対して、「セブンイレブン」や「ローソン」の名称あるいはマークを使用させること自体が、加盟店の売上に貢献し、加盟店がフランチャイズに加盟する意義になっています。
これは、「セブンイレブン」や「ローソン」の名称で店舗経営することによって、一般の消費者からの信頼が得られ、来店者増に貢献することを、加盟店としても認識しているためです。

そして、「セブンイレブン」や「ローソン」はその名称やマークについて商標権を取得して、自社の了解なく第三者に名称やマークが使用されないように法的な防御を行っています。
このように、フランチャイズ契約では、名称やマークについての「商標」を核としたブランディングを行うことにより、集客力や顧客からの信頼性を高めていくことが、フランチャイズチェーンの発展に直結します。
そのため、フランチャイズ契約の核となる名称やマークについては、必ず、特許庁に商標の出願を行い、商標登録しておくことが必要です。
商標を登録しなければどのような損害が発生するかについては、以下で詳しくご説明していますのでチェックしておいてください。
また、商標が登録できたら、加盟店が商標を使用する際のルールをフランチャイズ契約書に定めておくことも必要です。
商標を使用する際のルールとしてフランチャイズ契約書に定めておくべき項目は以下の通りです。


(1)商標を使用する際のルールとしてフランチャイズ契約書に定めておくべき項目

1:加盟店が、フランチャイズ契約書で認められた店舗以外において、商標を使用することの禁止
2:加盟店が商標を独自に修正することの禁止
3:本部の商標と同一または類似の商標を加盟店が商標登録することの禁止
4:第三者が無断で商標を使用していることを発見した場合に、加盟店が本部に対して報告することを義務付けること
5:フランチャイズ契約終了後に加盟店が商標を使用することの禁止

以上のポイントを踏まえて、商標の使用許諾の内容について決めて、フランチャイズ契約書に記載することは、フランチャイズ契約書作成において最初の重要なポイントになりますので、おさえておきましょう。
 
5,2:提供するノウハウの内容、ノウハウ提供の方法を決める。
フランチャイズ契約書(FC契約書)において、次におさえておきたい重要なポイントが、「提供するノウハウの内容、ノウハウ提供の方法を決める」という点です。
フランチャイズ契約において、加盟店がロイヤリティを支払ってでも、フランチャイズチェーンに加入する動機となるのは、前述の「商標使用によるブランド力、集客力」のほか、「本部から提供されるノウハウを利用できる」という点があります。

逆に言えば、ロイヤリティを支払っているのに、提供されるノウハウが十分なレベルではないという場合、フランチャイズ契約の解約や加盟店とのトラブルの原因になります。
フランチャイズビジネスを始めるにあたっては、自社が本部として加盟店に提供するノウハウを確立することがまず必要です。

これまで自社で行ってきたビジネスをフランチャイズ化するケースが多いと思いますが、自社ビジネスでつちかったノウハウを文章にまとめたうえで、ノウハウに磨きをかけ、ロイヤリティの対価として十分なものに高めていく努力が必要です。

また、ノウハウの提供の方法についても、検討しておく必要があります。
フランチャイズ契約における、本部の加盟店に対するノウハウ提供の方法としては、以下のようなものがあります。

 

1,本部の加盟店に対するノウハウ提供方法の例

1:加盟店に対して成文化したマニュアルを交付する。
2:加盟店の従業員に対して、開店前に本部が研修を行う。
3:加盟店に対して、開店後に経営指導、運営指導を行う。

特に、方法2、方法3については、加盟店を指導する人材が必要になり、人材育成が不可欠です。
このように「ノウハウの内容」と「ノウハウ提供の方法」について、十分に検討したうえで、フランチャイズ契約書にノウハウ提供のためのマニュアルの交付や、開店前研修、開店後の指導について記載することが重要なポイントになります。

ノウハウの内容の確立やノウハウ提供の方法の確立が不十分になると、結局、加盟店は本部に対する支払いに見合うノウハウを得られないことになり、フランチャイズ契約が長続きせず、ビジネス自体が失敗に終わります。

この点については、「加盟店が本部からロイヤリティに見合うノウハウ提供がされなかったとして加盟店から損害賠償請求されるケース(大阪地方裁判所平成2年11月28日判決「焼とり居酒屋チェーン大蔵」の事例など)」もありますので、注意が必要です。

 

6,ポイント3:テリトリー制を導入するかどうかを決める。

フランチャイズ契約書(FC契約書)において、次におさえておきたい重要なポイントが、「テリトリー制を導入するかどうかを決める」という点です。
まずは、テリトリー制がどのような制度かを確認しておきましょう。
 

(1)フランチャイズ契約におけるテリトリー制とは?
テリトリー制とは、本部が、加盟店に対して、特定の地域(例えば、加盟店の店舗から半径5キロ以内など)での独占的あるいは優先的な経営権を承認する制度であり、以下のような例があります。

1,クローズド・テリトリー
テリトリー内に他のフランチャイズ店の出店をさせないことを本部が承認するケース

2,オープン・テリトリー
テリトリー内の店舗数に上限を設け、上限を超えてテリトリー内に他のフランチャイズ店の出店をさせないことを本部が承認するケース

3,期間限定テリトリー
開店後一定期間に限って、テリトリー内に他のフランチャイズ店の出店をさせないことを本部が承認するケース

4,優先的テリトリー
テリトリー内に出店を検討する場合は、本部はまず、テリトリー内の加盟店に優先的に声をかけ、出店権を与えるが、加盟店が出店しない場合は、他の加盟店に出店させることも可とするケース

これらのテリトリー制については、本部側から見た場合に以下のようなメリットとデメリットがあります。

 (2)本部側から見たテリトリー制採用のメリット
加盟店の商圏内において、他のフランチャイズ店の出店を制限することによって、加盟店の経営を安定させ、本部と加盟店の信頼関係の強化や共存共栄につながりやすいことがメリットになります。

(3)本部側から見たテリトリー制採用のデメリット
加盟店の売上や利益が順調でないケースでも、テリトリー内への出店が制限されるため、そのテリトリー内で同業他社にシェアを奪われる危険があります。

テリトリー制を採用するかどうか、採用するとしてどのような内容のものにするかについては、このようなメリットとデメリットを考慮したうえで、検討し、フランチャイズ契約書に明記することが必要です。

いったんテリトリー制を採用すると後からテリトリーを廃止することは困難ですので、慎重に検討しましょう。

 

7,ポイント4:ロイヤリティの計算方法をどうするかを決める。

フランチャイズ契約書(FC契約書)において、次におさえておきたい重要なポイントが、「ロイヤリティの計算方法をどうするかを決める」という点です。
フランチャイズ契約においてロイヤリティとは、フランチャイズ契約締結後に商標の使用及び事業経営についての指導・援助の対価として、加盟店が本部に対して定期的に支払う金銭をいいます。
フランチャイズ契約時に支払われる加盟金と異なり、ロイヤリティは通常、毎月支払われます。
このロイヤリティの計算方法については、大きく分けて、「定額制」と「変動制」があります。

「定額制のロイヤリティ」と「変動制のロイヤリティ」の内容についてはそれぞれ次の通りです。


(1)定額制のロイヤリティ
加盟店の売上や利益にかかわらず、毎月定額のロイヤリティを加盟店が本部に支払うスタイルです。

(2)変動制のロイヤリティ
加盟店の売上や利益をベースに一定のパーセントをかけた金額をロイヤリティとして加盟店が本部に支払うスタイルです。

それぞれの場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

 (3)定額制のロイヤリティのメリットとデメリット
1,メリット
定額制をとることにより、本部としては安定した収益計画をたてることができます。

2,デメリット
加盟店としては収益があがらなくても定額のロイヤリティを支払わなければならず、加盟店の経営が悪化したときに本部とのトラブルにつながりやすいというデメリットがあります。

また、逆に、加盟店の経営が成功をおさめた場合でも、ロイヤリティの増額が困難となります。

(4)変動制のロイヤリティのメリットとデメリット

1,メリット
売上または利益に連動するロイヤリティの計算制度を採用することにより、本部と加盟店の利害が一致し、本部と加盟店の信頼関係強化につながりやすいというメリットがあります。

2,デメリット
本部から見た場合、加盟店の売上や利益によりロイヤリティ収入が変動するので、安定した収益計画が立てにくいというデメリットがあります。
また、加盟店が本部に対して虚偽の売上や利益を申告してロイヤリティの支払いを免れようとする不正行為が考えられるので、本部において加盟店の売上や利益を把握する仕組みが必要になります。

以上を踏まえて、ロイヤリティの計算方法についてどのように定めるかを検討し、フランチャイズ契約書に明記することが必要です。 

8,ポイント5:加盟店の会計の把握をどのように行うかを決める
フランチャイズ契約書(FC契約書)において、次におさえておきたい重要なポイントが、「加盟店の会計の把握をどのように行うかを決める」という点です。
まず、本部が加盟店の会計を把握することについては、以下の2つの必要性があります。

(1)本部が加盟店の会計を把握しなければならない2つの理由
1:本部が加盟店に対して、健全な経営を指導することにより、加盟店の経営の失敗を防ぐ必要がある。
2:ロイヤリティが変動制の場合は、加盟店の売上や利益を正しく把握することで、ロイヤリティを適切に支払わせる。

本部による加盟店の会計の把握については、以下のような方法があります。

(2)本部による加盟店の会計の把握の方法
1,加盟店の会計処理義務についての契約条項を設ける方法
加盟店が、本部が定めた方式や書式、システムに従って会計処理を行う義務があることをフランチャイズ契約書の契約条項として定める方法です。

2,加盟店の会計報告義務についての契約条項を設ける方法
加盟店が、本部に対して会計帳簿、日報、月次報告書等を提出して、経営状態を報告する義務を負うことをフランチャイズ契約書の契約条項として定める方法です。

3,本部の調査権についての契約条項を設ける方法
本部が加盟店に対して、立入調査を行う権限や、会計帳簿を閲覧して調査する権限をもつことを契約条項として定める方法です。

4,会計処理義務違反、会計報告義務違反、調査拒絶についての制裁条項を設ける方法
加盟店が、会計処理義務あるいは会計報告義務に違反したり、あるいは、本部の調査を拒否する場合、本部はフランチャイズ契約を解除したり、加盟店に対して違約金を請求することができる旨をフランチャイズ契約書の契約条項として設ける方法です。

これらの方法を複数組み合わせることによって、本部が加盟店の会計を適切に把握できるようにしておくことが重要です。
なお、コンビニエンスストアのフランチャイズシステムなどでは、加盟店に売上金すべてをいったん本部に送金させ、本部において加盟店の会計処理を行う方式(オープンアカウント方式)が採用されていることが多いです。

この方式は、本部が加盟店の会計を完全に把握できるというメリットがある一方、本部側で加盟店の会計を行うためのリソースを確保することが必要です。

そのため、これからフランチャイズビジネスを始めるという場面で、オープンアカウント方式の導入は現実性が低く、前述の4つの方法を組み合わせて契約書に盛り込むことで対応すべきことが多いと思います。

9,ポイント6:
商品や備品、店舗内装を本部指定とするかどうかを決める。

フランチャイズ契約書(FC契約書)において、次におさえておきたい重要なポイントが、「商品や備品、店舗内装を本部指定とするかどうかを決める」という点です。
商品や備品、店舗内装を本部指定とすることには、以下のメリットがあります。

(1)商品や備品、店舗内装を本部指定とすることのメリット
1:商品、備品、内装を統一することにより、フランチャイズチェーンとしての統一的なイメージを確保できる。
2:加盟店独自の商品として廉価品を販売されて、フランチャイズチェーンのブランドが損なわれることを防ぐことができる。
3:商品や備品、店舗内装を本部指定とすることにより、本部として商品や備品、店舗内装の供給に関しても利益をあげることができる。

このように、商品や備品、店舗内装を本部指定とすることには大きなメリットがあります。
しかし、一方で、商品や備品、店舗内装を本部指定とすることによって、仕入れ先の確保や、仕入れ先の管理、また場合によっては、商品や備品、内装の不具合についてのトラブルの対応が必要になることもあります。

これらの点を踏まえて、商品や備品、店舗内装を本部指定とするかどうかを決め、本部指定とする場合は、フランチャイズ契約書にもその点を明記しましょう。

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