「海外案件の契約金はどの通貨で受け取ればいいのか」。これは海外進出を考えているコンサルタントが必ず直面する実務的な問いです。
ネット上には「ドルで受け取るべき」「円建てにしておくべき」という意見が混在しています。しかし正解は「状況によって異なる」です。この曖昧な答えを、判断基準とともに具体的に解説します。
為替・税務・契約リスク・クライアントとの関係性。これらを総合的に考えた上で、自分に最適な通貨設定を選べるようになることがこの記事のゴールです。

- 結論:正解は「円建て」でも「現地通貨建て」でもなく「リスクを理解した上で選ぶこと」
- 通貨選択①:円建て契約のメリットとデメリット
- 通貨選択②:現地通貨建て契約のメリットとデメリット
- 通貨選択③:米ドル建て契約のメリットとデメリット
- 実務上の重要ポイント:契約書に必ず盛り込む条項
- 税務処理の現実:海外収入の申告で押さえるべき点
- 送金の実務:受け取りやすい方法と注意点
- 実際の判断フロー:自分に合った通貨設定の選び方
- まとめ:通貨選択は「リスクの所在を理解した上で決める」
結論:正解は「円建て」でも「現地通貨建て」でもなく「リスクを理解した上で選ぶこと」
通貨の選択に絶対的な正解はありません。しかし判断基準は明確にできます。
円建てが有利なケース:為替リスクを負いたくない・日本の税務処理をシンプルにしたい・クライアントが日本企業
現地通貨建てが有利なケース:現地でのコストが現地通貨で発生する・クライアントが外国企業で現地通貨払いを希望する・現地通貨が強い市場
米ドル建てが有利なケース:複数の国をまたいで仕事をする・現地通貨の変動リスクが高い・国際取引の標準通貨として使いやすい
この3つの選択肢それぞれにメリット・デメリットがあります。自分のビジネスモデル・案件の性質・クライアントの属性によって、最適解が変わります。
通貨選択①:円建て契約のメリットとデメリット
メリット
為替リスクがゼロになります。契約時点で受け取る金額が確定するため、為替変動で収入が目減りする心配がありません。円安のときは現地通貨建てより不利になりますが、円高のときに損失を被るリスクもありません。
日本の税務処理がシンプルです。円建てで受け取った報酬は、そのまま円で申告できます。外貨建ての収入を円換算する作業・為替差益の申告など、複雑な処理が不要になります。
日本企業クライアントへの請求が自然です。海外進出を支援する日本企業を相手にする場合、円建て契約は双方にとってシンプルです。クライアント側の経理処理も簡単になるため、契約がスムーズに進みます。
デメリット
現地通貨建てのクライアントには受け入れられにくいです。外国のクライアントは基本的に自国通貨または米ドルで取引します。円建て契約を求めると、為替リスクをクライアントに転嫁することになるため、交渉が難航するケースがあります。
円安が続く局面では実質収入が下がります。クライアントが円を調達するために現地通貨を円に換える場合、円安の局面では換算後の支払額が大きくなります。クライアントのコスト負担が増えることで、契約更新時の交渉に影響する場合があります。

