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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

採用活動と就業規則の見直し 〜人材確保と組織体制の再構築が企業の命運を分ける時代〜

問題社員が「辞めたい」と言ってきたら、会社としても退職の申し出に応じる意思をすぐに表明して手続きを進めることが鉄則です。

 

1. 採用活動の重要性と現代の課題

企業にとって「人材の確保」は経営の根幹であり、利益構造そのものに直結する。
しかし現在、日本社会では少子高齢化・労働人口の減少により、多くの企業が採用難に直面している。
飲食・サービス業、介護、物流、建設などでは「求人を出しても応募が来ない」状況が常態化しており、
「採用できない」ことが「経営のリスク」となっている。

採用とは、単に人を集める行為ではなく、
「企業理念と価値観に共感し、長く戦力として成長できる人を見極める」プロセスである。
今後の企業に求められるのは、“採用=広報活動” という視点だ。

(1)採用ブランディングの必要性

求職者は求人票だけでなく、企業のSNSやHP、口コミを必ずチェックする。
つまり、「この会社で働きたい」と思わせるストーリーが重要になる。
例えば飲食店であれば、
・地域に根ざした店づくりの想い
・社員の成長事例や働き方のリアル
・代表メッセージと理念の一貫性
こうした情報発信が、採用力を高める「無形資産」となる。

(2)採用活動のPDCA

採用活動もマーケティング同様にPDCAが必要である。

  • Plan(計画):どのような人材を、いつ、何人、どの職種で採用するか
  • Do(実行):媒体選定、求人票作成、面接スケジュール、担当者教育
  • Check(評価):応募数・面接率・内定辞退率・定着率の分析
  • Act(改善):募集文面や条件、面接手法の見直し

採用の成否は“入社後の定着率”で判断される。
採用後すぐ退職されては意味がない。
そのためにも、採用活動と就業規則(制度設計)は密接に関係している。

 

2. 就業規則見直しの必要性

採用活動で人を増やしても、就業規則が現実に合っていなければ、
労使トラブルや早期離職を招くリスクが高い。
「人を採る前に、まずルールを整えること」こそ、組織運営の基本だ。

(1)法改正への対応

近年、労働関係法令は頻繁に改正されている。
働き方改革関連法(時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、年次有給休暇の義務化など)をはじめ、
パート・アルバイト・契約社員にも正社員同様の説明義務・待遇改善が求められるようになった。

就業規則が古いままでは、法令違反となるリスクもある。
例えば「36協定の時間外上限(月45時間・年360時間)」を超えるような働き方を許してしまえば、
企業名公表や行政指導の対象になる可能性もある。

(2)労務トラブルの未然防止

トラブルの多くは「ルールの曖昧さ」から生じる。
遅刻・欠勤、SNS利用、ハラスメント対応、副業、リモート勤務など、
時代とともに新しい問題が増えている。
それらを曖昧にしたまま運用している企業ほど、後で揉める。

就業規則を見直すことは、「社員と企業の約束事を明確にし、誤解を防ぐ」行為である。
つまり“防衛策”でもあり、“信頼構築のツール”でもある。

(3)経営方針の変化との整合

企業の成長段階によって、求める働き方は変わる。
創業期はフレキシブルな体制でも良いが、拡大期には組織的な運営が必要になる。
新店舗の出店や新事業の立ち上げ、テレワーク導入など、
事業環境の変化に合わせて就業規則を柔軟に見直すことが求められる。

 

3. 採用と就業規則を連動させるポイント

ここで重要なのは、「採用活動」と「就業規則の見直し」を別々に行わないことである。
両者を連動させることで、採用力と定着力が同時に高まる。

(1)求人票と実際の労働条件を一致させる

求人票の内容(給与・休日・勤務時間など)と、就業規則・労働契約書の内容に差異があると、
「話が違う」と感じた求職者はすぐに離れてしまう。
求人票作成時には、必ず就業規則の内容と照らし合わせること。
「試用期間」「昇給・賞与」「退職金」なども曖昧にせず、文言を統一する。

(2)面接担当者教育

面接官が就業規則を理解していないと、現場で矛盾した説明をしてしまうことがある。
採用担当者・店長クラスに対して、就業規則のポイント研修を行うことが効果的だ。
特に注意すべきは以下の点:

  • 試用期間の取り扱い
  • 残業・休日出勤の計算方法
  • 社員登用・契約更新基準
  • 服務規律・ハラスメント防止
    こうした説明が明確であるほど、入社後の信頼が高まる。
(3)評価制度と連動したルールづくり

就業規則の中には「賃金規程」や「人事評価規程」を付属させることができる。
この部分を整備することで、
「頑張った分だけ報われる仕組み」を明文化でき、モチベーションの維持につながる。
たとえば飲食店なら「売上・接客評価・衛生管理・チーム貢献度」などを数値化して、
昇給・賞与基準に反映させることも可能だ。

 

4. 見直しの手順と実務ポイント

就業規則の見直しは、以下の手順で進めるとスムーズである。

  1. 現行規則の確認
     いつ作られたものか、誰が管理しているか、法改正に対応しているかを確認。
  2. 現場の課題洗い出し
     社員ヒアリングや店長会議で、運用上の不満点・トラブル事例を収集。
  3. 法令・実態のギャップ分析
     労働基準法・パートタイム有期雇用法などとの整合を専門家がチェック。
  4. 改定案の作成
     経営方針を反映させつつ、柔軟で分かりやすい文面を作成。
  5. 従業員代表への意見聴取
     法的に必要な手続き。社員の理解を得るための説明会も効果的。
  6. 労働基準監督署への届出
     常時10人以上の労働者がいる事業場では提出義務がある。
  7. 周知と運用開始
     社内掲示、イントラネット、配布などで「誰でも見られる状態」にする。

 

5. 改定時に見直すべき主要ポイント

  • 労働時間・休憩・休日:シフト制・変形労働時間制・残業上限の設定
  • 有給休暇:取得義務化への対応、計画的付与制度の導入
  • 副業・兼業:条件付きで認めるか否かを明文化
  • ハラスメント防止:相談窓口・懲戒処分・再発防止措置の明記
  • SNS・情報管理:個人情報・企業秘密の保護
  • 安全衛生:感染症対策、メンタルヘルスケアなど
  • 懲戒・退職:懲戒事由の明確化、懲戒手続の適正化

これらは単なる「ルール」ではなく、企業の信頼性を示す指針でもある。
採用候補者が会社を選ぶ際、「安心して働ける職場か」を見る時代になっている。
就業規則が整備されていること自体が、企業ブランディングになる。

 

6. 組織文化を根づかせる運用フェーズ

就業規則を作ることがゴールではない。
実際に「現場で守られ、浸透しているか」が最も重要である。
そのためには、経営者や店長が率先して規範を示すことが不可欠だ。

  • 定期的に朝礼やミーティングで規則の意義を共有する
  • トラブル事例を教材化し、改善を繰り返す
  • 年1回の見直し会議を設ける
  • 社員の意見を拾い上げ、運用に反映する

ルールを守らせるだけでなく、
「なぜそのルールが必要なのか」を理解させることが、真のマネジメントである。

 

7. 社会保険労務士の活用と今後の展望

就業規則の作成・改定は、労働基準法だけでなく、
労災保険・雇用保険・社会保険など多岐にわたる知識を要する。
専門家(社会保険労務士)に依頼することで、法令対応・文面整備・届出・説明会支援まで一貫して行える。

また、今後は「AIによる人事分析」「電子契約」「クラウド勤怠」など、
デジタルと法務の融合が進む。
この流れの中で、就業規則も紙から電子へ、単なる文書から「運用型マニュアル」へと変化していく。

 

まとめ 〜採用とルール整備は“両輪”である〜

採用活動は企業の未来を創り、
就業規則はその未来を守る「盾」となる。

採用がうまくいかない企業ほど、内部の制度が不明確で、
離職率が高い傾向がある。
逆に、就業規則を整備し、労使関係を透明化した企業では、
人が定着し、口コミで新たな応募者が集まる“好循環”が生まれる。

これからの時代は、給与だけでは人は動かない。
「安心して働ける仕組み」「自分が成長できる環境」「会社との信頼関係」——
これらを体現するツールこそ、就業規則であり、採用活動の核である。

企業が生き残るためには、
採用と就業規則の両輪をバランスよく回す経営戦略が欠かせない。
それこそが、真に人を活かす“現代型経営”の第一歩といえるだろう。

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