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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

バー(bar)とは、バーテンダーが主にウイスキーを中心とした洋酒やカクテルなどを提供する、欧米風の酒場! Vol 1

バーで楽しめるお酒は、ウイスキーやブランデーなどの洋酒やカクテルが中心です。オーセンティックバーなら、流通量の少ないシングルモルトウイスキーなど貴重な銘柄を楽しむこともできるでしょう。洋酒やカクテルのほか、ビールやワイン、日本酒や焼酎など、幅広い種類のお酒を提供するバーも少なくありません。

 

1. バーの起源と歴史的変遷

バーという概念は、飲酒空間の文化・社会的意味と密接に結びついており、世界各地で独自の発展を遂げてきました。ここでは、世界・欧米を中心とした起源、そして日本における展開を主に扱います。

1.1 世界・欧米におけるバーの起源・発展

1.1.1 飲酒空間の起源と酒場文化

人類と酒の関わりは古く、発酵酒・蒸留酒の歴史は古代文明にまでさかのぼります。酒を飲むための集いの場(酒場、宿、居酒屋的な空間)は、古代から存在していました。ギリシャ・ローマ・中東地域では酒宴や交流の場がしばしば設けられ、地域や宗教・社会的制約のもとで飲酒文化が発展しました。

中世ヨーロッパでは、タヴァーン(酒場)・イン(宿泊兼飲食所)・パブ(パブリックハウス)などが発達。これらは庶民の飲酒・交流場であり、食事提供を兼ね、地方・都市を問わず広く普及しました。

1.1.2 バー(Bar)という形式の発展

“バー (bar)” の語源には諸説ありますが、酒樽と客を隔てる“横木 (bar)” に由来するという説が有力です(酒樽から直接自由に飲むことを抑えるための仕切りが “bar” と呼ばれ、それがカウンター構造へ転じた、など)。この構造が「酒をカウンターで注文・飲む空間」の原型を生み、それが“バーテンダー”という職能を形づくりました。

19世紀、アメリカでは禁酒運動・規制・密造酒との斗争があった一方で、都市化・移民文化の混在の中でバー文化が発展しました。cocktail(カクテル:複数酒を混ぜた飲料)という概念も、19世紀後半から20世紀初頭にかけて確立されました。

20世紀には、禁酒法(アメリカ:1920–1933年)や密造酒、禁止令下での密造酒バー(スピークイージー:秘密バー)などを経て、“隠れ家”文化・秘密の酒場という魅力が発展しました。その後、戦後からモダンカクテル文化、クラフトカクテル運動(後述)などを通じて、バー文化は洗練・多様化していきます。

また、20世紀半ば以降、世界中の酒類蒸留・醸造技術や流通網の発達、グローバルブランドの浸透、国際旅行の普及などが、バーで提供される酒の多様性と質を飛躍的に広げました。

1.1.3 クラフトカクテル運動と再興の潮流

近年、バー文化のキーワードとして「クラフトカクテル運動 (craft cocktail movement)」が挙げられます。これは、既存のメインストリームなカクテルよりも、レシピの厳密性、新鮮素材、伝統技法の復興、バーテンダーの創造性などを重視する潮流です。

この運動は、20世紀末から21世紀初頭に始まり、当初は一部の専門バーから始まりましたが、やがて世界的に広がり、バー業界における「高品質化・個性化」の基準を引き上げました。

また、スモールバッチ蒸留酒・地場原料・手作りリキュールなどを使う “アーティザナル酒” の台頭も、この潮流と連動しています。

 

1.2 日本のバー文化の歩み

日本におけるバー文化は、明治期以降の西洋文化導入とともに形成され、戦後・高度成長期を経て独自に成熟してきた歴史があります。

1.2.1 幕末~明治期:外来文化の導入

日本における最初期のバー(洋酒を提供する飲酒空間)は、1850〜60年代の横浜・神戸・長崎などの開港地・外国人居留地で、外国人を対象としたものとして登場しました。たとえば、1860年、横浜の外国人居留地の「ヨコハマ・ホテル」にバーが設置されたのが日本最初のバーとされる説があります。

この段階では日本人が気軽に入るものではなく、主に外国人・来訪者向け、または開港都市での酒文化輸入拠点として存在していました。

また、1870年代には横浜居留地で酒類製造者・流通者が現れ、輸入洋酒の供給基盤が徐々に整備され始めたといわれます。

1880年(明治13年)、浅草で「神谷バー」の前身事業(にごり酒の一杯売り屋台→洋酒提供)を始めたという説もあり、これが日本人に対して酒を提供するバー文化の萌芽とされることがあります。

1.2.2 大正~昭和前期:都市とモダン文化の融合

大正ロマン・銀座モダニズムの時代に、洋酒文化・バーという空間は都心部で “おしゃれな社交場” として広まり始めます。特に銀座・浅草などには、文化人・文豪・芸術家・ジャズマン・モボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)らが集うバーが誕生しました。

この時代には、単なる酒場とは異なり、建築・音楽・内装・語らいという付加価値が重視されるようになってきます。バーは都市文化のひとこまとして、社交・余白的空間としての意味を帯び始めました。

ただし、1923年の関東大震災や戦争期には多くの飲食・接客業が打撃を受け、復興や規制環境も含めて揺らぎがありました。

1.2.3 戦後~高度成長期:普及と制度化

第二次世界大戦後、進駐軍文化・GHQの施設・外国人駐留者向けクラブなどを通じて、洋酒・バー文化がより広く一般市民にも知られるようになります。東京會舘のメインバーなども、そうした接点のひとつです。

1949年には酒類販売規制の自由化(酒税法・酒販制度などの改革)もあり、「バーの元年」と称されることもあります。

高度成長期には、都市部におけるバー・ショットバー・カウンター酒場・ホテルバーなどが次第に増加。銀座・新宿・渋谷・横浜などには老舗バーが出現しました。夜の都市文化の一環として、バーは「洗練された大人の社交場」として位置づけられました。

また、バーテンダーという職能も徐々に確立され、全国的なバーテンダー協会や技術交流が行われるようになります。

1.2.4 バブル期以降~現代:多様化と成熟

1980年代後半から1990年代のバブル期には、バー・クラブ・ラウンジ文化が華やかに拡張しました。ホテルバーやラウンジ型バー、洗練された空間演出バー、ワインバー、日本酒バー、ウイスキー専門バーなど、用途・対象顧客・価格帯の多様化が急速に進みました。

その後、バブル崩壊・経済低迷・飲酒文化の変化・規制強化などがバー業界に逆風をもたらし、統廃合も起こりました。しかし、クラフトカクテル運動の波は日本にも及び、近年、個人経営のこだわりあるバー、隠れ家バー、テーマ型バー、小規模予約制バーなどが都市部でしのぎを削るようになりました。

また、バーだけでなく「カフェバー」「昼夜切り替えBAR」「バー併設ホテル・宿泊施設」など複合化モデルも出てきています。

現在では、バー文化は「体験消費」の最前線であり、空間性・物語性・演出性・職人性が重視されるようになっています。

なお、バーとは別に、ナイトワーク業態(キャバクラ・クラブ等)とは住み分けられるものの、重なり合う部分も多いため、両者を意識的に峻別しながら論じることが重要です。

 

2. 現在のバー業界:状況・課題・潮流

歴史を踏まえたうえで、現在のバー業界(国内外)における特徴、主な潮流・課題を整理します。

2.1 現在の主要潮流(グローバル視点)

近年、バー業界では以下のような潮流・テーマが注目されています(多くが 2020年代、特に近年の報告資料で指摘されているものです)。

2.1.1 ローカリティ志向・“ハイパーローカル”

バー/カクテル界隈では、世界的な素材の多様化、地域固有素材・地元食材の利用、地域文化や風土を反映させたカクテルの創出、地元酒蔵との連携などが重視されるようになってきています。これは、「どこでも手に入るグローバルブランドを使う」という手法よりも、「その地域ならではの味・物語性を提供する」方向への志向です。

たとえば “地元ハーブ” や “地元果実” を使ったリキュール・シロップ、地酒・地ウィスキーとのミクソロジー(混酒)などの試みが増えています。

2.1.2 モデレーション(節度飲酒)・ノンアルコール / 低アルコール飲料の拡張

消費者の健康志向・飲酒頻度抑制志向が強まる中、ノンアルコール・低アルコール飲料、ノンアルコールカクテル(モクテル)、スピリッツのアルコール度数を落とすトレンドなどが拡大しています。

一部報告では、オンプレミス(店内飲酒)消費者のうち、「飲酒頻度を減らした・控えめにする意向」が32%を占めるとの調査もあります。

このモデレーション志向は、バーとしても「飲酒以外の価値提供(雰囲気・体験)」を強化する圧力となっています。

2.1.3 体験の重視・空間演出強化

単なる “酒を飲む場所” から、“時間の質・物語性・没入感・五感体験” を提供する場へとアップグレードする動きが顕著です。空間設計・音響・照明・物語性(演出)・テーマ性・バーテンダーのパフォーマンスなどがますます重視されます。

バーは、「非日常空間を提供する場所」としての役割を強めています。

2.1.4 複業化・複合化収益モデル

単一の酒提供業だけでは事業リスクが高まったため、イベント開催、ポップアップコラボ、バー外部出店、物販(オリジナルグッズ・酒器)、オンライン販売、提携・スポンサー展開など、複数の収益源を持つモデルが主流となりつつあります。

また、昼夜切り替え、バー+カフェ併用型、バー併設宿泊施設・ゲストハウス型なども増えています。

2.1.5 デジタル融合・OMO(オンライン・オフライン統合)

SNS・コンテンツマーケティングを通じて認知・ブランディングを強化し、予約・顧客管理・CRM(顧客関係管理)をデジタル化する動きが必須となっています。

また、オンライン配信(バーテンダーライブ、動画コンテンツ提供)やテイクアウト・ボトル販売・宅配カクテルなど、オフラインだけでない接点を持つモデルも拡大中です.

2.1.6 持続可能性(サステナビリティ)・廃棄ロス管理

飲料業界・飲食業全体でのトレンドとして、環境配慮・サステナビリティが強く意識されるようになっており、バー業界でも廃棄削減・再利用・リサイクル、地元流通優先、包装資材削減などの取り組みが注目されています。

2.1.7 ソーシャルメディア影響力・ブランドPower

バー選定・来店動機には、SNS投稿性・インフルエンサー情報が大きく影響します。映える空間・写真・動画コンテンツ性を重視した設計は必須領域になっています。

ただし、一方で「いつもデジタルー常時接続疲れ(デジタル疲弊)」への反動も生まれており、オフライン・没入型・“デジタルオフ” の場を求める動きも出てきています。

 

2.2 日本国内における課題と特徴

日本のバー業界固有の特色・課題もあります。以下に主なものを挙げます。

2.2.1 客層・消費トレンドの変化
  • 若年層の飲酒離れ傾向:日本では若年層での飲酒率低下が報じられており、酒を飲む習慣・機会そのものが減少する傾向があります。
  • “飲みニケーション”文化の衰退:職場付き合い・接待文化の縮小や見直しにより、バー・飲酒場への来訪機会が減る可能性があります。
  • 単なる“飲む”より“体験・価値”志向:顧客は「雰囲気・語らい・空間・テーマ」を重視する方向へ向かっており、酒そのものだけでは差別化が難しくなってきています。
2.2.2 都市集中・立地コスト問題

東京・大阪・横浜など都市部では地価・賃料が非常に高く、家賃比率が重くのしかかります。特に駅近一等立地では固定費負荷が重く、収益を圧迫しやすいというリスクがあります。

2.2.3 法令規制・許認可難度

バー営業には、酒税法・酒類販売許可、深夜酒類提供許可、消防法・建築基準法・防火規制・衛生法令などの法制度が複雑に絡んでいます。風営法との境界線が曖昧な接待性高い空間(キャバクラ・クラブとの乖離)も、許認可リスクを孕みます。

加えて、東京都など一部自治体では、風俗営業に関わる業態規制・届け出・行政監視が比較的強いケースがあります。

2.2.4 人材育成・確保・待遇問題

バー業という職種の認知度やキャリアパスが一般的に低いという印象も残りやすく、人材確保・定着が容易でない面があります。夜勤務・深夜時間帯勤務という性質上、健康・生活リズム・安全性の課題もあります。

また、バーテンダー技術・知識・語学力・顧客対応能力など高度なスキルを要するにもかかわらず、教育・研修体制が充分でない事業者も散見されます。

2.2.5 コスト上昇・収益構造圧迫

原材料コスト(酒・リキュール・果実・シロップ・氷材など)、電気・照明・冷暖房コスト、人件費、物流コストなどが上昇している中で、顧客単価を限定できないバー業はコスト転嫁力が限定されており、利益率の圧迫が常態化しやすくなっています。

2.2.6 競合形態・代替形態との競争
  • オンライン飲み・配信飲み体験、オンラインバーイベント
  • ギャラ飲み・マッチング飲みなど非従来型飲酒付き交流サービス
  • 居酒屋・ダイニングバー・フュージョン型飲食業との競合
  • カフェ・バー二毛作化・昼夜切り替え型店舗との競合

これらの形態は、バー型空間を挟まず比較的手軽に飲酒・交流を提供できるため、顧客を分散させるリスクがあります。

 

次回へ続く

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