会社が有給休暇の取得を拒否する場合は、まず就業規則を確認し、証拠となる書類やメールを収集します。それでも解決しない場合は、労働基準監督署や労働組合に相談しましょう。
労働基準監督署への相談は無料で、会社への指導が期待できますが、状況によっては弁護士への相談も検討してください。
1. 有給休暇の権利を再確認する

まず前提として、有給休暇は労働者の当然の権利です。
- 根拠:労働基準法第39条
- 条件:
- 雇用から6か月以上経過
- 出勤率8割以上
- 日数:初年度10日、以降勤続年数に応じて増加
- 雇用形態は問わず、正社員・契約社員・パート・アルバイトすべて対象
また、会社が有給を拒否できるのは 「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、時季を変更できる場合のみ。
完全な拒否(「有給は認めない」「アルバイトに有給はない」など)は違法です。
2. 会社が許可しないときの典型的な言い分

現場では以下のような拒否が見られます。
- 「今は忙しいからダメ」
- 「アルバイトには有給はない」
- 「うちの会社は有給を取れない決まりだから」
- 「みんな我慢してるんだから君も我慢して」
- 「代わりがいないから無理」
いずれも法律的には認められません。
会社の内部ルールは労働基準法に優先できないため、労基法違反に該当します。
3. まずは職場でできる対応

3-1. 書面またはメールで申請
口頭だけでは「言った・言わない」になりやすいため、メールや申請書に残す。
例文:
「○月○日に年次有給休暇を取得させていただきたく、申請いたします。」
これで「会社が拒否した証拠」を残せます。
3-2. 「時季変更権」のみ認められることを伝える
会社が有給を拒否してきた場合、こう言うと効果的です。
例文:
「有給休暇は労働基準法で認められた権利であり、会社が完全に拒否することはできません。
もし事業運営に支障がある場合は、法律上は別の日への変更(時季変更)しかできないと理解しています。」
これは角を立てずに、法律を根拠に冷静に伝える方法です。
3-3. それでも認められない場合の次のステップ
- 拒否のやりとりをメール・LINE・録音などで証拠化
- 相談先へ持ち込む準備をする
4. 出向くべき相談先

「会社が有給を許可しない」という状況は、労基法違反の可能性が高いです。
以下の相談先が利用できます。
4-1. 労働基準監督署(労基署)
- 各地域にある厚生労働省の出先機関
- 労働基準法違反を監督・是正する役割
- 無料で相談可能
- 匿名でも相談できる
出向く際に必要なもの
- 雇用契約書や就業規則(あれば)
- 有給を申請した証拠(メール・LINE・書面)
- 拒否された証拠(録音・メッセージ)
労基署でのやりとりの例
「会社に有給を申請しましたが、認めてもらえませんでした。証拠も持参しました。これは労基法違反ではないでしょうか?」
労基署は調査を行い、会社に「是正勧告」を出す場合があります。
4-2. 労働局の総合労働相談コーナー
- 各都道府県労働局に設置
- 法律的なアドバイスをもらえる
- 会社とのトラブル防止のための「助言」や「あっせん制度」もある
相談時の言い方例
「有給を取らせてもらえず困っています。会社との話し合いでは解決しなかったため、今後どのように対応すればよいか相談したいです。」
4-3. 労働組合(ユニオン)
- 会社に組合がない場合でも、地域ユニオンに個人加盟できる
- 会社に対して団体交渉を行ってくれる
- 法的な知識がなくても、交渉を代行してくれるので心強い
加入しての活用例
「有給休暇が認められず困っています。組合を通じて会社に交渉していただけますか?」
4-4. 弁護士への相談
- 法律的に厳しく対処したい場合
- 損害賠償や未払い賃金請求を含めた交渉も可能
- 初回相談は30分〜1時間無料の事務所も多い
相談時の言い方例
「会社に有給を拒否され続けています。証拠もあります。法的手段を検討したいのですが可能でしょうか?」
5. 実際のステップ別対応フロー

- 社内で冷静に申請(書面・メールで)
- 拒否された場合は証拠を保存
- 労基署・労働局に相談
- 必要に応じて労働組合や弁護士に依頼
- それでも改善しない場合は転職も検討
6. 「なんて言えばいい?」具体例まとめ

会社への申請時
「○月○日に年次有給休暇を取得させていただきます。」
(理由は不要。ただし円滑に進めたい場合は「家庭の事情で」程度の説明を加えてもよい)
拒否されたとき
「労働基準法第39条に基づき、有給休暇は労働者の権利であり、会社が完全に拒否することはできないと理解しています。
業務に支障がある場合は、時季変更のみ可能という認識ですが、いかがでしょうか。」
労基署での相談時
「有給休暇を申請しましたが、会社から認められませんでした。これは違法ではないでしょうか。証拠も持参しましたので確認いただけますか。」
労働局のあっせん申請時
「有給を取得したいのに拒否され続けています。会社との話し合いでは解決できなかったため、あっせん制度の利用を希望します。」
弁護士相談時
「会社から有給を一切取らせてもらえず困っています。証拠もあります。損害賠償や法的手段を含めて検討したいのですが可能でしょうか。」
7. まとめ

- 有給休暇は労働者の当然の権利であり、会社が完全に拒否するのは違法。
- 許可しない場合は、証拠を残しつつ、労基署・労働局・労働組合・弁護士へ相談する。
- 実際の相談では、冷静に「法律上の権利であること」「拒否された証拠があること」を伝えるのが重要。
- 職場で改善しない場合、外部機関を利用することが有効。
「泣き寝入り」せず、正しい知識と行動で自分の権利を守ることが大切です。

