近年、日本円の価値が下がり「円安」が進む中で、海外旅行のコストは以前よりも重くのしかかるようになりました。航空券代や現地での食事・ホテル代が円換算で高くなるため、「今は海外に行くのは損だ」と考える人も少なくありません。しかし一方で、円安の状況であっても「それでも行きたい」と思わせる海外の地域や国が存在します。理由は多様であり、単に物価の安さだけでなく、他には代えられない体験価値や魅力があるからです。ここでは円安下でも行きたくなる海外の要素を整理しつつ、具体的な国や地域を見ていきます。

1. 物価が依然として安い国・地域

円安が進んでいても、元々の物価が極めて安い国では、総合的に見てまだまだ「お得感」が残っています。
東南アジア(タイ、ベトナム、インドネシア)
東南アジアは日本人にとって人気の観光地です。
- タイ:屋台での食事は一食200円前後から可能。マッサージやスパも日本の数分の一の料金で体験できる。バンコクやチェンマイはデジタルノマドやリタイア層にも人気。
- ベトナム:フォーやバインミーなどの軽食が100円台。カフェ文化が発達しており、コーヒーを飲みながら街を眺めるだけでも贅沢な時間。
- インドネシア・バリ島:リゾートホテルに手頃に泊まれる点が魅力。物価は日本よりはるかに安く、長期滞在者も多い。
このように、円安で多少割高になっても「現地の生活コストが安いため、日本国内旅行と変わらないかむしろ安く済む」場合があるのです。
2. 体験が唯一無二の場所

円安を差し引いても、「この国でしかできない」「一度は行っておきたい」という体験価値がある国は依然として旅行者を引きつけます。
イタリア
歴史的建造物、美術館、グルメ、ファッションと、多方面での魅力が揃っている国。コロッセオやバチカン美術館などは代替が効かず、円安で費用がかさんでも一生の思い出になる。
フランス
特にパリは世界的に憧れの都市。エッフェル塔やルーヴル美術館、モン・サン=ミシェルなど観光資源が豊富。円安でもワインやチーズを本場で味わう体験は格別。
アメリカ・ニューヨーク
物価は高騰しているが、ブロードウェイでの観劇、メジャーリーグ観戦、最新のアートやエンターテインメントを楽しめるのはここだけ。円安でも「特別な体験のためなら行きたい」と感じる人は多い。
3. 自然・絶景が魅力の国

円の強さに左右されにくいのが「自然体験」の価値です。絶景を目の前にしたときの感動は通貨レートでは測れません。
オーストラリア
- グレートバリアリーフでのダイビング
- エアーズロック(ウルル)の雄大な景観
- シドニーやメルボルンでの洗練された都市体験
円安で滞在費は高く感じても、壮大な自然との出会いは唯一無二。
カナダ
ナイアガラの滝やカナディアンロッキーの大自然は圧倒的なスケール。ハイキングや紅葉シーズンには世界中から観光客が訪れる。
南米(ペルー、ボリビア)
- ペルーのマチュピチュ遺跡
- ボリビアのウユニ塩湖
交通費はかさむが、人生で一度は訪れたい世界遺産として人気が続く。
4. 日本との文化的な「近さ」

円安でも安心して旅行できる理由のひとつに「文化や食事が日本人の好みに合っている」ことがあります。
韓国
日本からの距離が近く、LCCを使えば航空券も比較的安価。コスメ、K-POP、韓国料理などトレンド要素が強く、買い物目的でも魅力的。円安の影響はあるが、短期旅行なら負担が小さい。
台湾
親日的で食文化も近い。夜市グルメや小籠包、温泉体験も人気。飛行時間も短く、週末旅行にも最適。
香港
飲茶や夜景、ヴィクトリアピークの景観などが楽しめる。金融都市として物価は高いが、短期滞在なら魅力は十分。
5. 円安でも得を感じられる工夫

円安下で海外を楽しむには「旅の工夫」も欠かせません。
- LCCやセール航空券を狙う:アジア圏はキャンペーンを活用すれば1万円台の航空券も。
- 長期滞在より短期集中:滞在日数を絞れば総額を抑えられる。
- 現地の安い食事を楽しむ:観光客向けのレストランよりもローカルフードを。
- シェアハウスや民泊:ホテルよりコスト削減が可能。
円安でも知恵を使えば十分に楽しめるのです。
まとめ

円安が進むと「海外旅行は贅沢すぎる」と感じがちですが、それでもなお「行きたい」と思わせる国は数多くあります。
- 物価が安く、円安でも割安感のある 東南アジア
- 一生に一度は行きたい文化・芸術の中心地 ヨーロッパやアメリカ
- お金では代えられない自然の絶景を持つ オーストラリア・カナダ・南米
- 日本から近く、食事や文化が合う 韓国・台湾・香港
つまり「円安だから海外は行けない」と決めつけるのではなく、自分の目的や旅の工夫次第で、まだまだ魅力的な旅行は可能です。むしろ円安の今だからこそ「費用対効果以上の体験価値」を求めて、特別な旅行を計画するのも賢い選択といえるでしょう。
