ファッション・服飾におけるエプロン (apron) は、①前掛け、前垂れ②掛け③割烹着などの意味があります。
衣服の上から当てて着用するもので、胸元や腰回りから下に布が垂れ下がるものを表します。エプロンは、もともとと農耕や牧畜、工作や食事などの際の汚れ防止や体の保護などの実用的な目的に用いられましたが、のちに機能面だけでなく、装飾性に富んだものは権威を示すものとしても用いられました。
エプロン(apron)の語源
エプロン (apron) の語源は、ラテン語の「mappa(一枚の布、布切れ)」で、ラテン語の「napperon(布)」、古フランス語(9世紀から14世紀にかけて現在のフランス北部を中心に話されていたフランス語)の「napperon(布)」を経由して、1307年に「napron」として文献に初出しています。
その後、16世紀になって不定冠詞がついた形の「a napron(ナプロン)」を「an apron」と誤解(異分析)したため、単に「apron(エプロン)」となりました。
エプロンの歴史
エプロンは紀元前の古代エジプト時代には、王侯や司祭などの権威の象徴となっていました。
紀元前15世紀ごろに作られたとされる地中海・クレタ島(ギリシャ共和国)の「二匹の蛇をもつ女神像」には、エプロン風の前垂れが掛けられています。
近世初頭のヨーロッパでは
王侯貴族の女性たちが宝石などの装飾をたくさん付けた豪華なエプロンを用いています。
そのはじまりは、貴婦人が妊娠して大きくなったお腹を隠すために、プリーツ(ひだ)を付けたエプロン用いたことからと言われます。
日本におけるエプロンの歴史
日本において、エプロンという言葉が広まったのは、明治末期から昭和初期にかけて流行した当時の酒場(カフェ)で働いていた女性給仕(女給)が和服の上に掛けて接客していたことがきっかけとされます。
それ以前は、エプロンという言葉は用いられずに「前掛け」とされていました。
エプロンというのは
調理や家事、大工、木工などの作業をするときに着用している衣服が汚れないように身につける衣類のことで、作業の便宜性を図るためにポケットが付いているものが多いのが特徴です。
形状としては
胸と下半身を覆うタイプのビブ・エプロンと下半身だけを覆うサロン・エプロンまたはウエスト・エプロン、ビブ・エプロンの肩紐部分にフリルの付いているメイド風のピナフォアなどがあり、それぞれの用途に応じて使用されます。日本では昔から袖の付いた割烹着がエプロンとして使われてきました。
エプロンの素材としてはコットンが主流ですが、防汚加工の施された化学繊維もよく使われています。リネン(麻)も丈夫でしかも抗菌性が高いことから、エプロンの素材として好まれています。
前掛けとエプロンの違いとは?
まず前掛けとは、日本で古くから使われてきた腰に巻く四角い布で、主に下半身を汚れなどから守るためのものを言います。
それに対して、エプロンは戦後に日本に入ってきた西洋風の前掛けで、下半身だけでなく上半身も含めて汚れから衣類を守るために使われています。
使用場面も
前掛けは酒屋や米屋・魚屋・八百屋などの比較的重いものや割れ物を扱う業種で、汚れだけでなく腰痛や怪我を防ぐ目的で使用される傾向がありますが、前掛けと比べて生地の薄いエプロンは、基本的に汚れを防ぐ目的で使われるため、一般的な飲食店や小売店、さらに各家庭などでも広く使用されています。
帆前掛け・前掛け・エプロン?どれを選ぶべき?
前掛けとエプロン、そして昔ながらの帆前掛けは、用途や目的によって使い分けることができますが、それぞれどんな場面で選ばれることが多いのでしょうか?
伝統的な和の雰囲気を出したい
伝統的な和の雰囲気を出したいという場合は、古くから日本人に愛されている「帆前掛け」がおすすめです。
熟練の職人が1枚1枚丁寧に染め上げた帆前掛けなら、腰に巻くだけで和の重厚な雰囲気作りに一役買うため、酒屋や米屋などだけでなく居酒屋や日本料理店など、幅広い業種のお店のユニフォームや作業着としてもぴったりです。
普通の綿生地で作りたい
専用生地で作る帆前掛けとは違う別の生地で作りたいという場合には、「前掛け」がおすすめです。
カラフルなデザインを再現したい
カラフルなデザインを再現するなら、反応染料で染め上げる製品がおすすめです。
例えば、水野染工場の前掛けなら、3000種以上の色合わせが可能。DIC、全染研カラーなどの色番号での指定もできるため、こだわりのデザインを再現することができます。
また、昔ながらの藍色の帆前掛けだけでなく、専用の生地を反応染料で染め上げる「カラー帆前掛け」を選べば、デザイン性と日本の伝統を兼ね備えたこだわりの1枚が完成します。
洋食店やカフェで使いたい
洋食店やカフェなどで使いたい場合は、前掛けやエプロンがおすすめです。
上半身までカバーしたいという場合はエプロン、シェフコート・コックコートに合わせるなら腰に巻く前掛け…など、スタッフのユニフォームによって使い分けると良いでしょう。
海外の友人にプレゼントしたい
熟練の職人の技術で染め上げる本格的な帆前掛けなら、海外の方へのプレゼントとしてもぴったりです。
実用的でありながら1枚で日本らしさが出るため、和を意識した贈り物に選ばれる方も少なくありません。