なんとなくボーッとしたり、ダルくなったりすることが多くなっていませんか?
もしかしたら、脳が糖質過多な状態に陥っているかもしれません。
脳にはエネルギー源となるブドウ糖だけではなく、タンパク質やミネラルなどの栄養素も欠かせません。
- 疲労感や思考力の低下には、タンパク質やビタミン、ミネラル不足が関係していた!
- 忙しいと栄養は炭水化物に偏りがち
- タンパク質の取り過ぎも禁物!
- 食事は1日3回、決まった時間に
- 嗜好品の常用にも要注意
- 脳に必要な栄養素を効率よく摂るには?
- 疲労感を感じにくい糖質の摂り方のポイント
- 疲れやすい人
疲労感や思考力の低下には、タンパク質やビタミン、ミネラル不足が関係していた!
脳が「ブドウ糖」をエネルギー源としていることは有名ですが、他にもタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素は欠かせません。
これらの栄養素が不足すると、脳内の神経伝達物質をうまく作り出すことができなくなり、疲れや集中力の低下などが起きてしまうのです。
脳内の神経伝達物質は、脳内に入ってくる様々な情報の伝達役を担っています。
意欲や記憶、学習能力をつかさどっている「ドーパミン」「ノルアドレナリン」、興奮を鎮めてくれる「ギャバ」、精神を安定させる「セロトニン」などが代表的な脳内神経伝達物質で、これらのバランスが崩れるとイライラや落ち込み、意欲の低下など、心の状態が不安定になります。
【タンパク質】
不足すると集中力ややる気の低下に!
脳の活動に必要な神経伝達物質。
タンパク質が不足すると、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がつくり出せなくなり、集中力ややる気の低下を招きやすくなります。
【ビタミンB群】
不足すると不眠や集中力低下の原因に!
脳内で重要な役割を果たしているビタミンB群。
特に、ビタミンB6、葉酸、ナイアシンなどは、セロトニンやドーパミン、ギャバをつくり出すために必要不可欠な栄養素です。
不足すると、セロトニンやドーパミンが減少して不眠に悩まされたり、新聞や難解な本が頭に入ってこなかったりといった集中力の低下が現れるようになります。
【ミネラル(鉄)】
不足すると疲労感や立ちくらみの原因に!
セロトニンやドーパミンを作る上で欠かせない栄養素。
特に、鉄は全身に血液を運ぶ役割を担っているため、不足すると脳内の酸素も不足し、疲労を感じやすくなったり、立ちくらみなどの症状が現れたりします。
【脂質(コレステロール)】
不足するとストレスを感じやすくなる!
脂質の中でも特にコレステロールは、ストレスに対抗するために分泌されるステロイドホルモンの材料。
不足すると、脳の機能が低下したり、ストレスを感じやすくなったりします。
忙しいと栄養は炭水化物に偏りがち
栄養が炭水化物に偏っていることが多いようです。
たとえば、お昼はおにぎりや菓子パンだけ、夏場はそうめんだけとか、おかずもイモやカボチャが多かったり…。炭水化物を食べると血糖値が急に上がるので、一瞬、元気になったように感じます。
疲れにくい体をつくるのは、どのような食事なの?
タンパク質、炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく取る食事です。炭水化物は力や熱などのエネルギーになりますが、タンパク質やビタミン・ミネラルを一緒に取れば、血糖値の上昇が緩やかになり、加えて代謝が活発になるので、疲れにくくなります。
とはいえ、忙しいときに3食、おかずを何品も手づくりしている時間がないのも事実。
タンパク質の取り過ぎも禁物!
炭水化物に偏った食事とは反対に、最近は「低糖質ダイエット」など炭水化物を極端に減らした食事方法が話題になっています。
ご飯などの炭水化物を減らせば、どうしてもタンパク質が中心の食事になってしまいます。
タンパク質を取り過ぎると、コレステロールや尿酸値が高くなってしまう場合もありますし、タンパク質を分解する腎臓に負担がかかってしまうことも。やっぱりバランスが大事なんです。
1日に必要なタンパク質は、肉が80g程度と魚が切り身1切れ、卵が1個、それに大豆製品(豆腐3分の1丁程度か納豆1パックどちらか)で十分。これらを3度の食事に分けて食べるのがベストだそう。
たとえば、朝は納豆ご飯、昼に豚肉の入った野菜炒め、夜は焼き魚と冷や奴という具合なら理想的です。
ちなみに肉80gは、豚肉の薄切りなら3枚程度。「これでは物足りない」という方が多いはずですが、今の食事は食べ過ぎだということ、食べ過ぎは体を疲れさせるということをちょっと考えて、食事を少し改善するだけでもいいでしょう。
食事は1日3回、決まった時間に
忙しいと、夕食が遅い時間になってしまいがちですが、福岡さんによると、不規則な食事も疲労の蓄積につながるそうです。
朝・昼は忙しいから
軽く済ませて、夜にしっかり食べるという方が多いと思いますが、夜に揚げ物など脂っこいものを食べると胃がもたれて、疲れを朝に持ち越しがち。
食べる量が多いと消化するにもエネルギーを使うので、できれば朝昼にしっかり食べて、夜は消化がよく、あっさりした和食などの食事が理想です。
寝ている間
エネルギーをまったく取っていませんから、低血糖で集中力を欠いてしまいます。バナナ1本でも食べてから出かけてください。
ただし、最近、手軽な朝食として人気が高まっているシリアル類には、少し注意が必要とのこと。
嗜好品の常用にも要注意
仕事が終わったあとのアルコールはダメですか?
お酒を飲むとぐっすり眠れるという人がいますけど、早朝に覚醒するなど良質な睡眠が得られない場合が多く、かえって疲れやすくなります。リラックス効果はあると思いますので、ビール1缶(350㎖)くらいに抑えてほしいですね。
疲れたときに飲む栄養ドリンクはどう?
カフェインが入っているものが多いので、一時的には集中力が増した気になりますが、効果が切れたときの疲労感は大きいはず。そんなに常用してほしくないですね。飲むのは肝心なときだけにしたほうがいいでしょう。
脳に必要な栄養素を効率よく摂るには?
このようにタンパク質やビタミン、ミネラルが、私たちの日々の活力の元になっています。
【タンパク質】良質な動物性タンパク質を生で
動物性タンパク質には、セロトニンを作る原料になる「トリプトファン」が豊富に含まれています。トリプトファンは加熱により壊れてしまいやすいため、効率よく摂るには生で食べるのが一番。
卵かけごはん
牛肉はミディアムレア
魚は刺身やカルパッチョ
など、なるべく加熱しない方法を選べば効率よく栄養が補えます。
生食できる食材は、鮮度が良いものに限ります。
【ビタミンB群】なるべく加熱をしない方法で
ビタミンB6はカツオやマグロ、サケなどに豊富に含まれ、ナイアシンはタラコやカツオなどに、葉酸はレバーなどに多く含まれています。
動物性タンパク質と同様に加熱すると壊れてしまうため、鮮度を確認し、生食が可能なものは刺身やカルパッチョなどで食べるのが良いでしょう。
【ミネラル(鉄)】動物性を選ぶと効率UP
非ヘム鉄の食材で摂る場合には、吸収を促してくれるタンパク質やビタミンCを一緒に摂りましょう。
疲労感を感じにくい糖質の摂り方のポイント
タンパク質やミネラル、脂質は脳内神経伝達物質をつくる元となりバランスを整えてくれますが、やはり脳の最大のエネルギー源はブドウ糖。ただし、ブドウ糖の原料になる糖質を過剰に摂り続けると、以下のような症状が現れます。
- 午後眠気に襲われる
甘い物が常に欲しくなる
食後、集中力や判断力が低下してボーッとする
この状態は、糖質中心の食事になっている可能性があります。
糖質の摂り方にもポイントがあります。
それは、血糖値の急激な上昇を避けること。
急激に血糖値が上がると、脳の働きを不安定にしてしまうのです。
甘い物を食べる場合、甘いお菓子やジュースに含まれるショ糖(砂糖)を避け、穀物やいも類、豆類などでんぷんを含んだ食品を選ぶと、血糖値の上昇が緩やかになります。
疲れやすい人
もちろん原因がある場合は、その病気の治療が第一です。
疲れているとき、食欲不振のとき
1.糖質からエネルギーを補う
特に、糖質からとるのが早いでしょう。糖質は体内に入るとブドウ糖になり、このブドウ糖が脳や神経系のエネルギー源になり、精神的疲労を回復させるのに役立つのです。
一方、脂肪も分解して筋肉のエネルギー源になることができるのですが、筋肉にたまった疲労物質を取り除くには、糖質が必要となるので、肉体疲労にも効果的というわけです。
2.良質のたんぱく質食品をとる
疲れやすい人はたんぱく質を少し多めにとるようにします。
3、ビタミンB1、B2、C、カルシウム、鉄を
栄養ドリンク剤を飲むのも一つの方法でしょうが、できれば日頃からこれらの栄養素を食事でとり入れ、疲れにくい身体をつくることです。
4、運動と休息のバランス
日常の生活で肉体労働が多い場合は、ゴロゴロとのんびりする休息をとり、精神労働が多い場合は、スポーツで身体を動かすようにしましょう。
いずれも規則正しい生活をし、睡眠を十分にとることです。