歯科医院で治療を受ける時、治療が始まる前に「痛かったら左手を挙げて下さい」と言われます。挙げるのはなぜ「左手」なのか、考えたことはあるでしょうか?右手ではだめなのでしょうか?
- お互いわかりやすい合図を決めたいから
- 歯科医師や治療用のテーブルにぶつかりやすいから
- 水がたまってつらい
- 歯科衛生士、歯科助手が気付きやすいから
- 舌の置き場がわからない
- 大きく口を開けているのがしんどい
- 気分が悪い・疲れた
- どのくらい痛かったら手を挙げていいの?
お互いわかりやすい合図を決めたいから
歯科治療中は、口内に治療用器具が入るため喋ることができません。また、痛かった時にいきなり動くと危険です。「左手を挙げる」という動作はシンプルで、小さい子どもだとしても、わかりやすい方法です。予め「痛かったらこうする」と方法を決めておけば、お互い安心して治療に臨めるでしょう。
歯科医師や治療用のテーブルにぶつかりやすいから
歯科治療の時に座るイスのような「治療ユニット」を思い出してみて下さい。歯科医師が立っている場所、持つ器具を置いている台は右側にありますよね。
もし右手を挙げてしまったら、器具を置いた台や器具そのもの、治療している歯科医師にぶつかってしまうかもしれません。患者さんからしたらその気はなくても、治療を妨げてしまう可能性があります。
より良い治療を行えるように、左手を挙げるように指示があるのです。
また、治療器具には鋭いものもあり、手に当たるとケガをする危険性があります。歯科医師の手に当たっても危ないです。お互いのリスクを回避するためにも「左手」を挙げましょう。
水がたまってつらい
口腔内に、唾液や水がたまってつらくなった、うがいをしたい、などの場合も手をあげて合図をしてください。治療や処置をストップして、お声がけをしてくれます。
歯科衛生士、歯科助手が気付きやすいから
治療する歯科医師は患者さんの右側に立ちますが、治療の補助をする歯科衛生士や歯科助手は患者さんの左側にいることが多いです。歯科衛生士や歯科助手は、治療中の補助以外にも患者さんの様子に気を配る役目もあります。
そのため、左手を挙げると距離が近い分気付いてもらいやすいのです。もし左手を挙げたら、歯科衛生士がすぐに歯科医師に「患者さんが痛がっています」と伝え、対処してもらえるでしょう。
舌の置き場がわからない
治療の際に舌をどのようにしたらいいのか、わからなくなったりすることはありませんか?その場合も手をあげて合図をしてください。合図をしていただければ、スッキリするためにうがいをしていただいたり、治療箇所から離れた場所に置いていただくようにお伝えできます。
大きく口を開けているのがしんどい
大きく口を開けているのがしんどい、咳が出そう、などの場合。特に長く口を開けていると、顎の部分の開口筋がずっと使われている状態なので筋肉が疲れてきます。
そんなときも、お知らせください。治療内容にもよりますが、軽い休憩を入れることもできます。
また、顎関節症などでお口を開けるのがつらい、長くは開けていられないという方は、遠慮なく治療前にご相談ください。
気分が悪い・疲れた
緊張やストレスが強すぎると麻酔をしたときの刺激で血圧が下がってしまい、気分が悪くなってしまうケースや、疲れが出てしまうケースもあります。からだの異変に気付いたときは、無理をせずにお知らせください。
どのくらい痛かったら手を挙げていいの?
「“痛かったら左手を挙げて”と言われても、つい遠慮しちゃう…」そんな方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。少しでも「痛い」「違和感がある」「気分が悪い」と思った段階で挙げて大丈夫です。
「口を開けるのが疲れた」「辛くなってきた」という場合も、左手を挙げて構いません。意思表示をすれば、治療を一旦中断したり、麻酔を追加したり、というような対処をしてもらえます。我慢しすぎなくても大丈夫です。