同じように歯磨きしていても虫歯になりやすい人とそうでない人がいるのは事実です。
磨いているつもりでも、きちんと磨けていないということもあるでしょう。しかしここでは、きちんと磨けていると仮定した上で何故そのような差が出るのか検証したいと思います。まず考えられる原因を列挙すると、食生活の悪さ、口腔内菌叢の悪さ、唾液の量や性状の悪さ、歯の質の悪さなどが考えられます。
- まず食生活
- 口腔内菌叢
- 唾液について
- 歯の質について
- 歯列不正などの構造上の不備
- 唾液は十分に出ているか?・・・・
- 虫歯菌の餌について
- 現在市販されている歯磨き粉
- フッ素入りの歯磨き粉の中でも?!
- 歯を白くすると表記されているものは!
- 歯がしみるのを防ぐと表記されているものは!
- 歯磨きが終わった後、
- 歯磨き粉を適量?
- 歯磨き粉をつけすぎるデメリット
まず食生活
甘いものをダラダラ食べるという食生活・・これは当然ですが、虫歯菌の好む環境です。
甘いもの(ショ糖)は、虫歯菌の餌になり歯を溶かす酸を産生し虫歯をつくります。
口腔内菌叢
口の中には、健康な状態でも200種類以上の細菌がその数、数十億という単位で生息しています。その中でも善玉菌と悪玉菌の割合が問題になります。悪玉菌が比率として多ければ当然虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
細菌の中には
虫歯菌や歯周病に悪い影響を及ぼす菌以外にも善玉菌と呼ばれる細菌が存在し口腔内のバランスを保っています。
そもそも赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいませんが幼児期にどんな細菌を周囲の大人から感染させられるのかで将来、虫歯や歯周病になりやすいか、そうでないのかが決定します。
お口の中の細菌叢
一人一人異なり、悪玉菌の比率も個人個人で異なります。虫歯菌の代表ミュータンスレンサ球菌は、赤ちゃんのうちは口腔内に存在しません。
歯が萌出して離乳食が始まると周囲の大人、特に母親、父親が自分が使用した箸やスプーンを介し感染するのです。
唾液について
唾液の分泌量が少なければ、自浄性が低下し、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
また、唾液には、食後、酸性に傾いたお口の中のPHを中性に戻す力(唾液緩衝能)がありますが緩衝能が高いほど歯が菌の出す酸によって溶かされる時間が短かくてすみ、再石灰化しやすくなるため、虫歯になりにくくなるのです。
歯の質について
歯は、エナメル質、象牙質、セメント質などの成分で出来ているのですが、通常目に見えているエナメル質はもともと非常に硬い物質なのですが、歯の形成段階での石灰化が不十分で、エナメル質や象牙質の無機質が不足していることがありこのような場合、虫歯になりやすい歯の質だと言えましょう。
歯列不正などの構造上の不備
いくら歯を磨いたとしても、これでは、食べたものがのこりやすい。虫歯菌の生きていくための快適な条件を提供するようなものです。しかも歯周病を引き起こす歯石も付着しやすい。
歯石がついていないか・・・歯石があれば、いくら歯を磨いてもおなじこと、なぜなら、億単位の細菌が歯石には含まれていて、口の中の環境は、いつまでたっても改善しないからです。
唾液は十分に出ているか?・・・・
唾液は、食べる時は消化液として、それが以外の時は、優れた洗口液の役割があり、しかも細菌のみならずウィルスに対しても殺菌し、いつも口の中を一定の環境に整える働きがあります。
この唾液の分泌が悪かったり、口呼吸すると、口の中は、いくら磨いてもすぐに、ばい菌だらけになります。
すっぱいのを良く食べたり、飲んだりしないか・・・口の中が酸性に傾くと、虫歯菌は活発に働きますし、しかも、歯の構成成分であるカルシウムなどがどんどん失われます。
虫歯菌の餌について
虫歯菌は、いつもいるのですが、増やさないようにすることが大切です。
虫歯菌の餌はショ糖です。これを良く取る人や、ダラダラと食べる人は、虫歯菌を口の中で養殖しているようなものです。
さらには、唾液が少ないと、たとえわずかしか砂糖を取らないとしても、濃縮されます。唾液には、希釈作用もあるからです。
現在市販されている歯磨き粉
ほとんどにはフッ素が入っています。
必ずフッ素入りでなければならないのか、そもそも歯磨き粉をつけなければいけないのか、歯科医師がフッ素入りの歯磨き粉をお勧めするのには2つの理由があるそうです。
まず1つ目の理由
歯の再石灰化があります。お口の中にはたくさんの細菌が生息しており、食べ物の糖を分解して酸を作ります。この酸によって歯が溶かされてしまう、それが虫歯の始まりです。しかし、歯の表面を綺麗に磨いてフッ素をつけておくと、一度溶かされてしまった歯の表層が再び硬くなっていきます。これを再石灰化と言います。
2つ目の理由として
フッ素によるコーティングがあります。身近なところでもフッ素のコーティングは使われています。例えば、テフロン加工のフライパンは食品がこびりつかず、調理をした後も汚れが落ちやすいですよね?このテフロン加工はフッ素による加工なのです。つまり、歯磨きするたびにフッ素コーティングをして汚れがつきにくく、また落ちやすくしているのです。
以上の理由からフッ素入りの歯磨き粉をお勧めします。
フッ素入りの歯磨き粉の中でも?!
色々な種類があります。その中で効能別に歯磨き粉の違いを挙げていきます。
歯周病予防と表記されているものは、歯ぐきの炎症を抑え出血を防ぎ、歯周病の原因菌を直接殺菌して効果を発揮します。
歯を白くすると表記されているものは!
研磨剤の粒子が大きく歯の表面を研磨することによって着色を落とし白くします。ここで注意しなければならないのはホワイトニングで使われる薬剤と違い、歯そもそもの色を白くするわけではありません。
歯がしみるのを防ぐと表記されているものは!
知覚過敏による歯のしみに対して効果を発揮します。知覚過敏というのは、歯ぐきが下がることなどにより歯の根っこの表面が出てしまうと、白い部分のエナメル質と違い神経に直接つながる細い管がたくさん出てきます。
そこに冷たい水など刺激物が当たるとしみてしまいます。知覚過敏用の歯磨き粉はその細い管を埋めてしまい刺激物が当たっても神経まで伝わらないようにします。
歯磨きが終わった後、
泡を出さずに約10mlの少量の水を含んでぶくぶくうがいを30秒行うようにしましょう。そうすると隅々まで薬効成分が行き渡ります。
その後は出来るだけ口をゆすがないように、とは言いましてもそれはさすがに気持ちが悪いと思いますので、最小限にゆすぐようにしましょう。
歯磨き粉を適量?
年齢に応じて適切な量の歯磨き粉を歯ブラシに、0~2歳は1~3mm程度、3~5歳は5mm程度、6~14歳は1cm程度、大人は1~2cm程度が目安です。
歯磨き粉をつけすぎるデメリット
磨いたつもりになる
歯磨き粉を大量につけると、泡立ちや清涼感がアップします。
何となくスッキリとして「しっかりと磨けた気分」になってしまいそうですが、実はこれこそが歯磨き粉のつけすぎによる最大のデメリットです。
泡立ちが良いとお口の中が見えにくいため「磨き残し」が起こりやすく、プラークを充分に取り除くことができません。
歯周病や虫歯を防ぐためにも、歯磨き粉の量は少なめがおすすめです。
研磨剤が多い歯磨き粉は歯を傷つけることも
市販の歯磨き粉には「研磨剤」「発泡剤」「香味料」「湿潤剤」などさまざまな成分が含まれていますが、研磨剤が多く含まれている歯磨き粉のつけすぎには特に注意が必要です。
研磨剤には歯に付着した汚れやステインなどを落とす役割がある一方で、歯磨き粉をつけすぎたり歯ブラシで強く磨きすぎたりすると、歯の表面にあるエナメル質を傷つけてしまう恐れがあります。
歯に負担をかけないためにも、歯磨き粉を使用する前には必ずパッケージを確認し製品ごとの適量を守るようにしましょう。