スーパーでよく見かける「丸ごと一杯のイカ」。買って食べたことのあるひとは意外に少ないのでは?自分も有りません!
「いかの語源について諸説あります
いかの「い」は語声強調の接頭語で、「か」は「食(け)」がなまったもので、食用にされる動物の呼称とみなすべきだと書かれています。
つまりイカは当時の人々にとって、食物そのものだったのではないでしょうか。
青森県の三内丸山遺跡からは、イカのカラストンビ(イカの口器である上顎板と下顎版)が多数確認されていますし、奈良時代の書物『出雲国風土記』(733年)にはすでに「いか」の名が登場しています。
これらは、イカは日本において古くから重要な食べ物であったと裏付けるものです。
「いか」は食物そのものを表す言葉だった、という説も頷ける話ですね。
現在でも、イカは日本の水産物ではトップクラスの消費量を誇っている大切な海の恵みです。
「烏賊」の語源
イカは漢字で「烏賊」と書きます。
最初の文字は「鳥(とり)」ではなく「烏(からす)」です。
海の生き物であるイカになぜ烏(からす)の文字が使われているのでしょうか。
これは中国の古書『南越志』に記されている故事が由来となっています。
死んだふりをして海面にぷかぷかと浮かんでいるイカを烏(カラス)がつつきに来ると、イカは突然腕を伸ばしてカラスを絡めとり、海中に引きずり込んでしまった、という話から「烏」を襲う「賊」という意味で「烏賊」という漢字が当てられたそうです。
実際には、イカがカラスを襲って食べるという生態は今のところ確認されていません。
でも、イカは頭がいい生き物なので、我々が見ていないどこかで、死んだふりをしてカラスを襲って食べているかもしれませんね。
どれを買えばいいの?
まずはイカをスーパーで選ぶところから。イカの種類は地域差がありますが、全国的にスーパーに並ぶことが多いのはスルメイカ、ヤリイカなどでしょう。
通年手に入りやすく安価なスルメイカを使います。他のイカより肝が大きいので、肝を使った料理を楽しめるのも良いところです。
選び方の注意点
まず「生」を選ぶこと。
イカは冷凍しても食味がほとんど劣化しない優秀な食材ですが、解剖して観察する場合は解凍品よりも生の方が内臓がしっかりしていて観察しやすいです。
鮮度の良いスルメイカ
目が黒々と澄んでいて、全体に透明感があり、濃い赤褐色をしています。
更に近寄ってみると、体表面の色は小さな色の粒の集まりで構成されているのが分かります。
この粒は色素胞と呼ばれ、これを広げたり縮めたりすることで、イカは一瞬で体色を変化させることができるのです。
アオリイカ、スルメイカ、ヤリイカ
味わいの違いは?
私たちがスーパーで見かけるイカには、さまざまな種類があります。旬の時期も、アオリイカは6〜8月、スルメイカは7〜9月、ヤリイカは10月〜1月ごろと言われていますが、地域によってもさまざまですし、コウイカなどは通年で楽しめます。
肝心の味わいはというと、それぞれに特徴があります。
アオリイカ
グリシンを始めとするうま味成分が豊富で、さらりとした甘味、しなやかな歯ごたえが人気。「イカの王様」と呼ばれ、刺し身、焼き物、寿司ネタなどに。
スルメイカ
ねっとりとした甘さが特徴。内臓の味がよいため、塩辛に最適。比較的安価のため、刺し身、煮物、天ぷらなど、日本でもっとも食べられている。
ヤリイカ
くせがなく、ほのかな甘味が特徴。身がやわらかいため、刺身や煮物、揚げ物など、さまざまな料理で楽しめる。
コウイカ......肉厚でもっちりとしていて、甘みがあるのが特徴。刺身や寿司、天ぷらなど、飲食店で扱われることが多い高級イカ。墨を多くもつため、関東ではスミイカと呼ばれることも。
新鮮なわたは、塩辛やわたじょうゆ、煮つけにするのもよいです。
洋風だと、ゆでたり白ワインで蒸したりして、サラダ、マリネに使用したり、トマトソースと合わせてパスタなどのイタリア料理にしたりします。
輪切りにして塩・こしょうをしてフライやフリットにするのもよいでしょう。
中華料理だと八宝菜、チリソース炒め、海鮮焼きそば、ブラックビーンズソース炒めなどさまざまな料理に使われます。
イカに含まれるビタミンE、タウリンのはたらきとは?
ところで、イカには、どんな栄養が含まれているのでしょうか?
イカには良質なたんぱく質が多く含まれ、脂質が少ないのが特徴です。
イカのコレステロール含有量は!
魚介類のなかでも多い方ですが、一方で、体内でコレステロールを減らす作用があるタウリンを豊富に含んでいます。タウリンには、そのほか心臓や肝臓の機能を高める、視力の回復、インスリン分泌促進、高血圧の予防、中性脂肪を減らすなど、さまざまな効果があると言われています。
また、イカには必須アミノ酸であるリジンも多く含まれます。リジンは集中力を高めるだけでなく、からだの成長に大きく関わったり、肝機能を強化したりすることが期待されています。
ほかにも!
細菌やウイルスが体内へ侵入するのを防ぐ抗体の材料となるため、免疫力のサポートや、育毛促進やエネルギー代謝をスムーズにするはたらきも期待されており、研究が進んでいます。
イカに含まれるビタミンEは、抗酸化ビタミンの一つ。心疾患や脳梗塞の予防、血行改善、老化防止にはたらくと言われ、ホルモンのバランスが崩れて起きる更年期障害の改善も期待されています。
また、イカは、低エネルギー、低脂質、高たんぱく質で、さらに嚙みごたえがあり、早食い防止にもなるので、ダイエット中の方におすすめです。
イカを選ぶ際のポイント?
店頭でイカを選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
●生のイカ
・全体に透明感がある
・目が黒く澄んでいる
●冷凍のイカ
・茶褐色のもの(とれたてをすぐに冷凍すると濃い茶褐色になる)
・胴の部分が丸く、ふっくらしている
イカをまるごと購入した場合は、下処理をして保存しましょう。
●イカの下処理方法
スルメイカの場合は、甲(内臓の裏側にある透明な板のような「軟甲」のこと)を外し、足の付け根に切れ目を入れて開き、内臓を外して足を引き、墨袋と内臓を壊さないように抜きます。皮をエンペラ部分から足の方に向けて引っ張りながら剥ぎ取り、薄皮をむきます。