スーパーにずらりと並んでいるお肉の数々。
普段なんとなく感覚でお肉選びをされているのではないでしょうか?
「どれも同じように見えるけど、どれがおいしいんだろう?」
「国産牛と和牛の違いがよくわからない…」
「食の安心安全を自分の目でもしっかり確かめたい」
やっぱりおいしいお肉、食べたいですよね。
牛肉の種類
日本で販売されている牛肉は大きく分けて3種類あります。
- 国産牛
- 和牛
- 輸入牛
海外から輸入された輸入牛はわかりやすいですが…「国産牛」と「和牛」の違い?
国産牛
国産牛とは「和牛以外」の「日本育ち」の牛のこと。
さらに細かくすると、ホルスタインなどの乳用種や、乳用種と和牛をかけあわせた交雑種に分けられます。
とくに乳用種は、乳の出が悪くなり生産性が落ちると食用にされます。肉質はあまりよくないためひき肉などにされることも多いです。
また外国産の肉専用種でも日本での飼育期間が長ければ国産牛となります。
和牛
和牛とは日本在来種をもとに品種改良されてきた肉専用種のこと。
黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種に分けられます。
神戸牛、松阪牛、米沢牛、近江牛など有名なブランド牛のほとんどが黒毛和種で、うつくしくきめが細かな霜降りが最大の特徴。
明治時代から品種改良を重ね、いまや世界に誇る「WAGYU」となりました。
近年では赤身肉のブームもあり、黒毛和種以外の和牛もとても人気となっています。
輸入牛
日本で食べられている牛肉の約6割が輸入牛。なかでも輸入牛のほとんどはオーストラリア産とアメリカ産です。
オーストラリア産は牧草、アメリカ産は穀物主体で育てられ、低脂肪な赤身肉として人気があります。
飼育方法や熟成技術などにより安価で出荷することができ、国産牛や和牛に比べて安く手に入るのが最大の魅力。加工品などにもよく使われています。
スーパーなどでチェックする際には、まずこの3種類のうちどれなのかをみてみましょう。やはり高級牛肉の代名詞である和牛が肉質、味わいともにトップレベル。
長い年月をかけて品種改良を行ってきただけあって間違いないおいしさです。
部位(v)
牛は体が大きい分、部位もたくさん。
大きく分けて赤身部位・霜降り部位とあり、ステーキやすき焼きなどそれぞれの料理に向いた部位にも分けられます。
好みに合わせて選ぶようにしましょう。
食べ応え十分の赤身部位【モモ】
モモは人間と同じ後ろ足の付け根の部分。
うちもも、外もも、しんたまなどに細かく分けられます。
よく動かす部分のため、最大の特徴は脂肪が少ないあっさりとした赤身。お値段も比較的おさえめな部位になります。
薄くスライスしてすき焼きやしゃぶしゃぶなどに向いています◎
色も味わいもしっかり濃厚【肩】
肩は筋が多い部分とやわらかい部分があり、味が濃いので薄くスライスして煮込み料理にオススメ。
ミスジなど希少部位もこの肩に含まれる部位です。
赤身肉の部類でありながらもやわらかくいただけるバランスの良いお肉です。
脂肪とやわらかな食感【肩ロース】
肩ロースは、霜降りと赤身のバランスがちょうどよくやわらかな食感が楽しめる部位。ネック(首)に近いほどかたいため、薄切りにして煮込み料理に。リブロースに近い部分はやわらかいのでステーキなどに向いています。
甘い脂がとけだして、フワッと広がる香りと深いコクを楽しめます。
霜降りが堪能できる【リブロース】
リブロースは、ステーキの代名詞サーロインとともに最上部位とされ、霜降りが堪能できる部位。
肉のきめ細かさが絶妙で、口の中に入れるととろけるようなやわらかさが魅力です。
厚みのあるお肉が取れるのでステーキはもちろん、薄切りにして煮込みにも向いています。
霜降り部位の最高峰!【サーロイン】
サーロインといえば、ステーキ肉として最上級とされる部位。
やわらかさ、とろける脂の甘み、見た目のうつくしさ、どれをとってもトップクラス。霜降り度が高く、口の中であふれ出すジューシーさを味わえます。
やはりステーキ肉に一番あっていますが、すき焼きやしゃぶしゃぶなどにも◎さまざまな楽しみ方ができます。
やわらかい赤身部位の最高峰!【ヒレ】
ヒレは牛肉のなかでも最もやわらかく、一頭からほんのわずかしか取れない希少部位。
赤身肉の最高峰され、なかでもシャトーブリアンは最も人気です。
脂肪や筋が少なく、淡白な味わいや風味が特徴。分厚いステーキでもナイフがスッと入っていくほどのやわらかさです。
噛むほどに味わい深い【ランプ】
ランプは、ヒレについでやわらかい赤身の部位。
ユッケやローストビーフなどにも使われる部位で、旨みがつよく贅沢な味わいがあふれ出します。適度な脂肪もついています。
外ももの内側の部位であるイチボとともにランイチとして呼ばれることもあり、ステーキ肉として人気です。
脂ののったジューシーな味わい【バラ】
バラはアバラ骨周辺のお肉で、「肩バラ」と「トモバラ」に分けられます。
焼き肉の定番・カルビもこの部位。肩バラは適度にサシが入り、トモバラは霜降りになりやすく脂がのっています。
肉厚にカットして、食べ応え十分。ぜひ焼肉で食べていただきたい部位です。
見た目
見た目はやはりデータ以上に重要です。
データ上はいいお肉だったとしても、仕入れや流通の過程で劣化してしまうことは往々にしてあります。
ドリップが出ていないか?
ドリップとは、パックを傾けたときに溜まっている血水のような液体です。
これは長い時間がたち、お肉の旨み成分が流れでてしまっている状態を示しています。とくに解凍した際に出やすく、菌も繁殖しやすいのです。
よくお肉の下に小さいシートが引かれていますが、それはドリップを吸収するもの。一見ドリップが出ていないように見えても、シートが赤く染まっていないか確認しましょう。
色はくすんでいないか?艶はあるか?
理想的な牛肉の色は、少し赤っぽい、深いワインのような色をしているもの。
浅黒くくすんでいたり、パサパサしているものは、新鮮な状態ではありません。
ただし、牛肉同士が重なって黒くなっている部分は問題ありません。空気に触れなかったために黒くなっており、酸化すれば鮮やかな赤色に変わっていきます。
脂肪は乾燥していないか?乳白色をしているか?
脂肪の理想的な色は乳白色。
乾燥していて赤身の部分からはがれかけていたり、だんだん黄色っぽくなっているものは鮮度が落ちているので注意です。
A5がおいしいとは限らない!
肉のランクを表すA5やA4などの格付け。
A5が格付けの最上級ではありますが、一概にA5だからおいしいとは言えないのです。
格付け等級とは大きく分けて2つの評価基準から決定されます。
「歩留等級」(ぶどまりとうきゅう) |
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一つの牛(枝肉)からどれくらいの食用のお肉が取れるかの基準を示したもの。 A、B、Cの3区分に分かれ、取れる肉の割合が多いほど高評価。Aが最も高い。 |
肉質等級(にくしつとうきゅう) |
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お肉の質を4項目で評価したもの。 ①脂肪交雑 ②肉の色沢 ③肉の締まりおよびきめ ④脂肪の色沢と質 の4項目がそれぞれ5段階で評価される。 4項目で付けられた評価のうち最も低い等級に合わせて、その肉の等級が決定される。 |
簡単に言えば格付けの基準は「どれくらいのお肉が取れて、どんな良い見た目をしているか」ということになります。
格付けの最高ランクはA5になり、上質であることの証。
しかしこの基準はおいしさに比例するとは限りません。あくまでもお肉を外側からみたときの基準であるため、サシがあればあるほどおいしいというものでもないのです。
松阪牛(三重)
日本三大和牛の一角をなす、日本が世界に誇るブランド牛。不飽和脂肪酸を多く含み、和牛香やとろけるような食感が特徴で「肉の芸術品」とも称されています。
米沢牛(山形)
日本三大和牛のひとつに数えられることも。東北の寒暖差が大きい環境や日本海のミネラル豊富な水や肥料でじっくり育つため、肉質のやわらかさと甘みのある霜降りが最大の特徴。
神戸ビーフ(兵庫)
日本三大和牛の一角であり、「Kobe Beef」としても世界のWAGYU人気を牽引。人肌でとけるほどのサシがきめ細かく入り、味わい深さとコク、上品な甘みが特徴です。
前沢牛(岩手)
良質な飼料が豊富で、過ごしやすい内陸性の気候のもと育てられます。肉質はやわらかくほんのりとした甘みを持ち、しつこくなくとろける霜降りが最高の品質を生み出します。
宮崎牛(宮崎)
宮崎県は全国2位の黒毛和牛の生産県。なかでも宮崎牛は和牛のオリンピックで内閣総理大臣賞を3大会連続で受賞。数々のレコードを保有し、国内外でも最高の評価を得ています。
佐賀牛(佐賀)
佐賀牛と名乗るには全国でもトップクラスに厳しい条件を設けています。肥沃な大地でストレスをかけない方法で育てられ、やわらかい赤身と風味ただよう霜降りが絶妙です。
近江牛(滋賀)
松阪牛・神戸牛とともに日本三大和牛に数えられ、約400年の歴史があるブランド牛。琵琶湖に代表されるような豊かな自然環境のもと育ち、香り高さとやわらかい食感が特徴です。
飛騨牛(岐阜)
生産者の肥育技術の高さと豊かな自然環境により年間の出荷数が多く、和牛のオリンピックでも数々の賞を受賞。筋繊維が細く、繊細な味わいとほどけるようなやわらかさが魅力。
鹿児島黒牛(鹿児島)
畜産王国でもある鹿児島の、南国らしい豊かな自然環境で育てられます。和牛オリンピックで総合優勝にも輝いた、うつくしい霜降りのまろやかなコクと旨みが特徴です。
山形牛(山形)
オレイン酸の量が多いので脂が甘く、口の中でトロけます。米沢牛と同じ山形県産で、「味の山形牛」とも呼ばれるほど、口どけのよい繊細なサシと極上の甘みが特徴です。