近年注目されているスーパーフード、「モリンガ」をご存じですか?
日本では馴染みのない名前だと思います。それもそのはず、モリンガはインドを中心とした南アジアの地域やアフリカ・南米などが原産で日本では自生していない植物です。“モリンガ”を知っている、という方は世界のトレンドに敏感なのでは?
モリンガはフィリピンやインドでは庭に生えていることも多く日常的な食材の1つ。
最近では日本でも見かける機会が多くなってきましたが、しっかりとモリンガについて知っている方は少ないのではないでしょうか。
- モリンガとは?
- モリンガの種類
- 国際連合も注目のスーパーフード!
- モリンガの原点はインドのアーユルヴェーダ?
- 着々と研究が進むモリンガの機能性
- モリンガの栄養・成分
- モリンガで特に注目したい成分は?
- モリンガパウダーの効果的な飲み方
- スムージーやプロテインなどに混ぜて飲むのも良い
- モリンガ茶の効果的な飲み方
- モリンガに副作用はある?|デメリットと注意点
モリンガとは?
モリンガ(和名:ワサビノキ、学名:Moringa olefera)とは、ワサビノキ科の常緑植物です。原産地はインド北西部のヒマラヤ山脈南麓ですが、現在はオーストラリアやインドネシアなどの温暖な地域で広く栽培されています。
モリンガ
栄養が豊富で、さまざまな健康効果があることで知られています。別名「奇跡の木(ミラクルツリー)」と呼ばれていて、最近ではオーストラリア医師会から食用として推奨されています。
モリンガの種類
ワサビノキ属(Moringa)の植物は13種類が存在し、大きく3つのタイプに分類されます。
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Bottle treeタイプ(4種):水分を貯蔵するために茎が肥大・多肉化している
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Slender treeタイプ(3種):茎に膨らみがなく、硬い繊維質のイモ状根が出現する
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Small tree / Shrubタイプ(6種):肥大した貯水性のイモが形成される
一般的に流通しているものは、食用の「M. olefera(モリンガオレイフェラ)」と、観賞用の「M. stenopetals(モリンガステノペタラ)」です。なお、M. oleferaはSlender treeタイプに、M. stenopetalsはBottle treeタイプに分類されます。
国際連合も注目のスーパーフード!
〝奇跡の木〟モリンガとは?
モリンガは90種類もの栄養素を含む"奇跡の木"と呼ばれる植物ですが、日本では馴染みがなくイメージが湧かない方もいるかもしれません。
しかし、モリンガは国際連合でも栄養価の高さを認められており、飢餓を救う食物として推奨されている植物です。
生命力がとても強いモリンガは1年に4~5mも成長し、実・種・花まで食べることが可能です。インドや東南アジアで栽培が盛んで、様々な料理にも使用されています。
モリンガの栽培が盛んなインドでは民間療法「アーユルヴェーダ」でもモリンガには数多くの効果があるとされており、古くから健康のために人々の生活にも取り入れられています。
また、モリンガは二酸化炭素の吸収能力が高いことから環境面でも注目されています。モリンガは人々の健康にいい影響を与えるだけでなく、地球にも優しい注目のスーパーフードですね。
モリンガの原点はインドのアーユルヴェーダ?
注目を集めているモリンガですが、健康に良い素材であることはモリンガの原産地で前々から認められ、葉をお茶にしたり鞘を食べたりすることをはじめ、種や根までも様々な形で食されてきました。
特に、モリンガの一大生育地域であるインドでは、食材として食べられている他、伝統医学「アーユルヴェーダ」にて300もの薬効があるとされ、“shigru”と呼ばれ紀元前から幅広く利用されています。
葉から調製されたお茶、粉末化した種や根の皮、葉をそのまま等々、治療の目的に合わせて利用され、食だけではなくマッサージ施術の素材としても利用されてきました。
このように伝統的に利用されてきたからこそ、現代で着目されたのでしょう。
着々と研究が進むモリンガの機能性
現在、モリンガで一番注目されているのはその栄養価の高さですが、やはりアーユルヴェーダで300もの薬効があると言われる素材であるだけあり、栄養価にとどまらず更なる機能性を持つと期待され、研究が進められています。
コレステロール低下、視力向上、血圧調整、抗うつ、免疫向上、抗炎症、抗菌、抗加齢、消化の補助、便秘の解消、解毒作用、食欲抑制、血糖コントロール、消化・代謝の促進、抗酸化、認知機能の向上・・・様々な健康に寄与する言葉がモリンガの健康機能研究で聞こえてきます。いずれもアーユルヴェーダの中でも認められた効能が医学的・科学的な分析によって再確認されています。
2018年だけでもNature Scientific Reportにモリンガの機能性に関する研究が3報も掲載されていることからも、その機能性への注目が高まっていることがうかがえます。
中でも「バイタリティー向上(抗疲労、持久力向上など)」についてはモリンガ中の機能性成分を特定した研究結果も出てきており、注目の機能と言えるのではないでしょうか。
これから、様々な機能性が詳細に明らかとなり、“栄養価の高さ”だけではなく“豊富な機能性”でも商品開発にひっぱりだこの素材になるのでは、と期待されます。
モリンガの栄養・成分
モリンガに含まれる主な栄養素や成分は以下の通りです。
- たんぱく質
- 必須アミノ酸
- 食物繊維
- ビタミン類
- ミネラル
- ポリフェノール
- GABA
上記の通り、他の野菜や果物に比べても数多くの種類の成分が豊富に含まれているため、モリンガを摂ることで様々なメリットがあります。
モリンガで特に注目したい成分は?
冒頭でもご紹介した通り、モリンガには様々な栄養素が豊富に含まれているため多くのことが期待できますがその中でも注目してもらいたいのは以下の成分。
モリンガの注目成分
- 2種類の食物繊維
- 豊富なたんぱく質
- 美容サポート成分
- まったりしたい時に:GABA・トリプトファン
- 塩分や脂質を取りがちな時に:カリウム
2種類の食物繊維
モリンガは食物繊維が豊富なことが知られています。実は食物繊維は以下の2種類に分類することが可能です。
不溶性食物繊維 |
・穀類、野菜、豆類などに多く含まれる。 ・胃や腸で水分を吸収し大きく膨らむことで、腸を内部から刺激し排便を促す。 |
水溶性食物繊維 |
・わかめ、山芋、寒天などに多く含まれる。 ・ビフィズス菌などの善玉菌の増加を促す。 |
日々の健康のためには2種類の食物繊維をバランスよく摂取することが大切ですが、普段の食事だけで十分な量を摂ることができている人は少なくなっています。
モリンガのようにどちらの食物繊維も含まれている食材で腸活していきましょう!
豊富なたんぱく質
モリンガはたんぱく質も多く含まれていることが知られています。
なんと!鶏ささみ以上のたんぱく質が含まれていることが分かります!ダイエットなどで食事の栄養バランスが乱れてしまっている方にも良いかもしれませんね。
モリンガパウダーの効果的な飲み方
モリンガの葉を乾燥させて粉砕し、粉末状に加工した「モリンガパウダー」は、緑茶や抹茶のような感覚で飲むことができ、強いクセやニオイは少ないです。1日の摂取目安量は3gです。
「粉末」という特性を活かして、何かに混ぜて飲むのがおすすめです。水やお湯に溶かして飲むことも可能ですが、ミルクに混ぜると美味しく飲めるでしょう。寒い季節は、ホットミルクやラテに溶かしてみてはいかがでしょうか。
スムージーやプロテインなどに混ぜて飲むのも良い
スムージーにモリンガパウダーを混ぜて飲むのも、選択肢のひとつです。筋トレをしている人は、プロテインに混ぜて飲むのもおすすめです。
そのほか、ホットケーキやクッキーの生地に混ぜて焼き上げると、抹茶スイーツのような感覚で栄養を摂取できます。プレーンヨーグルトにモリンガパウダーをふりかけるのも良いでしょう。
モリンガ茶の効果的な飲み方
モリンガパウダーのほかに、「モリンガ茶」も流通しています。ティーバッグタイプになっている製品であれば、手軽に飲むことができます。
モリンガ茶は、比較的飲みやすいお茶です。食事の際に、緑茶やウーロン茶、ほうじ茶の代わりに、モリンガ茶を飲んではいかがでしょうか。
モリンガに副作用はある?|デメリットと注意点
モリンガは世界のさまざまな地域において食材として利用されてきた歴史があり、基本的に安全です。ただし、妊娠中や薬剤を投与されている方は、摂取を控えたほうが良いかもしれません。また、過剰摂取によるリスクもあるのでご注意ください。
妊娠中や妊娠の可能性がある女性は摂取に注意
「妊娠ラットに対して、高用量のモリンガ葉抽出物を経口投与したところ、流産がみられた」という報告があります。
動物実験において高用量を投与した結果ではありますが、妊娠している方や妊娠する可能性がある女性は、モリンガの摂取を控えるほうが良いかもしれません。
過剰摂取により胃腸のトラブルにつながるリスクも
モリンガを過剰に摂取すると、体質によっては「胃痛」「便が緩くなる」「アレルギー」といった症状が出る場合があります。
そのほか、in vitroでの(試験管内における)実験結果ではありますが、薬物代謝酵素である「チトクロームP450 3A(CYP3A)」が阻害される可能性も示唆されています。薬の処方を受けている人は、モリンガを摂取しても良いかどうかを医師に相談するようにしましょう。