「猫背は良くない」と分かっているけれど、猫背が悪化すると、見た目が良くないだけでは済まされません。
肩こりや頭痛、腰痛の他、身体へ様々な不調をもたらす、猫背。
健康上のリスクの中でも重要なのが、前かがみの姿勢が続くことであり、心臓や肺などの内臓に直接的な圧迫がかかるという点です。
この圧迫は血流を妨げるだけでなく内臓にストレスがかかり、内臓が本来の働きをすることができなくなり、食欲不振や便秘、倦怠感などの症状が出現します。
また、このような状態が長年続くと本格的な内臓疾患につながる恐れもあります。
他にも猫背が重症化すると、胸部が狭くなってしまい呼吸困難などの症状を引き起こす胸郭狭窄症になる危険性もあるといえるでしょう。
良い姿勢・悪い姿勢とは?
そもそも良い姿勢とはどういう状態でしょうか。
身体の構造としてみると、背骨を含む骨・関節や筋肉が正常で、神経にも問題なく、最小限の力で姿勢が保持でき、力学的かつ精神的に安定した状態が良い姿勢とされています。
これらが破綻することで、腰痛や背部痛が引き起こされ、日常生活や就労、運動などに問題が生じた状態を「不良姿勢」、いわゆる悪い姿勢といいます。
整形外科や脊椎外科では
立った状態で正面を見たときに、最小限の筋負荷で体幹を保持できる状態を良い姿勢。逆に、立っている状態を保持するために、体幹への負荷が大きくなるようなバランスを欠いた状態を悪い姿勢と判断しています。
例えば
腰が曲がっていても元気で活動的な人がいます。つまり体幹や下半身のバランスが保たれていれば、問題となることは少ないので、姿勢にはバランスが大事だと考えられます。その一方で、曲がった背骨は姿勢が悪い、見た目が美しくないと手術を希望する人もいます。そういう意味で、「不良姿勢」の定義は人によって異なるともいえるでしょう。
そもそも、何故、猫背になるの?
猫背になる原因は、普段の姿勢や身体を支える筋力の低下といわれます。
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スマホを使用する時の前傾姿勢
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パソコンなどデスクワーク時、画面を覗き込むような姿勢
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長時間座っている時の姿勢
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身体を支えるために必要な、お腹や背中の筋力低下
このように、私たちの何気ない日常での姿勢が長く続くと、身体をしっかりと支える筋力が低下します。そのため、頭が前へ傾き、お腹を突き出し、背中を丸めた姿勢になります。
猫背がもたらすデメリット
見た目編
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老けて見える、自信がなさそうに見える
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顔が大きく見える
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顔のしわ、たるみが目立つ
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身体がむくむ
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バストが下がる
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太りやすい
老けて見えたり、自信がなさそうに見える
客観的に猫背の人を見ると、どう思われますか?決して、良い印象ではありませんよね。常に、背中が丸いので、実際の年齢より老けて見えたり、自信が無さそうにも思われます。
肩が内側に入り、胸の筋肉が縮むので、だらしない印象も与えてしまい、マイナスなイメージを抱かれてしまいがち。また、姿勢の良い人と並ぶと、その差は歴然です。
顔が大きく見える、しわやたるみの原因になる
姿勢が崩れると、顔が前へ出ます。遠近法で大きく見えてしまいます。また、首や肩周りの筋肉は硬くなり、顔の筋肉は下の方向への力を受けます。リンパや血液の流れも悪くなるので、しわやたるみの原因にもなります。
フェイスラインのお悩みは、お顔だけに意識がいきますが、実は姿勢の悪化も注意すべき事柄なのです。
身体がむくむ
猫背姿勢は胸が縮まり、肺が小さくなります。気づかぬうちに、呼吸が浅くなっています。新鮮な酸素が取り込めず、血液の流れも悪くなります。また、代謝も落ちるので、むくみやすくなります。
バストが下がる
猫背でバストが下がるのは、肩甲骨が外側へ広がり、大胸筋が低下するためです。また、血行が悪くなりますし、乳腺の衰えにもつながります。
太りやすい
猫背姿勢は身体全体が圧迫され、血流の悪化による代謝低下が起きやすい状況です。また、背中が丸いと、骨盤や内臓の位置がずれ、胃腸の働きも悪化します。
猫背の方は腹筋も弱いので、猫背姿勢がクセになると、腸の働きが妨げられ、便秘になりやすい傾向があります。
身体の不調編
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首や肩が凝りやすい
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関節痛が起きる
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自律神経の乱れ
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呼吸が浅くなる
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消化不良を起こす
こういった不調に心当たりがある方は、その部分に原因があるのではなく、もしかすると猫背が原因という可能性も考えられます。
首や肩が凝りやすい
背中を丸め、重い頭が前方へ傾きます。そのため、首や肩、背中の筋肉が引っ張られ、筋肉疲労を起こします。
首や肩にかかる負担は想像以上で、凝りや重だるさだけではなく、血流の悪化に伴い、頭痛や眼精疲労など、様々な不調が身体にあらわれやすくなります。
関節痛が起きる
猫背と関係がなさそうですが、関節痛にもなりやすく、特に腰回りが硬くなります。腰は骨盤とも関連していますので、股関節や膝の関節などに痛みを感じる方も多く、猫背が影響していることが考えられます。
呼吸が浅くなる
これまでに何度も出てきていますが、猫背は肺を圧迫するので、どうしても呼吸が浅くなります。軽い場合だと、それほど身体に異常を感じるものではありませんが、強い猫背の場合、軽い酸欠状態になる可能性もあります。
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疲労感や倦怠感を感じやすい
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集中力が続かない
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不安感やストレスを感じやすくなる
私たちは特に意識することなく、呼吸を繰り返しています。生命を維持するものであり、生活に欠かせないものです。
「姿勢が悪いな」と思ったら、意識的に深呼吸するのも良いです。
自律神経の乱れ
自律神経の中枢は、首の骨の一番上あたりにあります。姿勢が崩れると、首や肩に負担がかかるので、脳の働きにも影響があります。
自律神経の乱れによる不調は様々あり、眠りが浅い、過呼吸、動悸、息切れ、倦怠感、めまい、ふらつき、月経不順などが起こりやすくなります。
消化不良を起こす
猫背姿勢が悪化すると、内臓が圧迫されやすく、消化器官の機能が低下します。消化が悪くなり、便秘の原因にもつながります。
姿勢矯正をしよう!正しい姿勢がもたらすメリットとは
正しい姿勢は心身ともに良い影響がたくさんもたらします。ここからは、猫背を矯正すると得られる主なメリットを3つ紹介します。正しい姿勢の大切さを理解して、日常生活で姿勢をより意識してみましょう。
疲労を軽減できる
骨や筋肉のバランスがとれている自然な形こそ正しい姿勢といえます。正しい姿勢は体への負担が少なく、凝り固まった筋肉や血流が改善されることで、疲労の軽減にもつながるのです。
血やリンパの流れを良くすることは、疲労を取り除くだけでなく冷え性の改善も期待できます。そして冷え性が改善されると基礎代謝もアップし、痩せやすい体質を作ることができるでしょう。
スタイルアップが叶う
猫背になっていると、お腹がぽっこりと出てしまい見た目も美しくありません。背筋を伸ばした正しい姿勢は、お腹が引き上げられることですっきりと見えるだけでなく、生き生きとした印象を与えるでしょう。
また正しい姿勢を保つことで、お腹や背中の筋肉が鍛えられてキレイなボディラインに近づくことができます。血流の流れが良くなり、むくみの改善も期待できます。
落ち込みにくくなる
正しい姿勢でいることは、落ち込みにくい前向きな精神状態にもつながります。猫背のままうつむきがちでいると、集中力が低下したり、イライラしてしまったり、精神にも悪影響を与えてしまいます。
心と体は密接に結びついているため、正しい姿勢を保っていれば自然と心も元気になるでしょう。