この頃、近くの文字が見づらい、ピントが合いにくくなってきた…、そう感じたら、それは「老眼」の始まりかもしれません。老眼は老化現象のひとつだからと諦めていませんか?
- 老眼の原因は「老化」だけじゃない!?
- 老眼の原因
- 老眼の進行をゆるやかに!この症状がでたら、こまめなケアが必要!
- 老眼は何歳からなる?
- 老眼対策には食事の彩りが重要!?
- 目の健康に必要なその他食事に関するヒント
- 老眼の進行を防ごう!栄養素別おすすめの食べ物
- 老眼対策には、ドライフルーツがおすすめ!
老眼の原因は「老化」だけじゃない!?
老眼の原因は、年齢を重ねることによる老化が一般的。老化と目の関係は密接です。漢方では、成長・発育をコントロールする「腎(じん)」が衰えると老化が進むと考えています。
腎が劣えた結果、目の機能も衰え、視力が減退し、老眼が進むと考えられているのです。
腎は目だけでなく耳や膀胱、骨などとも深く関係していて、「耳が遠くなる」「トイレが近くなる」「骨がもろくなる」などのいわゆる“老化現象”も腎の衰えと密接に関係しています。いわば腎は“老化の要”といったところでしょうか。
しかし、漢方ではそれだけではなく「栄養不足」も老眼を進行させる大きな原因のひとつだと考えられています。
漢方では目の栄養が不足すると、以下のような症状が出やすくなると言われています。
あなたは大丈夫ですか?さっそくチェックしてみましょう。
≪漢方流☆目の栄養不足チェック≫
☑ 目が疲れやすい
☑ 目がかすんでハッキリ見えない
☑ ピントが合いにくい
☑ 目が乾燥しやすい
☑ まぶたが痙攣する
☑ 夜や暗闇で見えにくくなる(夜盲症)
漢方では“肝(かん)は血(けつ)を受けてよく視る”(素問・五臓生成篇)と言われ、カラダの栄養である「血」が目を滋養することで、良く見えると考えられています。
つまり、食生活の乱れや血流の悪化など何らかの原因で目にしっかり栄養が行かなくなると、疲れ目や目のけいれん、ドライアイ、かすみ目や視力の低下、夜盲症(暗闇で視力が著しく低下する)などの症状を引き起こしやすくなり、老眼が加速する大きな原因になるのです。
老眼の原因
老眼の原因は、レンズの役割を担っている目の組織「水晶体」が硬くなることで起こります。水晶体が近くのものや遠くのものにピントを合わせるときに、水晶体の厚さを調節しているのが「毛様体筋(もうようたいきん)」という線維です。
毛様体筋が伸び縮みすることで、水晶体を緩めたり引っ張ったりしてピントをコントロールします。近くのものを見るときに、毛様体筋が緊張状態になり、水晶体が厚くなって、ピントが合うようになるのです。しかし、加齢によって水晶体が硬くなると、毛様体筋が収縮しても水晶体の厚みが変化せず、ピントが合わなくなった結果、手元が見えづらくなります。
加齢以外にも
スマホやパソコンを長時間見続けると、毛様体筋が緊張状態となり凝り固まって、ピント調節ができなくなる「スマホ老眼」があります。加齢による老眼と違って、スマホ老眼は若い年代の方でも発症する可能性があるのです。
老眼の進行をゆるやかに!この症状がでたら、こまめなケアが必要!
老眼は誰にでも起こることですが、目が栄養不足にならないように気をつけることで、その進行をゆるやかにすることはできます。
日々の生活習慣や食生活の乱れがないか、改めてチェックしてみましょう。
また、疲れ目やかすみ目などの症状が出たらそのままにせず、その都度こまめにケアするよう心掛けることも大切です。
老眼は何歳からなる?
ピントの調節力が低下することで引き起こされる老眼ですが、この調節力は20代から低下し始めます。早い方では30代から老眼の症状が現れ、40代で多くの方が症状を自覚し、50代ではほぼ全員が老眼になるといわれているのです。
老眼は加齢によるもの
ただものが見えづらいだけだと放っておくと、緑内障や白内障などの病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
さらに、現代はスマホが手放せない生活になり、スマホ老眼が急増しています。以前より見えづらいなと感じたら、眼科専門医に相談すると良いでしょう。
老眼対策には食事の彩りが重要!?
目をはじめ、カラダの栄養のもととなる「血」はすべて食べたものから作られます。つまり、あなたが毎日食べている食事がそのまま、直接あなたの目の健康に反映されるということです。食べものにはさまざまな役割があります。
例えば
「カラダをつくるもとになるもの(赤色)」、「エネルギーのもとになるもの(黄色)」、そして「カラダの調子を整えるもとになるもの(緑色)」など。このように栄養素の働きから3つの色のグループに分けたものを三色食品群と呼んでいます。
三色食品群
・赤;カラダをつくるもとになるもの…肉、魚、卵、牛乳、乳製品、豆など
・黄;エネルギーのもとになるもの…米、パン、めん類、いも類、油、砂糖など
・緑;カラダの調子を整えるもとになるもの…野菜、果物、きのこ類など
健康なカラダを維持するためには、これらの色の食材をバランスよく食べることが大切です。特にカラダの栄養が不足したときには、血や筋肉など「カラダをつくるもとになる赤の食材」や「カラダの調子を整えるもとになる緑の食材」が多く必要になります。
これらの食材の特徴は“色鮮やか”なこと。エネルギーのもととなる米、パン、めん類、いも類など炭水化物の白色や黄色に比べて、赤色や緑色、オレンジ色、紫色など、実に鮮やかで色とりどりです。
あなたの食卓を思い浮かべてみてください。気がつけばついつい単調な色の食卓になっていませんか?日々の食事を彩りあるものにすることで、自然と栄養バランスのとれた食生活を送ることができます。毎日の積み重ねが肝心です。
目の健康に必要なその他食事に関するヒント
全粒穀物とシリアルを食べる。
パンやシリアルによく含まれている砂糖や精白小麦粉は、加齢に伴う眼疾患のリスクを高める可能性があります。
代わりに、食物繊維が多く含まれている全粒粉100%のパンやシリアルを選ぶと、糖分やでんぷんの消化吸収が遅くなります。
また、食物繊維は満腹感を持続させるので、摂取カロリーを制限しやすくなります。
健康的な脂肪を食べる
魚やアマニ油、クルミ、キャノーラ油に 含まれるオメガ3系必須脂肪酸は、 ドライアイ や白内障の予防に役立ちます。
魚介類を週2回食べるか、アマニ油を毎日摂取するようにしましょう。料理にはキャノーラ油を使い、間食にはクルミを食べましょう。
良質なタンパク質源を選ぶ
含まれる脂肪分や調理方法によって、肉は健康な食材にも不健康な食材にもなることを忘れずに。また、黄斑変性症リスクが高まる可能性のある赤身肉や乳製品の飽和脂肪の摂取は、なるべく制限するようにしてください。
タンパク質には赤身の肉、魚、ナッツ類、豆類、卵を選びましょう。多くの肉類や魚介類は亜鉛の優れた供給源でもあります。卵にはルテインがたくさん含まれています。
ナトリウムを避ける
ナトリウム摂取量が多いと、白内障のリスクが高まります。塩分を控え、缶詰やパッケージ食品のラベルに記載されているナトリウム含有量を確認してください。
ナトリウムの摂取量は、1日2,000 mg未満に抑えましょう。可能な限り、生鮮食品や冷凍食品を選択するようにしてください。
水分を補給する
スキムミルクや脂肪分1%ミルクなどの低脂肪乳製品からカルシウムを摂取し、100%野菜ジュースやフルーツジュース、カフェインを含まないハーブティー、水などの健康飲料を飲むことで、健康的な食事は完璧です。
適切な水分補給により、ドライアイによる刺激も軽減されます。
老眼の進行を防ごう!栄養素別おすすめの食べ物
老眼にならないためには、どのような食べ物を積極的に摂れば良いのでしょうか。ここでは、老眼の進行を防ぐおすすめの食べ物を、栄養素別にご紹介します。
アントシアニン
アントシアニンが豊富に含まれる食べ物には、ブルーベリーやぶどう、カシス、なす、紫いも、ごまなどがあります。アントシアニンを含む食べ物は、紫や赤、青色をしているのが特徴です。体内で生成することができないため、食べ物やサプリメントから摂取しましょう。アントシアニンには血流促進によって毛様体筋の緊張をほぐす働きがあるため、疲れ目などの症状に効果が期待できます。
ルテイン
ルテインは、ほうれん草やレタス、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。目の中の水晶体やその奥の黄斑にもとから存在する成分で、目を守る働きがあります。ルテインには紫外線やブルーライトなどを吸収する性質があるため、有害な光線から目を保護するサングラスのような役割を担っています。
そのため、紫外線による老眼のリスクを抑える効果も期待できます。ルテインの量は加齢とともに減少していくので、積極的に緑黄色野菜を摂取しましょう。
ビタミンA
ビタミンAは、うなぎやレバー(牛肉・豚・鶏)、にんじん、かぼちゃ、しそ、パセリなどに含まれます。毛様体筋の弾力を回復させ、かすみ目や疲れ目の改善に役立ち、涙の生成にも欠かせない成分です。
また、抗菌化作用で目の細胞や粘膜の新陳代謝の保護も期待できます。ビタミンAは不足すると、暗い場所で見えにくくなる「とり目」という欠乏症の原因になりますが、逆に過剰摂取すると、肝障害といった副作用を起こす可能性があるため、バランス良く摂取しましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は、豚肉やサバ、大豆、えんどう豆、レンコン、グリーンピース、ピーナッツなど、さまざまな食べ物に含まれています。糖質からのエネルギー産生、皮膚や粘膜の健康維持を支える働きがあります。また、視神経のはたらきも高めてくれるので、視力低下の予防や、目の周りの筋肉を和らげることで疲れ目予防も期待できる栄養素です。
ビタミンB2
ビタミンB2は、納豆やレバー、牛乳、ヨーグルト、卵、レバー、うなぎなどに含まれています。粘膜や皮ふの健康維持をサポートし、脂質・糖質・たんぱく質をエネルギーに変換する重要な役割を持っているビタミンです。
ビタミンB2には、網膜の働きを助けるため、疲れ目や充血の回復、目の細胞の再生、視神経の働きの促進など、目の機能の改善が期待できます。
ビタミンC
ビタミンCは、芽キャベツや赤ピーマン、小松菜、アセロラ、レモン、キウイ、オレンジ、いちごなど野菜や果物に多く含まれます。眼球の硝子体はコラーゲンでできていますが、ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠な成分です。また、抗酸化作用もあり、水晶体の酸化防止、目の粘膜や水晶体の保護にも働きかけます。他にも目の充血や、疲れ目の防止にも効果があるといわれている成分です。
ビタミンE
ビタミンEは、かぼちゃやアーモンド、うなぎ、カレイ、サーモン、ほうれん草、植物オイルなどに含まれています。抗酸化作用によって体内の脂質の酸化を防ぎ、細胞膜の酸化による老化予防や、血行促進効果によって目の老化予防にも期待できるのです。そのため、ドライアイや疲れ目、老眼の予防が期待できるでしょう。
コンドロイチン
コンドロイチンは、納豆やオクラ、山芋、うなぎ、フカヒレ、すっぽんに含まれ、さまざまな部位で潤滑油のような働きを持つ栄養素です。コラーゲン繊維と結合することで、角膜の透明性を保つ働きがあります。
そのため、老眼の回復や白内障の予防などが期待できます。他にも、肌がみずみずしく弾力を保ったり、関節に円滑性を与えて靭帯や腱の弾性を維持したり、血管の老化を防止したりと、さまざまなはたらきがあるのが特徴です。
DHA
DHAはマグロやブリ、イワシ、アジ、サンマ、サバ、うなぎなどの青魚に多く含まれる栄養素です。DHAには、網膜の代謝を活発化し、視神経の動きを活性化して情報伝達の動きをスムーズにしてくれる働きがあります。
そのため、網膜細胞を正常に保ち、視機能の改善を促してくれるのです。DHAは網膜を構成するうえで重要な栄養素で、不足すると疲れ目の原因となるので食事で積極的に青魚を摂取したり、サプリメントを活用したりすると良いでしょう。
老眼対策には、ドライフルーツがおすすめ!
漢方では“赤い食材は「血」を補い、黒い食材は「腎」を補う”と言われています。そのため、薬膳では老眼には赤黒い食材がよく使われます。
赤黒食材の中でも手軽に始められるのがドライフルーツです。ドライフルーツは赤黒食材の宝庫。目の果物として有名なブルーベリーをはじめ、レーズンやプルーン、クランベリー、ラズベリー、デーツ、カシスなど赤黒色のものがたくさんあります。
ビタミンも豊富で、天然のやさしい甘味がカラダや神経の疲れを癒してくれるすぐれもの。おやつ代わりにドライフルーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。
クコの実
杏仁豆腐の上にちょこんと置かれた赤い実。あの正体が「クコの実」です。
クコの実は中国で古くから“不老長寿の効があるたべもの”と言われ、漢方薬としてだけでなく薬膳料理や薬酒などで幅広く使われてきました。
漢方では“血を補い目を明らかにする”と言われ、昔から目の疲れや視力の低下などに用いられています。ビタミンも豊富で、天然のサプリメントとして、多くの女性に親しまれています。
竜眼肉(りゅうがんにく)
中国南部や台湾、インドなどで多く栽培されているリュウガンという木の実です。
中国では有名なドライフルーツのひとつで、とても栄養価が高く、滋養食品としても注目されています。
漢方では竜眼肉は血を補う働きがあると言われていて、栄養不足のときだけでなく、疲れたときや不眠のときなど、幅広く用いられています。