紙や竹、そして微生物が分解できるようなバイオポリマー製に素材が変わってきているストロー。
ストローは近年、プラスチックごみが引き起こす海洋汚染が問題になっています。プラスチックごみは海へと流れ込むと細かくなり、“マイクロプラスチック”と呼ばれる粒子に。これが分解されるまでに数十年から、場合によっては千年以上かかる。当然、その間に魚や亀など海に棲む生物に悪影響を与えます。
こうした環境破壊を受けて国際機関も動き出し、EUでは使い捨てのプラスチック製品を禁止する法案を採択させています。洋菓子メーカーの中には、食べられるストローを開発したところも。時代の流れで素材が変わりながらも、人類が水分補給する際のお供としてストローは欠かせません。
- ストローの歴史
- ストローの語源は
- 誕生から普及までの時代
- プラスチックストローの登場による衰退期
- 環境問題への意識の高まりによる再注目期
- 紙ストローの進化と未来
- そもそも麦からプラスチックになった原因は何?
ストローの歴史
冷たい飲み物を頂く時に使われる方も多いのでは・・・?
今週は『ストロー』についてです。
ビールを飲むため!?
ストローは一体、いつ頃からあったのでしょうか?
歴史はとても古くて、紀元前の4000年から3000年の頃、古代メソポタミア文明のシュメール人によって、ビールの作り方が陶板に描かれているそうです。
ビールの底や表面に残った不純物をよけるため
ところが当時はまだ、ろ過する技術がなかったのでビールの底や表面に不純物が残りました。
そのまま飲んでしまうと、それらがクチに入って来てしまいますよネ。
そこで不純物をよけて、ビールの澄んだ部分だけを飲むのにはどうしたらイイのだろう・・と考えました。
ストローに最適だったアシの茎
その結果、最適なアイテムとして、イネ科の植物の『葦(アシ)』の茎の部分が、ストローとして使われていたと言われています。
葦の茎の中は空洞になっているので、ストローとして使うのにピッタリだったんですネ。
ストローの語源は
英語の『ストロー(straw)』は『麦わら』の意味
そんなストローですが、ペルシャ語では『ネイ』と言います。
『ネイ』とは、この『葦』の意味です。
それに対して、英語の『ストロー(straw)』は『麦わら』の意味です。
これはのちに、ストローに麦わらが使われるようになったことから、そのように呼ばれるようになったそうです。
余談ですが、『ストローハット(strawhat)』は『麦わら帽子』のことです。
現在はポリプロピレン製
このように『葦』から始まって、『麦わら』へと移っていったストローですが、現在は『ポリプロピレン』という樹脂が使われています。
それでも“麦わらをイメージした形”は変わっていないことから、現在でも『ストロー』という名前で呼ばれています。
誕生から普及までの時代
1800年代後半のアメリカで、初めて紙ストローが歴史の表舞台に登場しました。しかし、紙ストローが登場した初期は、一つ一つ手作業で作られておりコストも高かったため、一般家庭で広く使われるまでには時間がかかりました。ようやく普及するようになったのは、製造機械が開発されて大量生産できるようになった1900年代に入ってからです。
プラスチックストローの登場による衰退期
1900年代後半になると、プラスチックストローが開発されました。プラスチックストローは、軽くて丈夫で、コストも安くなることから、紙ストローの需要は減少し始めます。一方のプラスチックストローは、そのコストの安さと利便性から瞬く間に世界に広がりました。
この流れはマイクロプラスチックなどの環境問題が出る2000年代まで続きました。
環境問題への意識の高まりによる再注目期
近年では、プラスチックごみによる環境問題が深刻化していることから、紙ストローが再び注目されるようになりました。
マクドナルドやスターバックスなどの有名企業から、国や自治体もプラスチックストローの販売や提供の禁止を打ち出したことで、プラスチックストロー廃止の流れが急速に広がりました。プラストローの代替品として、竹やステンレス、ガラス、シリコンなどさまざまな素材のストローが登場しましたが、その中でも紙ストローはコストも安く採用する個人や企業で普及が進みました。
紙ストローの進化と未来
元々はストレートの紙ストローしかありませんでしたが、さまざまな現場のニーズから、伸縮タイプや曲がるタイプなど、利便性を高める機能が付いた紙ストローが開発されてきました。
プラスチックストローに比べて、耐久性やコストの面でまだ課題が残りますので、今後はこれらの課題を解決し、環境負荷を低減しながら、より使いやすい紙ストローの開発が進められ、今後もますます普及していくことが期待されています。
そもそも麦からプラスチックになった原因は何?
そもそも、麦ストローでよかったならなんでプラスチックになったの?と思いませんか。
調べてみたところ、沈殿物や浮遊物の多い自然酵母を発酵させたビールを飲むとき、澄んだ液体を飲むためにススキや麦などのイネ科の植物が使われ始めたそうです。
以前は米が主流の地域、例えば日本でもコメの二毛作の裏作として麦を育てていて、それでストロー生産をしていた背景もあるみたいですが、現在ではほぼ海外の一定の企業しか麦を生産しなくなったため、麦で作られるストローより、プラスチックで作ったほうが定期的に安価で生産できるという点で、もてはやされ始めたようです。
プラスチックストローについては、1954年にイタリアのジュリオ・ナッタ氏が発明し、1957年よりモンテ カチーニ社により本格的に生産開始されたとのこと。