大麦がさまざまな栄養的な効果によって世界的に注目を集めているのを知っていますか。
「麦とろ丼くらいでしか食べたことがない」、「大麦をどうやって食べたらよいかわからない」、という人必見! 麦ごはんのもつパワーについてお伝えします。
麦ご飯の歴史
奈良時代には、大麦は広く栽培されるようになり、平安時代にはお米と混ぜて食べてられるようになったそうで、麦ごはんの始まりと言えます。
日本では近現代になるまで、都市部以外では米だけの飯は神への捧げ物的な位置づけであり、祝祭時のみ炊かれるものだったようです。
戦国の時代に75才という長寿の徳川家康は若い頃から健康に留意し、麦ごはんにこだわっていたという話は、有名でしょうか。
また、日露戦争では、脚気によって死亡する兵士が多く出たそうです。原因が栄養障害によるものだと分かり、麦ごはんを食事に取り入れたことで兵士の健康が保たれたとの話があるそうです。
秘密は「β-グルカン」? 麦ごはんの魅力とは
白米の16倍以上、玄米の約2.5倍もの食物繊維を含む大麦。縄文時代から弥生時代に日本に伝わり、平安時代にはお米に混ぜて、現代でいう「麦ごはん」として食されるようになったともいわれています。
大麦は、稲、小麦、とうもろこしと同じイネ科の植物です。
大麦は!
でんぷんが豊富なため、炊飯調理のみで食べられる麦ごはん、でんぷんを糖化して作られるビールなどの酒類や麦味噌などに利用されることが多くなっています。
麦ごはんがもつ栄養的な魅力の中で筆頭に挙げられるのが「β-グルカン」です。
β-グルカンは!
主に大麦に含まれている水溶性食物繊維で、世界各国において、冠状動脈疾患や糖尿病といった生活習慣病予防関連の研究結果が多く報告されています。
β-グルカンを基準量以上含む食品に対して、米国では「冠状動脈心疾患のリスク低減」、カナダでは「血中コレステロール値の低下」、EUでは「血糖値上昇抑制」や「排便促進効果」といった健康強調表示が認められています。
日本国内では!
主に「血中コレステロール正常化」「食後血糖値の上昇抑制」「満腹感の維持」などの効果が期待され、機能性表示食品制度(2015年)に基づき、β-グルカンの機能性を表示した大麦食品が販売されるようになりました。
また、大麦に含まれているβ-グルカンは膨潤して強いねばり(粘性)を生じます。このねばりには、でんぷんを包み込んででんぷんの消化をおさえ、糖の吸収をおだやかにする作用があるといわれています。
麦ご飯の特徴
また、余分な糖分を体外に連れ出すと見られています。麦ごはんに使われる原料の麦は大麦で、外皮を剥いたものを食します。
大麦を食べやすく加工したものを精麦といい、加工方法の違いから主に、押麦、ビタバァレー、米粒麦(切り麦)、丸麦に分類されます。まず、押麦は外皮を剥いてから、水と熱を加えて2つのローラーで押します。麦とろ屋さんでよく扱って頂いているのがこの押麦です。
ビタバァレーは
脚気を予防するために開発された商品です。また、ビタバァレーのビタはビタミンのこと、バァレーは大麦の英名そのままです。米粒麦は、大麦の黒条から縦に半分に切り、米粒状に剥いた商品です。
押したものは、水洗いの時に浮きやすいのですが、この米粒麦は、お米とよく混ざり洗い易くなっています。
丸麦は
また、欧米では丸麦をスープやサラダ具材として使っているそうです。
ダイエットにはもち麦? 押し麦? 大麦の種類
大麦製品にはいくつかの種類があり、それぞれの良さがあります。目的に合ったものを選びましょう。
そもそも大麦は、外皮のはずれやすさによって「皮性とはだか性」に分類され、穂につく実の列数の違いで「二条と六条」にそれぞれ分けられます。皮性の二条大麦はビールや焼酎に加工されますが、皮性の六条大麦、はだか性の六条大麦、はだか性の二条大麦は、麦ごはんなどに利用されます。
もち麦
大麦には、でんぷんを構成するアミロペクチンの割合によって、「うるち性ともち性」の品種があります。
でんぷんを構成しているアミロペクチンが100%かアミロース10%未満の大麦はもち性に分類され、いわゆる「もち麦」とよばれます。
もち麦はうるち性大麦よりも食物繊維量が多くなる傾向があり、一般的なもち麦には、うるち性大麦の約1.5倍の「β-グルカン」が含まれます。
押し麦
「押し麦」は、基本的にはうるち性の大麦から作られ、外皮をのぞいた大麦を蒸してからローラーで平らに加工されたものです。最後に平たくすることで吸水性が高くなり、調理でやわらかくなりやすいため、食べやすく消化吸収が良いという特徴があります。
プチっとした食感をしており、もち麦のモチモチ食感が苦手な人にもおすすめ。押し麦はもち麦に比べて安価であることも、毎日のお食事に取り入れやすい点です。
押し麦にビタミンB1・B2を添加した「ビタバァレー」や、胚芽を残した状態の押し麦である「胚芽押麦」などもあります。
胚芽押麦は通常の押し麦よりも不飽和脂肪酸やビタミンEを多く含んでおり、栄養価が高くなっています。
もち麦は押し麦と比べて食物繊維が多く含まれるため、ダイエットの面ではもち麦がおすすめです。
丸麦、米粒麦
その他、「丸麦」は大麦の外皮やぬかを削り取ったままのもので、大麦の風味を味わいたい場合に。
「米粒麦」は大麦の中央の黒い線(黒条)から縦に半分に切り米粒状にした製品で、お米とよく混ざりやすくなっています。
大麦はどうやって食べる? 白米と混ぜて炊く方法がおすすめ!
大麦は水洗いの必要がなく、無洗米や玄米に混ぜても使うことができます。
お米1合に対して大麦25gから始め、慣れてくれば徐々に大麦の割合を増やしていくと無理なく続けることができるといいます。
炊くときの水の量は
白米だけを炊くときの規定量に、加える大麦の2倍の重さの水をプラスするのが基本。お好みに合わせてお米に対する大麦の割合を変えるときでも、加える水の量は大麦の重さの2倍量となります。
炊飯器で炊くなら
通常モードでOK。硬さが気になる場合は吸水時間を長めにとるようにしましょう。ちなみに、大麦は白米に比べて炊いたときの量が多くなる傾向があります。
麦ごはんのほかに、たっぷりのお湯で弱火~中火で15~20分茹でて、スープの具やサラダのトッピングにするのもおすすめですよ。
大麦のもつβ-グルカンの力によって、世界的にも大麦はダイエットに最適な主食であると認知されているだけでなく、腸内環境を良好に整えることで、生活習慣病の予防にも効果が期待されています。
大麦は
意外と簡単に食事に取り入れることができるので、いろいろな種類の中から一番自分に合ったものを選び、スープやサラダなどから少しずつ始めてみてくださいね。