見た目がよく似ている「ししとう」と「唐辛子」は同じナス科トウガラシ属の野菜ですが、その中でも辛みのある品種が唐辛子、辛みがない品種をししとうと呼びます。
ししとうは元々中南米が原産であり15世紀に南米からヨーロッパへ伝わり、その後世界中に伝わったと言われています。
16世紀にはヨーロッパで辛味が少ない甘味種が誕生したと言われており、明治時代に日本へも伝わりましたが一般的に広まったのは第二次世界大戦後のようです。
また唐辛子も同じく中南米が原産であり、その歴史もほとんど同じだと言われています。
- ししとうの魅力
- ししとうの選び方
- 品種
- 保存方法
- ししとうの栄養&期待できる美容効果
- ししとうの栄養と効能
- ししとうと豚肉の炒めもの
- ししとうはダイエットにいいって本当?
- カプサイシンを含んでいるのか
- 生ししとうの甘味噌添え
- 調理方法のポイント
- 食べ過ぎるとどうなる?
ししとうの魅力
ししとうは年間を通して流通していますが、比較的に多く出回るのは6月〜8月頃。ししとうには疲労回復に効果があるビタミンCや、感染症を予防する働きがあるBカロテンを豊富に含んでおり、夏バテ対策にもなる野菜です。
ししとうは生で食べることができますが、炒め物や煮物など様々なレシピで美味しくいただけます。また、火の通りが早いので、フライパンでサッと炒めるだけで手早くおかずの一品が作れるのも魅力の一つです。火を加えるとほんのりと甘みが増し、調理方法によって違った味わい方が楽しめます。
基本的に辛味が少ないししとうですが、育つ環境によってはすごく辛い物もあります。辛味が強い物の多くは小ぶりで中の種が少ないことが多いようです。
ししとうの選び方
美味しいししとうを見分けるポイントとしては、ハリとツヤがあり綺麗な緑色をしているものを選びましょう。触った時に固く感じるものや黒っぽく変色しているものは鮮度が落ちている可能性があります。
鮮度が高いものは触った時にしっかりと果肉にハリと弾力があるので是非参考にしてみてください。
旬の時期が最も美味しいとされていますが、ししとうは通年手に入れることができるので常備野菜としても活躍できます。
品種
唐辛子は、「辛味種」と辛みのない「甘味種」に分類されます。しし唐は植物学的にはピーマンと同種の甘味種になります。普段、食べているしし唐は熟す前に収穫されたもので、成熟すると赤くなりますが、辛みが出るわけではありません。しかし極まれに、非常に辛いものが紛れていることもあります。これは、乾燥など強いストレスの中で育つなど、環境に応じて辛み成分ができたものです。見た目での判断は難しいですが、形がいびつなものや小ぶりなもの、中に種が少ないものは辛みが強いことがあります。
ししとう
見た目は青唐辛子のようですが辛味は少なく、特有の香りとほのかに苦味があります。
炒め物や天ぷら、素揚げなどにするのが一般的な食べ方です。
伏見甘長ししとう
江戸時代から京都の伏見地区で栽培されきた甘み種で、通常のしし唐に比べて大きく、細長いのが特徴。京野菜の一つとして扱われています。独特な風味と甘さを持っています。
万願寺ししとう
京都府舞鶴市万願寺地区で栽培されていたことからこの名前がつきました。京野菜の1つとしても人気の野菜です。伏見甘長しし唐に比べると、ふっくらとしていて、炒め物や揚げ物、肉詰めなどに向いています。
保存方法
乾燥しないようにポリ袋に入れて密封し、10℃くらいの冷暗所で保存します。夏場は冷蔵庫の野菜室に入れたほうがよいでしょう。しかしどちらにしても早めに使い切ることが大切です。
ししとうの栄養&期待できる美容効果
βカロテン&ビタミンCで美肌に!
ししとうは緑黄色野菜の1種で、βカロテンを豊富に含んでいます。
βカロテンは体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を守ってくれる重要な栄養素です。
また、シミや老化を予防するビタミンCも豊富に含まれていますから、美肌を保ちたい女性に最適です。
ビタミンB6がイライラや皮膚炎を防ぐ
ししとうに含まれているビタミンB6は、セロトニンやギャバなどの神経伝達物質の生成に関わっています。
ビタミンB6が不足すると気持ちが不安定になってイライラしやすくなるので、ししとうから積極的に補給しましょう。
また、ビタミンB6は皮膚炎を予防することで発見された栄養素ですから、肌の健康維持にも役立ちます。
カリウムがむくみを予防
ししとうには塩分や水分の排出を助けるカリウムが豊富に含まれているため、むくみ予防に効果的です。
塩分や水分を多く摂りがちなお酒の席にもプラスしてみましょう。
ししとうの栄養と効能
ししとうは小さいながらも栄養素がたくさん含まれています。早速ししとうに含まれる栄養素をみていきましょう。
高血圧予防に大切な「カリウム」
カリウムは体内にたまった塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。日本人の塩分摂取量は年々減ってはきていますが、依然として多い状態です。
塩分摂取量が多いことは高血圧と直接的につながります。そのため、余分な塩分の排出を促すカリウムは高血圧予防にとても重要な役割があるといえます。
免疫力を高めるための「β‐カロテン」
β‐カロテンは体の中でビタミンAに変換される栄養素です。ビタミンAは皮膚や粘膜を正常に保ち免疫を活発にしています。皮膚や粘膜が健康であると、外敵や異物の侵入を防ぎます。
そのためビタミンAのもとであるβ‐カロテンとしての摂取も大切です。また、余ったβ‐カロテンは体に蓄積され、体の老化を防いでいます。
皮膚や髪を健康に保つ「ビタミンB6」
ししとうに含まれるビタミンB6の量は0.39mg。これは生の野菜の中でトップ10に入るほど多い含有量です。
またビタミンB6はさまざまな代謝を担っており、その中でも特にたんぱく質の代謝で重要な役割をはたしています。ちなみにたんぱく質は、私たちの肌や髪の毛を作っている成分です。
ビタミンB6を摂取することで、たんぱく質の分解や再生が促されて肌や髪の毛を健康な状態に維持することができます。その他にも神経伝達も担っているため、精神症状との関わりもあります。
老化を防ぐ「ビタミンC」
ビタミンCといえば抗酸化作用です。抗酸化作用とは、細胞が傷んで古くなってしまうのを食い止める作用のことです。
また、お肌の弾力を保つコラーゲンの生成にも欠かせない栄養素ですので、内面からアンチエイジングが期待できる栄養素です。
血行を促進する「ビタミンE」
ビタミンEは毛細血管を広げ、血流を促進することで体のすみずみまで栄養素を運ぶのに大切な栄養素です。血流を促進することで、肌の新陳代謝を活発にしたり、疲労物質を取り除く役割があります。
ししとうと豚肉の炒めもの
ししとうに含まれるβカロテンは、油と一緒にとると吸収率が高まります。
ビタミンB群が豊富に含まれる豚肉と一緒に炒めて、美肌効果をアップしましょう。
おかずにもおつまみにもなるので、幅広い年代の方におすすめです。
【おすすめレシピ】
① ししとう(10本)が爆発しないように、切り込みを入れる。
② 豚こま肉(200g)を一口大に切り、片栗粉(適量)を表面にまぶす。
③ しょうゆ(大さじ2)、みりん(大さじ2)、酒(大さじ1)、砂糖(小さじ1)を混ぜ合わせておく。
④ フライパンにごま油(適量)を熱して、ししとうを軽く炒める。
⑤ ししとうを取り出し、豚肉を炒める。
⑥ 再びししとうをフライパンに戻し、③の調味料を加える。
⑦ タレが全体に絡んだらできあがり。
ししとうはダイエットにいいって本当?
ししとうは唐辛子の仲間ですが、同じようなダイエット効果はないと考えられます。
とはいえ、ししとうはカロリー・糖質ともに低く、栄養素が豊富です。ダイエット中の栄養補給にピッタリの野菜といえるので、積極的に取り入れましょう。
カプサイシンを含んでいるのか
ししとうにはカプサイシンがあまり含まれません。
ししとうは唐辛子の中でも「甘唐辛子」という品種です。品種改良により、辛み成分でありダイエット効果が期待されているカプサイシンを、ほとんど無くすように作られています。
カプサイシンをほとんど含まないため、ししとうは辛くありません。稀にとても辛いししとうがありますが、それはししとうを育てる成育環境によって作り出されたものです。
生ししとうの甘味噌添え
ししとうは生で食べることもできます。加熱せずに食べれば、熱に弱いビタミンCを効率よく摂ることができますよ。
ただし、家庭菜園で作ったししとうには辛味が強いものが含まれていることもあるので要注意。
管理された市販のものなら心配ありませんが、自然な状態で育てると約10%は、カプサイシンの合成が進んで辛くなるといわれています。
生で食べると辛味をより強く感じるので、家庭で育てたししとうを使うときは少しずつ確認しながら食べるといいかもしれませんね。
【おすすめレシピ】
① フライパンに味噌(大さじ3)、砂糖(大さじ4)、醤油(小さじ1)を入れ、混ぜながら加熱する。
② 水分が飛んで固まってきたら、生のししとうに添えてできあがり。
ししとうを甘味噌につけながら食べましょう。
調理方法のポイント
くり返しになりますが、ししとうは丸ごと食べることができます。その際、ししとうの上部の「がく」と言われる部分は取り外しましょう。
また、丸ごと加熱調理をする際には破裂を防ぐために穴をあけるか、切り込みを入れると安全に調理ができます。
なお、ビタミンCは加熱調理に1番弱い栄養素といわれています。そのため、加熱調理をする場合はなるべく高温・短時間で済ませるのがおススメです。脂溶性ビタミンであるβ‐カロテンは油と一緒に食べることで吸収が良くなりますので、炒め物や揚げ物も良いですよ。
食べ過ぎるとどうなる?
ししとうをたくさん食べることで栄養素の過剰症となる心配はありません。
しかし、ししとうは食物繊維など人間のお腹では消化ができないものも、多く含まれています。そのため、過剰に摂りすぎた場合は便秘や下痢といった症状を引き起こしてしまう可能性があります。
厚生労働省では野菜の摂取目標量を1日350gとしていますので、野菜の組み合わせのうちの一つとしてししとうを食べるとよいでしょう。