れんこんは、美しい花を咲かせる蓮の地下茎(ちかけい・地中に埋もれた茎のこと)が肥大化したもの。
穴があいた姿から、「先が見通せる」縁起物として、おせち料理に欠かせない食材です。
根菜の中ではビタミンCが豊富で、胃の粘膜を保護する粘り気があります。
調理法によってさまざまな食感を楽しめるので、上手に食事に取り入れたいですね。
旬
9~12月頃が旬です。
栄養
根菜の中では、シミや肌荒れの防止に役立つビタミンCが多く含まれています。
ビタミンCは熱に弱いのですが、れんこんの場合はデンプン質によってビタミンCが守られているため、壊れにくく摂取しやすいのです。
また、独特の粘り気には胃の粘膜をサポートする働きがあります。
皮にはポリフェノールが含まれているので、皮をきんぴらにするなど無駄なくいただきましょう。
色の薄い淡色野菜なので、ビタミンを豊富に含む緑黄色野菜と組み合わせると、よりバランスのよい食事になります。
選び方
表面にツヤがあり、傷がついていないもの、かたちはずんぐりと丸く、寸胴型のものを選びましょう。
カットされているものは穴の内側が白いものを。
穴の中が黒ずんでいるものは、古くなっている証拠です。
■ 豆知識 ■
れんこんは切る向きによって食感が変化します。
繊維に沿って切れば、シャキシャキとした歯ごたえが楽しめ、繊維を断ち切るように切れば、ホクホクとやわらかな食感になります。
すりおろせば、料理のとろみづけや、ハンバーグのつなぎにも。
切った後に酢水に浸けると変色を防げますが、加熱してもデンプンが糊化しづらくなり、ホクホクとした食感にならないので注意が必要です。
また水にさらすことでビタミンCやポリフェノールが抜けてしまうため、切ったらなるべくすぐに調理することで変色を防ぎましょう。
保存方法
常温:△
冷蔵:○
冷凍:○
一節丸ごとのものは、カットされたものより長持ちします。新聞紙で包んで冷暗所または冷蔵庫で保存してください。カットされたものは、切り口が空気に触れないようラップをして冷蔵庫へ。冷凍の場合は、食べやすい大きさに切ってから軽く茹でて保存用袋に入れて保存します。
皮
色むらや傷がないものを選びます。泥つきもよしです。以前は漂白された白いれんこんが出回っていましたが、黄色または褐色がかった色が本来です。あまり濃い茶色の場合は鮮度が落ちていることも。
太さ
一般的な品種の場合は、ふっくらと厚みがあるもを。色白で細身のものは味がよくありません。
穴
穴の数は通常、中央にひとつ、周りに8〜10個ぐらいあり、穴の大きさが均一なものの方が良品です。穴は、れんこんが育つ上で大切な通気孔の役割をしています。古くなると穴の中が黒ずんでくるので避けて。
切り口
切り口が黒いのはタンニンの作用。収穫してから時間が経ってしまっています。
保存&下ごしらえのコツ
乾燥をさせないように要注意
もともと水中に生えていたものですから、乾燥は大敵です。濡らしたキッチンペーパーや新聞紙でくるみ、冷蔵庫の野菜室または冷暗所に保存します。ラップなどでくるむと呼吸ができなくなるので、通気性のあるもので包みましょう。
穴の中の泥はどうする?
穴の中をのぞくと、泥がついていることも少なくありません。菜箸にティッシュを巻きつけるなどして、穴の奥まで差し込み、泥を洗い流しましょう。
火入れの仕方で食感が変わる
高温の湯にサッと湯通しするとシャキシャキした食感になり、70℃ぐらいの弱火にじっくりかけるともっちりとした食感で甘味がでます。煮すぎると粘りが出過ぎておいしさも半減してしまうので、気を付けましょう。
アクを取るなら酢水に漬けて
れんこんは、アクがすぐにまわる食材です。白くきれいにゆで上げたい場合などは、切ったらすぐに酢水に漬けるようにしましょう。
れんこん
旬:11月〜3月 / 主な生産地:茨城県、徳島県
日本に古くからあった在来種と明治時代以降に導入された中国種とに大別されますが、現在市場に出回っているほとんどが中国種です。地下茎が浅く、ふっくらと太いので掘り出しやすく、病気に強いので、在来種にかわって主流になりました。中国種は、ふっくらとしていて在来種に比べると粘り気が少なく、シャキッとした食感で肉厚なのが特徴です。備中(びっちゅう)、支那(しな)などの品種があります。
新れんこん
旬:5月〜6月
ハウス・トンネル栽培で早期収獲し、梅雨すぎから出回るものは「新れんこん」と呼ばれています。細く色白で、柔らかく歯ざわりもよいので珍重されます。日持ちがしないので、購入したら出来るだけ早めに調理することが必要です。サラダや炒め物にむいています。
岩国れんこん
旬:10月〜2月 / 主な生産地:山口県
もっちりとした粘りとシャキシャキ感が特徴。8月〜4月まで収穫できます。「糸を引くような粘り、煮込むとホクホク、すりおろしてモチモチ」とした食感が特徴です。輪切りにするとシャッキリと、縦切りにするとモチモチ感が楽しめ、幅広い料理に向きます。
加賀れんこん
旬:8月下旬〜5月中旬 / 主な生産地:石川県
石川県金沢市の伝統野菜。デンプン質が多く肉厚で、粘りがとても強いのが特徴。煮物のほか、すりおろしてだんご汁にしたり、エビなどの具材と混ぜ合わせて蒸し上げる「はす蒸し」などの郷土料理に使用されます。長期的な出荷が可能な品種です。
大口れんこん
旬:10月中旬〜4月下旬 / 主な生産地:新潟県
新潟県長岡市の伝統野菜。一節一節が丸くコロッとしていることから「だるまれんこん」とも呼ばれています。皮をむくと真っ白で、シャキシャキしたきめ細やかな食感をしています。煮崩れしにくいので和食はもちろんのこと、いろいろなメニューで楽しめます。
美肌効果が期待できる!ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミンで美肌を保つために欠かせない栄養素です。また、活性酸素を消去する抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果が期待できます。さらに、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果もあります。水溶性のビタミンで熱に弱い性質があるので、生で食べるとより効果的に摂取できます。
むくみの解消に!カリウム
カリウムは身体の水分バランスを保ち、ナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があり、高血圧予防に効果が期待できます。また、体内の余分な塩分を排出することからむくみの解消にも効果があります。
腸内環境を整える!食物繊維
れんこんには水溶性食物繊維が0.2g、不溶性食物繊維が1.8g含まれています。不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸い込んで膨らみ、腸を刺激することで便通を促して便秘の解消に役立ちます。また、有害物質を排出する効果もあります。水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果や血糖値の急激な上昇を抑える、コレステロールの吸収を抑制する効果が期待できます。
強い抗酸化作用で老化防止に効果的!タンニン
れんこんを切ると切り口が褐変するのは、このタンニンによるもの。タンニンはポリフェノールの一種で強い抗酸化作用があります。活性酸素の働きを抑制する効果があり、老化防止に効果的です。また、動脈硬化や心臓病などの予防にも効果が期待できます。