タンパク質不足を補うためにプロテインをこれから取り入れてみようと思っている人や、すでに取り入れているという人の中には、「毎日飲んだ方がいいの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
- 「毎日飲んだ方が良いか」は個人差がある
- 運動をする場合
- 運動をしない場合
- プロテインを毎日飲むときのポイント
- タンパク質摂取をプロテインに頼りすぎない
- プロテインを毎日飲む前に解消しておきたいポイント
- 毎日飲むと太る?
- 毎日飲んで味に飽きたらどうする?
- タンパク質の過剰摂取は腎臓の機能を悪化させる
「毎日飲んだ方が良いか」は個人差がある
プロテインを飲む理由は人それぞれです。「理想のカラダづくり」のため、「日々の健康づくり」のため、「食事が偏る日の不足したタンパク質を摂取する」ためなど、さまざまな理由があるのではないでしょうか。
プロテインを毎日飲んだ方が良いかどうかは個人差があり、「食事の量や内容」、「必要なタンパク質量」などによって異なります。また、必要なタンパク質量は、「活動量」によっても変動するといわれています。
運動をする場合
運動習慣がある人の中でも、1日の活動量には個人差があります。デスクワークが中心であれば仕事中の活動量は少なく、これを解消するために運動をしている人もいるのではないでしょうか。また、仕事中の活動量が多く、さらに運動習慣もある場合は、1日の活動量が多くなると思います。
タンパク質の目標量はエネルギーあたりの割合で示され、性別・年齢・身長・体重が同じでも必要なエネルギーが多い人ほど、タンパク質摂取量が多くなる傾向です。
25歳男性で必要なエネルギー摂取量が2,300kcalの場合、タンパク質の目標量はエネルギーあたり13~20%ですから74.8~115gとなります。エネルギー摂取量が2500kcalの場合、タンパク質の目標量は81.3~125gです。
食事内容によって摂取できるタンパク質量は変化するため、十分に摂取できる日だけでなく、不足する日もあるかもしれません。運動をしている人の場合で、毎日プロテインを取り入れた方が良いのかは、活動量と食事内容を考慮しての判断が必要になります。
運動をしない場合
では、運動しない人の場合はどうでしょうか。運動しない人も、運動する人と同様に活動量には個人差があり、食事内容によってタンパク質が不足する可能性もあります。そのため、運動しない人の場合も、毎日プロテインが必要かどうかは個人差があります。
プロテインを毎日飲むときのポイント
運動をする・しないで分けて考えても、毎日プロテインを飲んだ方が良いかは個人差があるといえます。
タンパク質摂取をプロテインに頼りすぎない
栄養摂取の基本は食事です。幅広く様々な食品を食べていると、栄養バランスが整いやすくなる傾向があるといわれています。また、食事が偏ってしまった場合は、不足した栄養素を含む食品を摂取し、数日かけて調整することで、カラダに必要な栄養素を整えることができると思います。
日本人の食事摂取基準には、過剰摂取が心配される栄養素には耐容上限量が示されているものがあります。食事に加えて栄養補助食品やサプリメントなどで特定の栄養素を補給する場合は、耐容上限量を超えてしまう可能性もあるかもしれません。
プロテインを活用する前に、まず食事内容を見直してみましょう。それでもタンパク質が不足してしまう場合は、プロテインでの栄養補給を一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。栄養摂取は、栄養補助食品に頼りすぎないことが大切です。
プロテインを毎日飲む前に解消しておきたいポイント
なんらかの原因で食事に偏りがあるほか、食べる量が少ないなどでタンパク質が不足し、プロテインを毎日飲むことを選択したとします。毎日プロテインを飲む場合、心配になることもあるかもしれません。
毎日飲むと太る?
プロテインを毎日飲むと、「体脂肪が増えるのでは?」と心配する人もいるかもしれません。毎日プロテインを飲んで体脂肪が増える可能性はあります。反対に、体脂肪が増えない可能性もあります。
体脂肪が増える原因は、摂取エネルギー量が消費エネルギー量よりも多くなることです。約7,200kcalのエネルギーを余分に摂取すると、体脂肪が1kg増加するといわれています。
毎日プロテインを飲んで体脂肪が増加した場合、摂取エネルギー量が多いことが考えられます。この場合はプロテインを飲むことを止めて、食事の内容も見直してみることがおすすめです。また、定期的に体重を測定することで、摂取エネルギー量を推定でき、自分のカラダを知ることにつながります。
毎日飲んで味に飽きたらどうする?
同じ味のプロテインを飲み続けると、味に飽きてしまう可能性があるかもしれません。プロテインは水や牛乳で割ることが基本とされています。しかし、この2つの飲み物だけでなく、オレンジジュース、スポーツドリンクなど、別の飲み物で割ることもできます。
プロテインは液体に溶かして飲むだけでなく、ヨーグルトと組み合わせることもできます。プロテインの味に飽きてしまった場合は、割る飲み物を替えるか、ヨーグルトと組み合わせて味わいを変化させることもおすすめです。
タンパク質の過剰摂取は腎臓の機能を悪化させる
最近、「プロテイン」や「アミノ酸」といった、タンパク質を補給するためのさまざまな機能性食品が出回っています。テレビでも盛んに宣伝されていますし、関連商品はコンビニでも簡単に購入できます。ちなみにプロテインはタンパク質を横文字にしただけで、タンパク質は分解されるとアミノ酸に変わりますから、両者とも「タンパク質」という理解でOKです。
いずれにしても、そのようなものを口にするのは、健康に逆効果だということを、ここでは強調しておきたいと思います。タンパク質の過剰摂取は、気づかぬうちに腎臓の機能を悪化させるからです。
腎臓は人間が命をつなぐための解毒作用を担っており、腎臓が働かなくなれば、尿毒症を起こし(つまり全身に毒が回り)即、命を落とします。QOL(生活の質)が高い人生を送るために、非常に重要な臓器なのです。
私は早くから、「糖尿病や肥満には糖質制限食が有効である」と述べてきました。基本的に糖質制限食では、ご飯やパン、麺類といった炭水化物を減らす代わりに、肉や魚、野菜などのおかずを中心に食べてもらいます。だから、必然的にタンパク質の摂取量が増えます。
しかし、自然の食品から摂っている分には、よほどのことがない限りタンパク質の過剰摂取は起きません。
問題は、粉末や液体の、つくり出された不自然なタンパク質です。それらプロテインやアミノ酸をスポーツクラブのインストラクターにすすめられて飲み始める人が多いようです。すでに腎臓が悪くなっているかもしれない高齢者にまですすめるケースも見受けられます。もちろん、インストラクターには悪気はなく、「健康にいいから」とすすめているわけです。
そのときの理由として、「激しい運動をすると、筋肉が分解してエネルギー源として使われるから、積極的にプロテインで補わないと筋肉が減ってしまう」という、間違った説明がよくなされているようです。