世界でもっとも多く栽培されているキノコで、主産地はアメリカ、フランス、中国などです。ホワイト、クリーム、ブラウンの3種類がありますが、一般的に出回っているものは、ホワイトとブラウンです。
栽 培
マッシュルームは日本のシイタケ、中国・東南アジアのフクロタケとともに、世界の三大栽培キノコの一つ。生産量は第2位のシイタケの数倍に上り、第1位を占める。マッシュルームの栽培は初めフランスで開発されたが、その淵源(えんげん)は17世紀末に始まる。栽培が近代的軌道にのったのは、1890年にフランスの菌学者が純粋培養をした種菌(たねきん)の製造に成功してからである。当初はフランスの独占的事業であったが、ヨーロッパ全土からアメリカに広がってさらに発展し、今日では台湾や韓国でも重要な産業になっている。各国における生産量はアメリカ、フランス、台湾、イギリスと続き、そのほかではオランダ、韓国などが多いといわれる。日本でのマッシュルーム栽培は、大正時代、森本彦三郎によって伝えられた。明治の末に渡米した森本は、10余年間アメリカで栽培技術を学んで帰国し、1922年(大正11)京都市伏見(ふしみ)区桃山に赤れんが造りの菌舎を建てて事業化した。現在、マッシュルームは日本の各地で栽培され、2006年度(平成18)の生産量は2967トンで、岡山県の生産量が1208トンともっとも多い。
元来の栽培法は、馬小屋の厩肥(きゅうひ)を積んで発酵させ、これを栽培用の床(とこ)として種菌を接種するものであった。しかし、第二次世界大戦後の日本では、厩肥の入手が困難となったため、現在では、イネやムギの藁(わら)に硫安、石灰窒素、尿素、過リン酸石灰などを混ぜて積み、発酵熟成させてつくった人工堆肥(たいひ)を用いている。事業的には、温度や湿度が調節できる菌舎を建てたり、地下壕(ちかごう)や土蔵などの利用が進められている。栽培の床は、深さ20センチメートル、畳1枚ほどの木箱の中に堆肥を詰めたもので、これに種菌が植えられる。普通、床は、室内に40センチメートル間隔で棚状に配置される。種菌接種後、約40日で収穫が始まり、2か月ほど発生が続く。栽培品種には、ホワイト、クリーム、ブラウンの3種がある。
料 理
夏から秋が自然の旬(しゅん)だが、栽培により一年中市場に出回る。ごく新鮮なものは生食がいちばん。薄切りにし、レモン汁をかけ、ドレッシングで和(あ)えてサラダにする。切り口が空気に触れると褐変するので、それを防ぐためには、すぐにレモン汁をかけるとよい。ほかにバター炒(いた)め、オムレツやピラフの具、クリーム和えなどにして料理の付け合せに。またミートソース、グラタン、肉の煮込み、スープなど各種の西洋料理に用いられる。中華料理では炒め物、スープなどのほか、マーチャン(ごま味)やナイユー(クリーム味)などの料理によく適する。保存食としては、薄切りの水煮缶詰、まるごとの水煮瓶詰などがあり、市販されている。栄養価はビタミンB1、B2などを含むが、全体的にとくに優れたものではない。
栄養成分としての働き
ビタミンB2が豊富で、食物繊維も多く含んでいます。しかし低カロリーなのが魅力です。
ビタミンB2とともに働いて、脂質の代謝をより活発にするので、肥満防止に効果があります。
消臭効果が期待できるのもマッシュルームの特徴。腸内の異常発酵を防止する働きをもつ物質を含んでいるので、口臭や体臭、排泄物(はいせつぶつ)のにおいを少なくしてくれるのです。
ミネラル類ではカリウムが多いので、ナトリウムの排泄を促進し高血圧予防に役立ちます。
シイタケと同じく、少量ですが体内でビタミンDにかわるエルゴスタリンも含んでいます。コレステロールを取り除き、脂質異常症を予防してくれます。
缶詰製品も出回っていますが、生のほうが薬効が期待できるので、生のものをサラダなどに利用するといいでしょう。
生のホワイト種を利用する場合は、切るとすぐに変色するので、レモン汁をかけるようにしましょう。
生でサラダにして歯触りを楽しむほか、ソテーやスープに入れてもおいしくいただけます。
選び方
ホワイト種は、かさの表面や裏のヒダ、軸が真っ白い物が鮮度、味ともに良い物です。
ブラウン種は色落ちの無い物が良く、両種とも、軸が太く、大きく、肉質がしまっている物はさらに良いマッシュルームです。
成分
マッシュルームはビタミンB1・B2等、ビタミン群を多く含んおり、その他タンパク質、うまみ成分のグルタミン酸や必須アミノ酸が多いため、生でもおいしく食べられるほど、消化の良いキノコです。
その他効果
最近では口臭予防、体臭予防、便臭を和らげるなどの効果がTVや雑誌の特集で、話題に上ることが多くなり、介護施設や病院などの医療現場で積極的に取入れられることも多くなりました。
きのこリゾット
材料 (4人分)
- マッシュルーム 1パック(10~12個)
- 生しいたけ 8個
- エリンギ 1パック(2~3本)
- 米 1と1/2カップ
- 白ワイン(なければ酒) 大さじ2
- パルメザンチーズ 大さじ2
- 洋風スープの素 1個
- オリーブオイル 大さじ2と1/2
- バター
- 塩
作り方
1、マッシュルームは石づきを切り、薄切りにする。しいたけは石づきを切り、かさは半分に切ってから薄切りにし、軸は裂く。エリンギは根元を少し切って長さ3cmに切り、縦に4つ~6つに裂く。鍋に6カップのお湯を沸かし、洋風スープの素を溶かしてスープを作る。
2、フライパンにオリーブオイル大さじ1と1/2を入れて中火で熱し、マッシュルーム、しいたけ、エリンギを炒める。かさが減ってしんなりしたら火を止める。
3、鍋にオリーブオイル大さじ1と米(洗わない)を入れ、中火で炒める。米が熱くなり、透き通ってきたら白ワインを加え、汁けをとばしながらさっと炒める。
4、スープの約1/5量を加えてざっと混ぜ、弱めの中火(軽くふつふつ沸いている状態)で煮る。少ししんを残して仕上げるため、ふたはしない。ときどき混ぜながら煮つめ、汁けがなくなったら残りのスープの1/4量を加えて煮つめる。これをあと2回繰り返し、合計13分ほど煮る。
5、残りのスープの全量と炒めたきのこを加えて全体をざっと混ぜ合わせ、さらに1~2分煮る。米を食べてみて、少ししんが残るくらいになったら、バター大さじ2、パルメザンチーズを加えてひと混ぜし、火を止める。塩少々で味をととのえる。