わたしたちの暮らしや食生活の変化により、今なお発展を続けている冷凍食品。日本の冷凍食品のはじまりは古く、100年前に遡ります。
- 1920年 日本で最初の冷凍事業の始まり
- 1930年 日本初の市販冷凍食品
- 1935年 魚の冷凍加工品販売
- 1948年 調理冷凍食品の始まり
- 1951年
- 1952年 凍果ジュース人気・冷凍食品売り場設置
- 1954年
- 1957年
- 1963年
- 1964年
- 1965年 冷蔵庫の普及率50%を超える
- 1966年 家庭用電子レンジ発売
- 1967年
黎明期(れいめいき)
冷凍技術の黎明期は、魚の凍結から始まり、戦後の食糧不足や東京五輪を経て、高度経済成長期の「三種の神器」のひとつ、冷蔵庫の普及と共に発展していきます。この頃、冷凍食品は油調品(冷凍コロッケは自分で揚げる、等)が主流で、家庭で食卓を囲むことが多い時代であったことから、おかずとしてよく食べられ、五大調理冷凍食品(コロッケ、ハンバーグ、シュウマイ、ギョウザ、えびフライ)が市場に定着していきます。
1920年 日本で最初の冷凍事業の始まり
やはり食品の冷凍は魚からなんですね!
日本で初めて葛原猪平氏が本格的な水産物の凍結を試み、水産物冷凍の基礎を築く。そして、1920年に日産10トンの凍結能力の冷凍庫を北海道森町に葛原商会(現ニチレイフーズ 森工場)が建設。これが、日本の冷凍食品事業の始まりだそうです。
1930年 日本初の市販冷凍食品
「イチゴシャーベー(冷凍いちご)」大阪・梅田の阪急百貨店で、戸畑冷蔵(現日本水産)が販売。
1935年 魚の冷凍加工品販売
都内百貨店などで魚の三枚おろしや切り身などにして冷凍加工された「日食家庭凍魚」を、日本食料工業(現日本水産)が販売。
1948年 調理冷凍食品の始まり
「ホームミート」「ホームシチュー」を東京・日本橋の白木屋デパート(現東急百貨店)で日本冷蔵(現ニチレイフーズ)が試売。
1951年
1952年 凍果ジュース人気・冷凍食品売り場設置
渋谷・東横百貨店で日本冷蔵の『ブルブルジュース(凍果ジュース)』が人気に。
そして、東京・池袋の西武百貨店、渋谷の東横百貨店が「冷凍食品売り場」を設置。
1954年
『学校給食法』の制定により学校給食開始、業務用冷凍食品発展の基礎となる
『学校給食法』が制定され、学校給食が始まる。給食に適した冷凍魚のフィレや冷凍コロッケ、スティック類などが採用され、その後、学校給食は急速に拡大。これが業務用冷凍食品の発展の基礎となる。
1957年
南極観測船「宗谷」の食事に冷凍食品が採用される
南極観測船「宗谷」に70種類、約20トンの冷凍食品が越冬用食料として積み込まれる。船内食、基地隊員の食事に冷凍食品が採用。
1957年(昭和32年)に戦後初めて日本から南極観測隊が派遣され、観測船「宗谷」に越冬用食料として、えび、ほたて、あじ、ほうれん草、枝豆、漬物、茶わん蒸し、みかんなど約70種類の冷凍食品が積み込まれました。
南極は氷の国だから、野外に放りだしておけば、食料は腐らないと思われがちで、準備委員会も冷凍庫の準備をしていなかったそうです。そのため越冬生活を始めた第1次越冬隊は、棚氷(陸上から海上にのびている氷)に掘った穴に冷凍食品を保存した。
1963年
ダイエー三宮1号店に冷凍食品売り場を設置(スーパー初)
ダイエー三宮店は、スーパーで初となる冷凍食品売り場を開設。翌1964年には日本で初めて冷凍オープン・ショーケースの売り場を設置した。
1964年
東京五輪の選手村食堂で冷凍食品が好評。注目され、急速に拡大
東京オリンピック選手村の食堂でさまざまな冷凍食品が利用され好評。このことをきっかけにホテルやレストランで利用され、冷凍食品が急速に拡大。
1965年 冷蔵庫の普及率50%を超える
高度経済成長期、「三種の神器」のひとつである冷蔵庫が急激に普及。家庭用冷凍食品が受け入れられるように。
この頃の冷蔵庫は、冷凍食品が保存できるフリーザー付きの冷凍冷蔵庫(1ドアタイプ)や冷凍庫の霜を自動で取り除く、自動霜取り方式が主流。翌年に冷凍室を独立させた2ドアタイプが普及し始める。
1966年 家庭用電子レンジ発売
これまで業務用の高価で巨大な製品しかなかった電子レンジだが、1966年に家庭用ターンテーブル式レンジが発売。しかし当時は非常に高価だったため、一般家庭に普及が始まるのは1970年以降となる。
1967年
冷凍クリームコロッケが発売、そして五大調理冷凍食品が市場に定着
冷蔵庫の普及率が50%を超えたことに加え、大型スーパーの全国的な広がりや外食産業の発展等により、冷凍食品の需要が急上昇。コロッケ、ハンバーグ、シュウマイ、ギョウザ、えびフライの五大調理冷凍食品が市場に定着し、現在の冷凍食品の原型が固まった。
続く『成長期』