飲食店を繁盛させるために必要なことはいろいろとありますが、その上位に来るのが接客です。
中には不愛想な店主がなぜか人気の店もありますが、それは例外中の例外で、ほとんどのお客さまは自分を客として尊重してもらいたいと思っています。その尊重の「形」がよい接客なのです。
しかし接客と言っても漠然としていますので、ここでは接客の心得とでもいうべき基本について少し解説します。
飲食店の心得はQSC
繁盛店になるためのポイントはいろいろとありますが、よく言われるのはQSCという用語です。
これはQが「Quality」つまり料理の「質」、Sが「Service」つまり接客、Cが「Cleanliness」つまり店舗の衛生面のことです。
このように接客は飲食店が繁盛する3大要素の1つなのです。
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接客マニュアルのメリットと注意点
接客の質を上げるためにはどうしたらよいでしょうか。
まずおすすめしたいのは接客マニュアルを作成することです。接客マニュアルという書類を作成することにアレルギーを持っている人もいるかもしれませんが、この作成には多くの効用があるのです。
一方で気を付けたい点(デメリット)もありますので、メリット・デメリットを理解し、接客マニュアルを作成しましょう。
- 接客業の経験がなくても、一定レベルのクオリティの接客ができるようになる
- スタッフによって接客レベルの差が出ない
- 店長の指導が効率化できる
- 先輩スタッフでも教えられる
- スタッフが自習できる
-
スタッフ1人1人の個性が接客に反映されること
-
新規客でもヘビーなリピート客でも、誰に対しても同じ接客であるために、
ぬくもりに乏しくなる場合もあること -
スタッフが自分で考えなくなること
この欠点を防ぐためには、マニュアルに「何を」するのか、だけではなく「どうして」それをするのか、という点も併せて載せ、それをしっかり教育することです。
そうすれば、スタッフはその「どうして」に沿って自分の応用を利かせて接客することが可能になり、上記の欠点を補えます。
接客マニュアルに記載すべき内容
接客マニュアルは4つの項目に分けられます。
1) 業務フロー
業務全体の流れが分かるようにするマニュアル。
お店の方向性や独自ルールを共通化する目的もあります。
役割分担、開店・閉店のフロー、清掃業務なども記載しましょう。
2)接客マナー
接客に関するマナーを学ぶためのマニュアルです。
3) トラブルへの対応
起こりうるトラブルに対して、どのように対応すべきかを示すマニュアル。
クレーム対応、予約トラブル、食材不足など、想定されるトラブルについてまとめておきましょう。
4) キッチン業務
キッチン業務のマニュアルはレシピではありません。
調理器具の扱いやゴミ出しルールをまとめるマニュアルです。
キッチン業務に関わらないスタッフも、掃除・ゴミ出しのルールなどは知っておくべきなので、マニュアル化しておくと便利です。
敬語を正しく使う
男の人/女の人 | 男性の方/女性の方 |
お客/お客さん | お客さま |
年取った人 | ご年配の方 |
子供 | お子様 |
旦那さん/奥さん | 旦那様/奥様 |
一人 | おひとり様 |
一緒の人 | お連れ様 |
僕/わたし/自分 | わたくし |
我々/私たち | わたくしども/当店 |
注文は決まりましたか | ご注文はお決まりでいらっしゃいますか |
ちょっと待ってください | 少々お待ちくださいませ |
お待ちどうさま | お待たせいたしました |
今持っていきます | ただ今お持ちいたします |
ごめんなさい/すみません | 申し訳ございません/失礼いたしました/恐れ入ります |
いくつですか/何人ですか | いくつになさいますか/何名様でしょうか |
案内します | ご案内いたします |
この席でよいですか | こちらの席でよろしいでしょうか |
今満席です | ただ今満席でございます |
トイレはまっすぐ行って右です | まっすぐ行かれて右手にございます |
すぐ取り替えます | 申し訳ございません、ただ今お取替えいたします |
こっちの間違いでした | 申し訳ございません。わたくしどもの手違いでした |
味はどうですか | お味はいかがですか |
下げてよいですか | お済みでしたらお下げしてよろしいでしょうか |
そうです/そうします | さようでございます/そうさせていただきます |
わかりました | かしこまりました |
知っています | 存じております |
その通りです | おっしゃる通りです |
誰ですか | どちらさまでしょうか |
これですね | こちらでございますね |
私が聞きます | 私が(かわりに)お伺いいたします |
こっちでやります | わたくしどもでいたします |
できません | わたしどもではいたしかねます |
間違った言い回しをしない
「こちらエビピラフになります」→「こちらエビピラフでございます」
「〜でよろしかったでしょうか」→「〜でよろしいでしょうか」
「ご注文の方は以上でよろしいでしょうか」→「ご注文は以上でよろしいでしょうか」
「すいません」→「すみません」または「申し訳ありません」
「鶏唐です」→「鶏の唐揚げです」(料理名を略さない)
「少々お待ちいただく形となるのですが、よろしいでしょうか」→「少々お待ちいただいてよろしいでしょうか」
(会計時)「1,000円からお預かりします」→「1,000円、お預かりします」
*何度見ても笑える日本語ですよね!
まとめ
結構細かくなりましたが、あくまでも普通のことです。その普通のことができないから、ルールやマニュアルが存在します。よく考えればわかることなのですが、最近では考えることすらしない方が多いので、今回掲載いたしました。